社員アンケートから「あしたの企業経営」を分析する
#3 人件費は「コストではなく投資」と考える会社に優秀な人材は集中する Sponsoredあしたのチーム

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社員の不満をくみとり、人事評価をはじめとする制度や環境を変え、より社員満足度の高い企業に進化させていく──。経営者のいちばん大切な仕事です。とはいえ、「ホントのところ、社員はどんなことに不満をもっているのか、よくわからない」という社長もいるでしょう。また、たとえ不満の内容を知っていても「経営者の苦労を知らずに、グチばっかりだ」と切って捨てている社長もいます。そこでINOUZTimesでは、ビジネスパーソン100名にアンケート調査を実施。その結果を、どう経営に反映したらいいのか、あしたのチーム代表の髙橋恭介さんに聞いてみました。


今回の社員アンケートは、給与が上がらないという理由で転職を考えたことはあるか、です。社員にとって、給与はただ上がればいいというものではないようです。

給与は転職の引き金になりうるか?

「人件費はできるだけ抑えたい」。こう考える経営者は多いですよね。

「残業をしないと稼げない」
「給料がなかなか上がらない」
このような声が聞こえてくるのは、中小企業だけではなく大企業にも当てはまります。そんなとき、社員の頭をよぎるであろう”転職”の二文字。

「給与が上がらない」と思っている社員は、それを理由に転職を考えるのでしょうか。アンケート調査を実施しました。

【質問】
Q1 あなたは、給与が上がらないという理由で転職を考えたことはありますか?
Q2「給与が上がらないという理由で転職を考えたことがある」とお答えした方に伺います。あなたは、実際に、給与が上がらないという理由で転職をしましたか?
━【調査概要】━━━━━━━━━━━
調査対象:全国の成人男女を対象にしたインターネットリサーチ
平均年齢:46.1歳
性別  :男性66人、女性34人
職種  :会社員
回答数 :100サンプル
調査内容:会社員の給与と転職に関する調査
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給与を理由に転職するのは少数

約半数の人たちが一度、もしくは複数回「考えたことがある」と回答しました。しかし、そのうち実際に転職を「しました」と回答した人は、25%に留まる結果に。給料が上がらないという理由で転職を考えたとしても、実際に転職に踏み切る人は一部だと分かります。実際に転職をした人に理由を伺ったところ、転職すれば給与が上がると踏んでいた模様です。

#良い転職先がない

「今の仕事より条件が合う仕事がなかった」「同じ業種であれば給与に大差がない」と、現職よりも好条件の仕事ややりたいと思う仕事がなかなか見つからないという回答が大半。また、「年齢的に現在の収入のまま新しい業種は不可能」という風に、年齢によって転職の壁を感じる人もいるようです。

#面倒くさい

「職探しが面倒くさい」「新しい事をするのが面倒だった」という回答も。忙しい仕事の合間を縫って転職活動をするのはハードなので、現状のままでいいと思うのも無理はありません。

#引き止めにあった

「社長・上司に引き止められた」というケースも。入社してまだ数年という場合や、社長や上司に恩がある場合、考え直す方もいるようです。

#妊娠や出産を控えている

「妊娠・出産で諦めた」方もいます。確かに、ライフイベントが重なると、転職のタイミングは見直す必要がありますね。

転職するかは、前向きなイメージが湧くか

アンケート結果を総括すると、給料が上がらないという理由で転職を考えたことがあり、実際に転職をする人は給与が上がることを予測・確信している場合がほとんど。転職後に給与・待遇がよくなるイメージができなかったり、年齢やタイミング的に転職そのものが難しいと判断したりすると、給与を理由に転職に踏み切ることはない。こんなことが言えそうですね。

識者による分析
 社員が望むのは金額ではなく納得感なんです

全社員の給与を上げたら優秀人材が大量退職

私自身の経験談として、前職で全社員の給与を1万円上げたことがあります。すると、優秀な人材から次々に退職をするという、想定外の事態に陥りました。社員はみな給与が上がることを望んでいたにもかかわらず、です。

この経験から断言できるのは、給与で大事なのは金額ではない、ということです。たとえ給与が上昇しても、「これだけしか上がらないんだ」「あの人と同じ金額しか上がらないんだ」という風に、給与決定の仕組みに対する納得感がなければ人は辞めていくのです。

今シーズンの米大リーグ。イチロー選手が、大リーグ1年目の2001年〜2012年7月まで所属していたマリナーズへ6季ぶりに復帰し、シーズン途中で今シーズンは一軍登録されない契約に切り替わるとともに、マリナーズと“終身契約”を結んだことが話題になりました。

イチロー選手のピーク時の年俸は18億円。それに比べたら大幅に年俸が下がったマリナーズとの当初契約に、なぜイチロー選手はハンを押したのか。「最低50歳まで」現役でプレーをするという目標があり、自分のパフォーマンスと提示された年俸のバランスに納得をしたからではないでしょうか。

これはわれわれ企業組織にも置き換えられます。つまり、パフォーマンスに対する給与決定の仕組みがしっかり連動していて、その決定に納得ができれば、マイナス査定でも人は辞めないということです。給与は上がるか下がるかではなく、納得感が最も重要なのです。

「安い給与でいい」と言う人材は二流

今後、採用難や人材不足がますます深刻化することが予想されます。優秀な人材を採用し、長く活躍してもらいたいのであれば、まずは基本給を上げるべきです。これが最優先。「賞与を出す」「残業を減らす」「休日を増やす」といった人事制度の改革は、給与改善に付随して手を打つことになるからです。
もし、今すぐに基本給を上げられないのであれば、”どうすれば基本給が上がるのか”という仕組みを社員に示すしかありません。

というのも、正当に高い給与を主張してくる人材というのは、高度な仕事に対するコミットメントがあり、プロフェッショナルとしての意識が高いのです。反対に、給与は低くてもいいと考えている人材は、プロフェッショナルではない傾向にあります。「これ以上難しいことはしない」「あれはやりたくない」と、給与が低い=やらなくてもいい、という言い訳に走っています。

メルカリさんに代表されるように、一流の人材を採用している企業は、理念に基づき合理的に給与を上げる仕組みが、評価制度にしっかりと落とし込まれています。個人の報酬と会社の業績がリンクする、最も良い状態が構築できているのです。これは、社員のエンゲージメントを高める施策を、経営者が愚直にやり続けた結果でしょう。そうなると、経営者も社員も、給与が上がることに対して一切疑いを持ちません。

忘れてはならないのは、一時的に給与を高く見せて採用をしていくことと、本質的に給与を上げて業績を上げていくことは、似て非なるものだということ。もちろん、採用力が高いのは後者です。理念から練り込まれた評価制度がある企業は、目標や報酬に対して納得感、信頼性があります。よって、リファラル採用も成立させやすいのです。

勝ち組企業は人件費を投資と捉える

企業経営において、固定費の削減は必須です。無駄なことへの投資は命取りですから。そうした中で、人件費を「コスト」だと思っている経営者が未だにいることに、憤りを覚えます。

成長しているベンチャー企業の経営者で、投資活動を「コスト」と捉えている人は少ないでしょう。なぜならそれが、売上・利益で返ってくるためです。人件費も同様なのです。これから最優先で取り組むべき「投資」は、間違いなく人件費だといえます。理由は単純明快。優秀な人材は、人件費を「コスト」ではなく「投資」と捉える会社に行くからです。

人件費を「コスト」と捉えるか、「投資」と捉えるか。この認識の違いは、今は小さな歪みだとしてもゆくゆくは大きな歪みを生みます。生産年齢人口の減少で、今後、人材獲得競争は過酷さをより増していくのは確実です。人材に投資する企業は勝ち組としてどんどん勝っていく。人材をコストと捉える企業は、大げさではなく廃業に至る可能性が高くなっていくといえます。

プロフィール
髙橋 恭介
株式会社あしたのチーム 代表取締役会長
髙橋 恭介 (たかはし きょうすけ)
1974年、千葉県松戸市生まれ、千葉県立船橋高校出身。東洋大学経営学部卒業後、興銀リース株式会社に入社。リース営業と財務を経験する。2002年、創業間もないベンチャー企業であったプリモ・ジャパン株式会社に入社。副社長として人事業務に携わり、当時数十名だった同社を500人規模にまで成長させ、ブライダルジュエリー業界シェア1位に飛躍させた。
同社での経験を生かし、2008年、株式会社あしたのチームを設立、代表取締役に就任。現在、国内47全都道府県に営業拠点、台湾・シンガポール・上海に現地法人を設立するまでに事業を拡大。1300社を超える中小・ベンチャー企業に対して人事評価制度の構築・クラウド型運用支援サービスを提供している。給与コンサルタントとして数々のセミナーの講師も務める。2018年6月より代表取締役会長に就任。


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