もしも「スポーツチーム」を
人事評価してみたら
#前編 相次ぐ「スポーツ界の不祥事」 根底にあるのは“指導者の甘え” Sponsored株式会社あしたのチーム

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さまざまなスポーツの分野で相次いで噴出した不祥事。少し俯瞰して見ると、そこには企業経営に突き付けられている課題と共通するものがあります。アイドル編行政編に続いて「あした式人事評価」でスポーツ界を分析してみました。


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時代に取り残された組織の典型

オリンピック4連覇を成しとげた女子アマレス選手への日本レスリング協会幹部によるパワハラ問題、日本大学アメリカンフットボール部(以下、日大アメフト部)の反則指示疑惑、日本ボクシング連盟の醜聞など、2018年はスポーツ界でさまざまな問題が明るみになった年でした。

見事なプレーの余韻も、スポーツ界の不祥事を報じるニュースで台無し。スポーツファンのひとりとして、ため息が止まりません。

それぞれの問題には個別の事情があり、十把ひと絡げに指導者たちを断罪することはできません。ただ、これらの現象には‟通奏低音”が流れています。それは、指導者と選手の意識のギャップです。

ひと昔前なら不満をもらす選手のほうが、逆に社会から非難を浴びました。たとえば、むかし「ベンチがアホ」という失言で選手生命を失ったプロ野球選手もいましたよね!?

そのような時代ならパワハラ的な指導も「愛のムチ」とか「選手を思ったシゴキ」などと言われ、許容・黙認されていたでしょう。「パワハラ」という言葉のない時代、指導者や協会幹部の命令は絶対でした。温度差はあれど、ほとんどの選手は所属する組織やチームに服従していたのです。

しかし、昭和が終わって平成の時代になり、平成から新時代へと変わろうとしている今日、ひと昔前は当たり前だった「選手にとって指導者は絶対」「理不尽でも選手は指導者に服従」という掟・しきたりは、価値観の変化によって支持を失いました。そこに気づかない指導者の“甘え”が、さまざまなスポーツ界の不祥事の根底にあると指摘されています。

いかがでしょう? 指導者を「経営者」に、選手を「社員」に置き換えて上の文章を読み返してみてください。かつては称賛されたモーレツな働き方は‟ブラック企業”、愛情のこもったスパルタ指導は“ハラスメント”と言われ、社会から厳しい批判が集まるようになったのと非常に似ていますよね。

不祥事を起こしたスポーツチームや団体は、時代に取り残された組織の典型例。私たち企業組織の「他山の石」とすべきです。

「絶対ワンマン」支配の矛盾

たとえば日大アメフト部。同部は大学日本一に21度も輝いた名門チームでした。ライバルの関西学院大学アメフト部との2018年5月の対戦において、日大の選手が極めて悪質なファウル(反則)を行い、騒ぎは社会問題へ発展。詳細は省きますが、日大アメフト部は公式戦への出場資格を停止され、監督は辞任。大学を去りました。

こうした事態にいたった背景には、スポーツ界の閉鎖的な構造があります。その基本がキョーレツな年功序列。監督、コーチ、OB、上級生に対して、選手は服従をしいられます。なかでも日大アメフト部は、人事も含めて監督に権限が集中していました。

第三者委員会の報告書では、次のように指摘されています。

「選手の主体性が考慮されることなく、選手との対等のコミュニケーションの機会もなく、選手に対し一方的に過酷な負担を強いるような指導実態があり、それはパワハラとも評価すべきものであった」(第三者委員会の報告書より)

「指導陣相互の関係でも自由なコミュニケーションがなかった上、監督(注・報告書では実名)に迎合するだけで選手の立場に寄りそうコーチも存在しなかった」(同)

企業組織にたとえるなら、中間管理職が自分が出世するために現場社員を駒扱いするような状態。そうした日大アメフト部の問題ある組織風土のなかで、悪質な反則プレーが起きたのです。 組織マネジメントが誤っていたことは明らかでしょう。

一方、健全で強いチームから学ぶべき点もたくさんあります。ここからはスポーツ界の悪例・好例をひもとき、強い組織の条件を考えていきましょう。

「評価の見える化」で躍進した青学陸上部

たとえば、箱根駅伝4連覇を果たした青山学院大学の陸上競技部(以下、青学陸上部)。少し前まで同部は箱根駅伝の予選会で敗退するレベルの弱小チームでした。

チームが大きく変わったのは、2003年に原晋氏が監督へ就任してからです。民間企業の営業マンだった原監督は、選手育成に目標管理を採り入れました。

まずは5~6名単位のグループをつくり、選手同士のミーティングを実施。一人ひとりに自身の個人目標を設定させ、練習メニューも考えさせました。さらに「目標管理シート」を寮の壁に張り出し、他の選手にもわかるようにしたのです。

原監督は寮で選手と共同生活を送り、信頼関係を築きました。甘やかしてはいません。タイムの伸びない上級生や故障者は「二軍寮」へ送られます。監督いわく「評価の見える化」。選手補強も進めましたが、タイムよりも‟表現力”を優先しました。そうした選手は洞察力も高く、入部後に伸びると考えるからです。

監督の指導はチームを少しずつ変えていきました。そして2009年、33年ぶりに箱根駅伝の本選出場を果たします。初の総合優勝は2015年。まさに‟自走する習慣”がついたチームは、現在進行形で成果をあげ続けています。

“考えさせる”が「青森山田」を強豪に変えた

好例をもうひとつ。全国高校サッカー選手権に22年連続で出場している青森山田高校のサッカー部です。

雪深い練習環境や人材面でハンデを抱えるチームが変わったのは、1995年から。黒田剛氏が監督に就任して以来、全国大会の常連校になりました。2度目の全国制覇をめざし、2019年正月に行われる第97回全国高校サッカー選手権大会への出場も決めました(注:同大会で青森山田は2大会ぶり2度目の優勝を飾りました)。

2016-17年シーズンには、快挙を成し遂げています。高校サッカー選手権を初制覇したばかりか、Jリーグのユースチームが多数参加する「高円宮杯U-18サッカープレミアリーグ」でも優勝。かつての雑草集団がエリート集団を破ったわけです。

黒田監督が重視したのは、選手の自主性を育てることでした。たとえば、パスをつなぐサッカーをめざす場合、「自分たちには、なにが足りないのか?」「それを得るには、どうすればいいか?」といったことを選手自身に考えさせたのです。

日々の練習においても、監督は手取り足取り指導しません。選手たちが目標に向け正しく努力できているかをチェックし、必要に応じて軌道修正します。理由を黒田監督は「日本代表になるようなスタープレイヤーたちは、子どもの頃から自分で課題を見つけ、それを克服して強くなったから」と語っています。

後編では、経営や人事の視点をまじえて、強いチームづくりをさらに深掘っていきます。

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プロフィール
赤羽 博行
株式会社あしたのチーム 代表取締役社長CEO
赤羽 博行 (あかはね ひろゆき)
1974年生まれ。大学卒業後、株式会社オービックビジネスコンサルタントにて財務・管理会計を中心に基幹系システムの開発、ソリューション提案、導入コンサルティングを担当。その後、設立間もないベンチャー企業であったスカイライト コンサルティング株式会社に入社。ディレクターとして最大規模のビジネスユニット責任者を担当し、人事管理、顧客管理、与信管理、請求・収納/決済、債権回収などの業務/システムのコンサルティング、ベンチャー企業の立ち上げ、新規事業の立ち上げ、事業計画策定、戦略策定など上流フェーズまで多岐に渡る多くのコンサルティング実績をもつ。人事にも深く携わり、数多くのコンサルタントの採用面接や人材育成を担当し、半期に一度の評価・査定を実施。
設立直後の2009年から当社社外取締役として参画し、2014年4月より常務取締役、2016年4月より取締役管理本部長、2017年4月より取締役経営企画本部長、2018年6月より代表取締役社長CEOに就任。


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