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  • ソノーラテクノロジー#1 ニッチトップの技術系ベンチャーがさらなる成長のためにグロース・キャピタル・ファンドと組む
ニッチトップの技術系ベンチャーがさらなる成長のためにグロース・キャピタル・ファンドと組む
いま、投資市場はスタートアップ企業に熱い視線を送っています。ただ、「そればかり」になっていませんか? 成長を追求し、そのための出資を求めているのはスタートアップ企業だけではありません。本企画では、設立からの長い戦いを経て、なおベンチャースピリットを失わず、さらなる成長をめざす「大人ベンチャー」を取材。その成長戦略のリアルに迫ります。
 今回は、自動車や家電製品を開発するメーカーが製品の音響データを収集するための無響室・防音室の製造でトップを走るソノーラテクノロジーが登場。社員数が10名に満たないベンチャー企業ながら、日本代表する大手企業からも依頼を受ける高い技術力を誇ります。設立から15年を経て、さらなる成長のために同社が打った手は、意外にもM&Aによってファンドと組むことでした。そこには、どんな想いや戦略があったのでしょうか。代表取締役会長の青木さんと取締役社長の鈴木さんに聞きました。

職人魂とモジュール化で高収益を実現

──社員数10名程度のベンチャー企業が、トヨタ自動車、ソニー、キヤノンといった、日本を代表する巨大企業と取引しています。その理由はどこにあるのでしょう。

鈴木 競合他社の多くと違って、顧客企業のニーズにきめ細かく対応するために、 “一品モノ”の製品をゼロベースで設計し、開発していることが大きいでしょう。音の検査とひとくちにいっても、顧客が計測する音の環境は、温度や湿度といったさまざまな条件を変更して測定することが求められます。

そのうえ、多様化する消費者のニーズに対応するために、私たちの顧客であるメーカーは音に相当なこだわりをもって開発を進めています。

たとえば電気自動車。ガソリン車ではなく、電気自動車を選ぶ消費者は、「騒音が出ない」ことを重視する人も多い。でも、電気自動車が一般に普及してきたのは最近。どのメーカーも「どういうクルマならどんな音を発するのか」という知識をもっていないんです。

開発するたびに、さまざまに条件を変えてテストする必要がある。こうしたさまざまなニーズにこたえられるだけのノウハウを蓄積してきたので、当社は圧倒的な競争優位を築いているといえます。

──ニッチな分野で実績を積み重ね、経験の蓄積による“職人魂”ともいうべき能力で差をつけてきたわけですね。とはいえ、そのようなやり方はコストがかかるのではありませんか。

青木 一般的にはそうです。その点、私たちはファブレス型の製造業という形態を採用しています。それも私たちの強みにあげられると思います。富士山の麓にテクニカルセンターを設立し、研究を重ねて、製品のモジュール化に成功しました。

これにより、たとえ“一品モノ”の製品であっても、モジュールの組み合わせにより製造できます。その結果、低価格を実現することができるようになり、外注先に製造を委託するファブレスの形態も採用できました。

当社の従業員ひとり当たり付加価値額は1,600万円に達します。モジュール化を進めたうえで、ファブレス型の独自性の高いビジネスモデルを構築できたことが、私たちの競争優位の源泉になっていると思います。

会社のオーナーは従業員である

──経済産業省『平成26年企業活動基本調査』によれば、中小製造業の従業員ひとり当たり付加価値額は平均762万円。2倍を超える生産性ですね。一方で、ベンチャー企業では、組織面で体制の整備が十分でない場合が多いと思います。ソノーラテクノロジーでは、組織上の課題にどのようなものがありましたか。

鈴木 職人肌の従業員一人ひとりの能力に頼る部分が大きいので、個人プレーが多くなり、組織的な事業推進に課題があったように感じます。顧客が全国に散らばっていることで、従業員の出張も多かったので、会議を開いて情報共有やコミュニケーションの増進を図るようなこともしなかった。

従業員数が10名程度の組織体なので、「一人ひとりに目が行き届かない」という事態にはなりえませんが、ルールが不明確でルーズな点はあったように思いますね。

青木 風通しがよい自由な社風を従業員が望んでいたこともあって、この課題には有効な対策が打てなかったということもありますね。優秀な従業員をつなぎとめるために、規律を重要視しすぎることの弊害にも気を配る必要がありました。

──なるほど。ベンチャー企業ならではの壁ですね。そのなかで、従業員の能力を最大化するために取り組んできたことはありますか。

青木 従業員にオーナー意識をもってもらうために、2008年からほとんどの社員に自社株を保有してもらいました。日本でよくある同族経営の場合、従業員は「雇用されている感」が強く、会社を自分たちが盛り立てていく意識に欠けるきらいがあります。

そこで、会社の経営に責任をもってもらうために打った手です。従業員の株の保有は少人数だからこそ実現したことかもしれませんね。ねらい通り、従業員が「会社を自らの手で成長させるんだ」というモチベーションを高く保ちながら、その能力を発揮してくれるようになったと思います。

「いつかは会社を売却する」意識があった

──それはベンチャー企業ならではの解決策ですね。しかし、独立独歩のベンチャー企業として業績が順調に推移していたにもかかわらず、2018年8月、WMパートナーズからの出資を受け入れましたね。どのような理由で出資の受け入れに踏み切ったのでしょうか。

鈴木 じつは当初、出資を受け入れる予定はなかったんです。デューデリジェンスをおこなって株式価値の客観的な評価を受けることを目的として、企業売却の話を進めてみた、というのがホンネのところだったんです。

青木 当時、株式価値の客観的な評価を得ようとした理由は、私たちが創業当時から、「いつかは会社を売却する」という想定のもと、経営をおこなってきたことにあります。相続しながら長期にわたり経営を持続させることが日本では美徳とされています。

でも、企業価値が高いときに会社を売却し、それで得た資金を元手に、また新たな事業を開始することは米国などでは一般的です。私自身もそんなふうになんども事業をゼロから立ち上げる「シリアルアントレプレナー」をめざしたい、という想いもありました。

鈴木 それで、中間評価という意味合いで、現時点での企業価値の算定を得ようとしたわけです。その結果は、想定以上の高評価でした。当然、株式は評価が高いときに売却すればリターンは大きくなります。株主となっている当社の従業員の賛同も得られたため、WMパートナーズとの提携に踏み切りました。

──なるほど。一般的に企業売却というと「身売り」というネガティブなイメージがあり、「買収されたあと、社員がリストラされて…」といった話がつきまといますが、ソノーラテクノロジーの場合はまったく違いますね。

鈴木 そうですね。予想以上に株価が高く、従業員一同、なかなか手にすることができないまとまった資金を得ることもできたので、みんな喜んでいました。それに、町工場から始めた企業を「自分たちのチカラで成長させた」という実感もあったのではないでしょうか。

ソノーラテクノロジー株式会社
設立/2003年8月
資本金/4,480万円
売上高/5億5,000万円(2019年6月期)
従業員数/10名(2019年6月)
事業内容/産業防音事業、音響計測事業、建築音響事業
URL/ https://www.soundenvironment.jp/


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