アイドルを「あした式」で人事評価してみたら
#後編 「情報開示」が会社を社員の “推しメン”に変える Sponsored株式会社あしたのチーム

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前編では、かつてアイドルは遠い存在だったからこそ「憧れの対象」であり、身近な存在になった今日では「応援する対象」に変遷したことを検証しました。こうしたアイドル像の大転換は人事評価にどんな示唆を与えているのでしょうか。後編では「情報遮断」が憧れをつくりだしたこと、その手法は「ITの進化」で通用しなくなったことから分析します。


そして「アイドル氷河期」が訪れた

遠い存在であればあるほど、憧れの気持ちは強くなるものです。これを人であるアイドルに当てはめると「人間としての実体や実像が見えないほど売れる」という結論になります。隣近所には住んでいなくて、スクリーンの向こう側、テレビ画面の向こう側にしか存在していない絶対的に非日常的な人間像、ということです。

ですから、趣味や食べ物の好き・嫌い、休みの日はどうしているのかなど、等身大の人間性が伝わるような情報は本当のことでなくていい。むしろ、本当のことでないほうがいいのです。となれば、等身大の姿は一切見せない「情報遮断」がアイドル売り出しの成功法則ということになります。

本当の情報からファンを遮断し、レコード会社やテレビ局など、アイドルをプロデュースする大人たちが企画した「売り出し方」にあわせてキャラを演じる。それがアイドルの仕事だった、という言い方もできるでしょう。大切なのは、生身の人間らしさではなく「キャラ設定」です。

しかし、ある時期から、この手法は通用しなくなります。「裏の姿」をスクープする写真週刊誌の登場が、そのきっかけのひとつでしょう。

「表の虚像」がガチガチにつくりこまれたものであるほど、「裏の真実」とは大きな落差がでてきます。たとえば、らつ腕プロデューサーとの不倫に悩む清純派アイドル、自然豊かな故郷でヤンチャをしていた頃の写真が流出した都会派アイドル、本当は仲が悪いアイドルグループ…。

遠い存在だったはずのアイドルが普通の人間と同じような悩みやちょっとしたウソを抱え、クヨクヨしたりビクビクしたりしている。「なーんだ、アイドルなんて、ふつうの人間だったんだ」というワケです。

一皮めくれば、遠い存在ですらなく、ヘタをしたら自分より劣っているかもしれないことにみんなが気づき始めた。そうなると「憧れ」どころではありません。結果、起きたのが「アイドル氷河期」。アイドルという憧れの偶像は生まれにくくなったのです。

「共感と共鳴」の源

では、「アイドル氷河期」を経て、AKBのような今日のアイドルを生んだものはなにか。それこそ、情報遮断の手法を葬り去った「情報開示」です。

ITの進化、ネットの普及により、だれでも簡単かつ速く情報を入手できるようになりました。さらにSNSの登場で、たとえば原宿にひとりで買い物やカフェにきている等身大の姿をさらしているアイドルは珍しくありません。

寝起きのすっぴん顔を自分でSNSに投稿するアイドルもいます。ファンは「すっぴんの写真は見たくなかったわぁ」などと言って逆に喜んでいる始末。

悪ノリに近いプライベートでのおふざけ写真や情報が注目されているワケではありません。テレビやコンサートといった「表舞台」ではけして垣間見ることのできない、しかしネットを通じて発信されている裏側での等身大の姿、たとえば必死の努力、人間くさい失敗や挫折に共感し、「この子を応援したい」と共鳴するのです。

情報遮断と情報開示は、今日の企業の人事評価にとり重要なキーワードでもあります。かつて人事部には絶大な権力と権威がありました。なぜなら、昇進・降格、本社・支社への配転・異動など、あらゆる人事情報は結果だけが一方的に示され、裏側は情報遮断されていたからです。

判断理由をブラックボックスに閉じ込め、情報独占する特権があったから人事部は畏怖され、社員をコントロールすることができました。真意は経営者のみぞ知る。こんな状況だったのです。

しかし、いまやネットを見れば、かつては遮断されていたさまざまな人事情報をカンタンに誰でも入手することができます。わかりやすくいうと、社員の給与が社員同士で流通するんです。自分と同じようなキャリアを積んでいる同業他社の社員の給与、待遇、キャリアプランもすぐにわかります。

情報開示がつくるエンゲージメント

人事評価の情報遮断が通用していた時代は、労働者より経営者の方が圧倒的に強かった時代でもあります。「給与を払ってやってる」「雇ってやってる」という感覚が当たり前でした。

しかし、いまや社員と経営側の情報格差は、ほぼないと考えて間違いありません。情報という観点での関係性は対等、経営側による一方的な隠しごとはできない。そんな時代なのです。

しかし、そこに気づいていない経営者はいまだに少なくありません。時代の変化が見えていない経営者は、情報遮断という成功体験にすがって没落したTV局のプロデューサーの姿と重なります。

では、どうすべきか。そこもAKBとファンの関係のあり方にヒントがあるように思います。

AKBファンの「等身大の姿に思い入れをもって応援する」という支持行動は、人事評価の用語でいう「エンゲージメント」に近しいものがあります。

エンゲージメントとは、簡単に言うと社員の会社に対する愛着心や思い入れ。その社員がどれだけ会社を信頼しているのかを計る尺度です。エンゲージメントが高い会社とそうではない会社では業績の伸びに3倍の差がつくというアメリカでの調査結果もあります。

AKBファンは“推しメン”の包み隠さない等身大の姿に引きつけられます。それを人事評価にあてはめると、社員の生産性やモチベーションを上げるには「全社員が知っている評価の仕組みに基づいて出てきた評価点によって賃金が決まっていく」ということになります。ブラックボックスの相対評価や査定調整会議という情報遮断のなかで賃金を決めていく方式とは、まったく正反対の姿です。

「ここまでやれば、自分の給与はこうなるんだ」ということが明確になっている状態。それが、エンゲージメントを高める基礎なのです。

採用と育成の氷河期

いま、多くの経営者が「採用募集をしても人が集まらない」と感じています。それは、好景気で人手不足だから、というだけではないのかもしれません。また経営者から「社員が育たない」という嘆きをよく聞きますが、それは社員のヤル気の問題ではないのかもしれません。

そうした悩みや嘆きを感じている経営者は、いちど胸に手を当ててください。人事評価について情報遮断していませんか?

もしそうだとしたら、情報遮断が「アイドル氷河期」の背景だったように、あなたの会社は「採用氷河期」「育成氷河期」に陥っている可能性が高いでしょう。そこから抜け出すためには、人事評価の情報開示しかありません。

【まとめ】AKBから学ぶ人事評価のこれからの姿 

①「情報遮断はもはや通用しない」と考える

②社員の「エンゲージメント」を高める

③スタートラインは人事評価の情報開示

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プロフィール
髙橋 恭介
株式会社あしたのチーム 代表取締役会長
髙橋 恭介 (たかはし きょうすけ)
1974年、千葉県松戸市生まれ、千葉県立船橋高校出身。東洋大学経営学部卒業後、興銀リース株式会社に入社。リース営業と財務を経験する。2002年、創業間もないベンチャー企業であったプリモ・ジャパン株式会社に入社。副社長として人事業務に携わり、当時数十名だった同社を500人規模にまで成長させ、ブライダルジュエリー業界シェア1位に飛躍させた。
同社での経験を生かし、2008年、株式会社あしたのチームを設立、代表取締役に就任。現在、国内47全都道府県に営業拠点、台湾・シンガポール・上海に現地法人を設立するまでに事業を拡大。1300社を超える中小・ベンチャー企業に対して人事評価制度の構築・クラウド型運用支援サービスを提供している。給与コンサルタントとして数々のセミナーの講師も務める。2018年6月より代表取締役会長に就任。


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