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経営者とともに、中小企業を 大人ベンチャーに導く新機軸の出資者
いま、投資市場はスタートアップ企業に熱い視線を送っています。ただ、「そればかり」になっていませんか? 成長を追求し、そのための出資を求めているのはスタートアップ企業だけではありません。本企画では、設立からの長い戦いを経て、なおベンチャースピリットを失わず、さらなる成長をめざす「大人ベンチャー」を取材。その成長戦略のリアルに迫ってきました。
 今回は特別企画として、成長意欲をもつ中小企業を大人ベンチャーへと導くグロース・キャピタル・ファンド、WMパートナーズ代表の徳永さんが登場。中小企業がグロース・キャピタル・ファンドの出資を受けることで、どのようなメリットが生まれ、どのようにして大人ベンチャーへと成長していくのか。徳永さんに、経営者から寄せられた悩み相談に答えてもらう形式で、解説してもらいました。「えっ、ファンドがこんなことまでやってくれるの!?」という驚きの連続です!

人財を採用できない悩みを解決できる

 


[読者の悩み相談①幹部人財の確保]

首都圏郊外でニッチではあるが市場シェアの高い製品を開発・販売しています。働きやすい環境づくりや、福利厚生の充実といった施策で現場の人員は確保できていますが、経営幹部人財はおらず、すべてを社長の私がやっている状態。IPOをめざしたいと考えており、まずはCFOを採用したいのだが、こんな会社に来てもらえるでしょうか…。


 

――徳永さん、いきなりですみません。いま、多くの経営者が人財採用に頭を悩ませているので、この相談を最初にもってきました。でも、ファンドの業務領域の範囲外ですよね。

 

いいえ、課題解決の支援ができますよ。中小企業が人財を確保できない原因のほとんどは、「社長がリクエストしている人財スペック」と労働市場とのミスマッチにあります。多くの場合、社長さんが直接、人材紹介会社やヘッドハンティング会社などへ、採用したい人財のリクエストを出していると思います。今回の質問のケースでいえば、たとえば「株式上場の実務の経験があり、公認会計士の資格をもつ若い人」とか。でも、そんな優秀な人は、質問者の方がおっしゃる通り、なかなか来てくれないわけです。

 

――WMパートナーズのような「グロース・キャピタル・ファンド」の出資を受けている企業の場合、なにが変わるのですか。

 

まず「社長が本当に必要としているのは、どんなスペックの人財なのか」の相談にあずかることができます。質問のケースでいえば、いきなりCFOを採用しようとしていますが、それは果たして適切なのかを、現状の会社のステージ、組織体制を踏まえて社長と一緒に考えていきます。

 

一例を示すなら、「IPOはめざすのはいいですが、まずは社内で月次決算をスピーディに行い、数字をもとに経営判断できる体制をつくるステージではないでしょうか。ならば、CFOはいらないですよね。簿記の知識があって、やる気がある人財で十分です。CFOは、事業が軌道に乗り、大型の資金調達を行うタイミング、IPOに向けて監査法人が決まったり、証券会社が決まったりするタイミングで採用すればいいのです。このステージであればCFO人財が求人に関心をもってくれる可能性が高まります。また、制度としてストックオプションの付与といった報酬を設計することで、採用できる確率も上がります」といった具合に、必要な人財像をしぼりこんでいくわけです。

 

そのうえで、私たちのもつネットワークから紹介することもできますし、改めて人材紹介会社やヘッドハンティング会社に依頼することもできる。労働市場とマッチしている条件なので、採用できる可能性がぐっと高まりますよ。

 

――なるほど。人材紹介会社やヘッドハンティング会社は、経営者の要望をそのまま受け取って、企業の体力にそぐわない高報酬の人財を紹介するか、労働市場をかんがみて、社長の求める条件にまったくあわない人財を紹介するか、どちらかになりがちです。

 

そのような人を採用したとしても、企業の実情にマッチしていないので、すぐに辞めてしまうリスクがあります。人材ビジネスの立場では入社させるまでが仕事。でも、私たちは経営者の方と一緒になって、出資した会社の事業を成功させ、成長させることが仕事なんです。だから、「企業成長のために、いま必要な人財の条件」を検討し、採用し、定着させるところまで経営者に伴走します。

 

また、場合によっては、私たちから一時的に専門家を送り込むことも。これなら、人財を新たに採用する必要はないわけです。

 

事例(経営体制構築支援):エイスリー
https://inouz.jp/times/wmpartners/herocasting-2/

“成功するまで責任をもつ”支援者になる

 


[読者の悩み相談②海外への進出]

当社の製品を大きな展示会に出展したところ、予想以上に海外の企業と取引する機会が増えました。そのため、海外進出をめざすようになりましたが、地方の中小企業なので、資金やノウハウがありません。いい流れがきているので、ぜひ挑戦したいのですが…。


 

――少子化で国内市場の縮小が見込まれるなか、海外進出することで売上を伸ばしていきたい経営者は多いと思います。このようなニーズに対して、グロース・キャピタル・ファンドは出資企業に対してなにかできることはありますか。

 

ええ、あります。まず、きちんとした調査からお手伝いします。私たちの海外ネットワークを活かして、海外に市場があるかどうか、そのなかでしっかりとしたポジショニングを確立できるかを確認していきます。そのうえで、自社で拠点を設けるのがいいのか、最初は代理店方式で製品を売っていくのがいいのかなど、フィジビリティスタディから支援をしていきますよ。

 

――似たようなことは海外進出専門のコンサルタント会社もやってくれそうです。WMパートナーズの支援の特徴はなんでしょう。

 

海外進出して成功する、その最後まで責任をもってサポートする点が違うと思います。コンサルタントの場合は、自分がもっているネットワークを紹介する、あるいは進出に必要な専門知識を提供するところまでが仕事ですよね。私たちの場合、「進出したとして、売上を伸ばせるかどうか」まで検証します。さらに実際に進出し、利益を出すところまで支援を続けます。

 

――そこが「経営者と一緒になって、出資した会社の事業を成功させ、成長させることが仕事」のグロース・キャピタル・ファンドならではの支援ですね。ところで、WMパートナーズが海外に詳しいのはなぜですか。

 

私たちは大手ベンチャーキャピタル、日本アジア投資から独立して設立されたという経緯があります。前職では日本からアジアへの投資をあつかっていたため、アジアを中心に海外に太いネットワークをもっているのです。また、当社会長の松本が、日本アジア投資時代、シリコンバレー子会社のCEOを務めていた関係もあって、シリコンバレーにもネットワークがありますよ。

 

事例(海外進出支援):ソノーラテクノロジー
https://inouz.jp/times/wmpartners/soundenvironment-2/

 

ファンドが情シスとして機能する

 


 

[読者の悩み相談③IT化の推進]

地方で親が経営していた会社を引き継ぎました。地方は少子高齢化の波をとくに受けて人が減っており、業務をIT化し効率的に運営していきたいと考えています。しかし、長く勤めている社員たちに知見をもつものがおらず、社内で導入イメージの統一ができないため、業者の選定ができず悩んでいます…。


 

 ――IT化をいかに進めるか、企業の死活問題として悩んでいる経営者の方は多いと思います。グロース・キャピタル・ファンドが入ることでどのようなサポートが可能になるのか、詳しく教えてください。

 

実際にあった例をもとにお話しすると、私たちが投資をしたあと、まずメンバーのITコンサルタントを送り込み、課題を抽出していきました。経営陣にIT化の方向性について同意していただいたうえで、若くてやる気のある社員をアサインしていただき、私たちが送り込んだITコンサルタントと一緒に専任チームを立ち上げて、全社的にヒアリングをかけました。そして、各業務の見える化を実現して、どの業務をITに置き換えられるかを洗い出していったのです。「業務の見える化」ができたこと自体、大きな成果のひとつだったと考えています。

 

そのうえで、いちばんふさわしいIT化のデザインを考え、最適なツール、最適なシステム開発会社をスクリーニング。実際のシステム化を実行していきます。結果的に最短の納期で、最低のコストで、最高のソリューションになったと自負しています。

 

――WMパートナーズが果たした役割を、ITコンサルティング会社に依頼したら、相当なコストがかかりますね。

 

コストが高くなるだけでなく、自社のなかにITに精通した人がいない場合、専門家のレポートやシステム会社の見積もりの内容を評価できないケースがほとんどだと思います。それでは、最適な結論を導くことはできません。その点、私たちはITに詳しいメンバーがそろっているうえに、出資先の価値を上げていくことを責務としている。ですから、最適な結論を導く支援ができるのです。いってみれば、株主である私たちを「情報システム部門」として活用できるメリットがあるわけです。

 

事例(IT化支援):アイエスエイ
https://inouz.jp/times/wmpartners/isa-2/

 

社長の不得意分野をやってくれる存在

 

――株主を情シスとして活用するというのは、おもしろい発想ですね。ほかに、グロース・キャピタル・ファンドを「〇〇部門」として活用する例があったら聞かせてください。

 

そうですね、「広報部門」として機能したケースがあります。地方企業によくあるのが、PRすることが得意ではないケース。メディアの人たちがどんなことに注目しているのか、情報をどこにどういう表現で発信すれいいのかわからない。せっかくいい技術やサービスをもっているのに、PRが下手で埋もれてしまうことも多いのです。非常にもったいないことなので、私たちが広報分野での支援をすることもあるわけです。

WMパートナーズ株式会社

設立/2013年7月
資本金/3,000万円
事業内容/グロースステージ企業に対する投資事業
URLhttps://www.wmpartners.jp/


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