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ありがちな失敗パターンから学ぶ 新規事業の“正しい”取り組み方

30年以上の経験をもつ経営コンサルタントが伝授 PART1

パスファインダーズ株式会社 代表取締役社長 日沖 博道(ひおき ひろみち)

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ありがちな失敗パターンから学ぶ 新規事業の“正しい”取り組み方

「会社としての屋台骨が大きく揺らいでいるわけではないが、収益の成長が以前と比べて鈍化している」「社員のモチベーションを上げるためや組織の活性化を図るため、なんらかの起爆剤がほしい」――。そんなときに経営者の頭をよぎるのが、新規事業への取り組みではないだろうか。しかし、30年以上にわたって経営コンサルティングを行っているパスファインダーズ代表の日沖氏は、「安易な新規事業への取り組みは、会社の経営自体を傾けることになりかねない」と警鐘を鳴らす。本企画では、同氏に「ありがちな新規事業に対する失敗パターン」を教えてもらい、“正しい”新規事業への取り組み方法を検証する。今回は、その前半戦。

パスファインダーズ株式会社 代表取締役社長
日沖 博道

こんなはずでは……。 新規事業に失敗した、とある会社の話

人事畑出身のAさんが手がける会社は、人材紹介がメイン事業。業界経験は約20年と豊富で、システム開発会社へのエンジニア派遣に特化。大手の取引先も多く、順調に拡大していた。従業員数は約50名。

しかし近年はエンジニア不足が顕著になり、圧倒的な売り手市場に。プロジェクト案件は豊富だが肝心のエンジニアが確保できず、事業は縮小していた。

「人材紹介事業で落ち込んだ売上をなんとか補填しなければ」と、いろいろ考えたAさんが新たに手がけた新規事業は、エンジニアの採用コンサルティング。自分たちで人材を確保するのではなく、クライアントのエンジニア採用をサポートしようと考えたのだ。「同じ人事部門が顧客対象なので、ヨコ展開も可能だろう」と。

ただ、採用自体のノウハウが社内にあるわけではないため、外部から採用アドバイザーを次々に引き抜き、個々の能力まかせで支援することに。

最初のうちこそ順調にいくようにみえたが、思うような成果が出なくて、徐々に低迷するようになった。それだけにとどまらず、会社の信用を失ってしまったことで、同じ人事部門を対象とした人材紹介事業の落ち込みも加速化してしまうという最悪の事態に。

まだ続けているものの、風前の灯火状態。エンジニアの採用コンサルティング事業は、完全に失敗といえる結果になってしまった…・・・。

―そういうテーマなのはわかっていましたが、のっけから暗い話になってしまいましたね。

失敗事例に学ぶというお話でしたからね。冒頭のお話はあくまで事実をもとに若干手をくわえていますが、新規事業に取り組むうえで実際に起こりがちな典型パターンのひとつとして、あえて紹介させていただきました。

―ではさっそくなんですが、上記の取り組みはなにがダメだったんでしょうか。コンサルタントの視点で聞かせてください。

新規事業を行ううえで重要な姿勢は「逃げ」ではなく「攻め」の新規事業

順を追って話させていただきますね。いきなり「事業に取り組む姿勢」という観念的な話になってしまうのですが、問題のひとつはAさんが「人材紹介事業で落ち込んだ売上をなんとか補填しなければ」という発想で新規事業を始めたことです。

ー「低迷する事業を別事業で打開したい」という気持ちはわからないでもないと思いますが・・・。

簡単にいうと、攻めてないんですね。「新規事業をやる」という際は、そもそも自分たちの強みとなるコアコンピタンスがあり、「その強みが活かせる」と考えられる場合には、戦略的に意味をもってくるんです。「自分たちの中核事業をさらに拡大させるため、新たに橋頭堡を置くんだ」と。こういう考え方は「攻めの新規事業」です。

一方で、「主力事業の売上が落ちたから仕方なく・・・」というような考え方は危険。「逃げの新規事業」なんです。こういう思考の際は、あまり深く考えずに、いわばなんでもアリみたいな思いつきの発想に飛びつきがち。

後に「同じ人事部門が顧客対象なので、ヨコ展開も可能だろう」という思考が出てきますが、それが如実にあらわれています。「人材紹介事業の営業をする際、そのついでとして気軽にできそう」という、経営者の安易な発想が透けてみえる気がしませんか。

自社内に根づいていない経験やノウハウに頼るのは危険

ー手厳しいですが、そのように思えます。

大事なことですので、あえて厳しくいわせてください。人材紹介事業と採用コンサルティングは、一見すると関連がありそうに思えますよね。しかし、「外部から採用アドバイザーを次々に引き抜き、支援することになっていることに」と後述しています。つまり、自社の強みを活かすのではなく、外部まかせになってしまったのです。

もちろん、個々の採用コンサルタントはそれなりに経験やノウハウをもっていたかもしれません。だからこそ、最初はうまくいくようにみえたのでしょう。しかし、会社として「経験やノウハウがない」ということもあり、「こういう提案をしていこう」といったようなすり合わせも体系化も行わなかった。結果として、事業の核たるノウハウの共通化やブラッシュアップが図れず、個別バラバラの対応になってしまった。それができていれば、もっと違った結果になっていたかもしれません。

そして最終的に、本来なら自分たちの強みであった人材紹介事業にも悪影響をおよぼすことに。自分たちの強みを活かして伸ばすための新規事業のはずが、逆に自分たちの強みを消すことになってしまったのです。

ー解説ありがとうございます。とりあえず、前半戦はここまでということで。次回は「どうすれば新規事業を成功に導けるか」の方法をより具体的に聞きたいと思います。

今回のおさらい

日沖 博道(ひおき ひろみち)

パスファインダーズ株式会社 代表取締役社長

1957年、三重県生まれ。一橋大学経済学部卒業。テキサス大学経営大学院修士課程修了(MBA)。アーサー・D・リトル(ジャパン)にて幹部を務めた後、独立して投資先企業の経営執行に携わる。その後、日本ユニシスで統括パートナー、アビームコンサルティングでディレクターを務める。戦略策定、ビジネスモデル開発、M&A支援、業務・組織・制度の再設計、マーケティングを専門とし、多様な業界で30年以上にわたるコンサルティング経験を有する。2012年5月にパスファインダーズ株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。著書に『BPMがビジネスを変える』(日経BP企画)、『フォーカス喪失の罠』(ダイヤモンド社)などがある。2018年11月から、『フォーカス戦略』と『新規事業開発』に関する経営者同士の活発な情報交換をする場として『羅針盤倶楽部』の運営を行っている。

会社概要

パスファインダーズ株式会社
所在地/東京都港区三田3‐12-16 山光ビル8F
設立/2012年5月
資本金/300万円
事業内容/新規事業戦略を中心とする経営コンサルティング・サービス
URL/https://www.pathfinders.co.jp/

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