ブレークスルーしたベンチャーの肖像
#3
コンサル出身のIT起業家が得た成功法則は「泥くさいことをやりきる」 Sponsoredかえでファイナンシャルアドバイザリー

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「どうすれば利益を極大化できるのか」「どうすれば強い組織ができるのか?」─。こうした悩みを抱えているベンチャー経営者は多いですよね。そこで、M&&Aアドバイザリーやデューデリジェンスなどを提供、ベンチャーの成長戦略に詳しい“かえでファイナンシャルアドバイザリー”代表の佐武さんをナビゲーターに、新進気鋭のベンチャーの成長戦略の“裏側”を取材しました。今回は、オフィスに設置した冷蔵庫へ健康に配慮した食事を提供する“ぷち社食サービス”『オフィスおかん』を展開する、おかん代表の沢木さんが登場。導入企業1,000超に拡大するまでのヒストリーに迫りました。


<ポイント>

『オフィスおかん』はオフィスに冷蔵庫・専用ボックスを設置し、健康的なお惣菜を1 品 100円で提供。オフィス内でいつでも購入することができる。企業がサービス利用料金を毎月支払うサブスクリプションのサービスです。「育児と仕事との両立に役立つ」「外食やコンビニ食より健康的で低価格」と従業員に評判。それを受けて“働き方改革”“健康経営”につながると、導入する企業が急増中。斬新なビジネスモデルが成功要因であることは間違いないでしょう。それにくわえて、リアルビジネスならではの製造や物流の仕組みをつくりあげた努力もありました。

【回答する人】

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沢木 恵太(さわき けいた)
株式会社おかん 代表取締役 CEO
1985年生まれ。2012年に株式会社おかんを設立。

 

【ナビゲートする人】

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佐武 伸(さたけ しん)
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社 代表取締役
1962年生まれ。2005年に株式会社サンベルトパートナーズ(現:かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)を設立。

クラウドサービスの発想で法人市場を切り拓く

──沢木さんはコンサルティングファームで事業立ち上げに携わった後、Webベンチャーで事業責任者を務め、さらにスタートアップに創業メンバーとして参画。満を持して2012年に、おかんを立ち上げた新世代の起業家です。主力事業の『オフィスおかん』には、どんなテクノロジーを活用していますか。

導入いただいている拠点ごとに、ユーザーの利用動向を取得してデータベース化しています。データに基づいて、自社システムで需要予測を立て、「いつ、どの商品を、どれだけ入れるべきか」を判断しています。最適な商品構成と品数を最適なタイミングで配送することで、賞味期限切れで回収する量を減らす。さらに「次にどんな商品をラインナップとして入れるべきか」と、商品開発にも活用しています。

また、テクノロジーの活用とは言えませんが、「法人向けのソリューションサービスでの定額課金をするサブスクリプションモデル」は、ITのクラウドサービスの発想をリアルビジネスに持ち込んだとも言えます。

──なるほど、斬新なアイデアですね。それが健康志向のビジネスパーソンや「働き方改革」を推進する企業のニーズをとらえ、導入社数が1,000を超えるほど支持されました。そこへいたるまでにぶつかった、いちばん大きな壁はなんでしたか。

「モノをどうつくり、どう動かしていくか」という部分では、けっこう泥くさい大変さがありました。どれだけITを活用しているといってもリアルなビジネスです。モノがそろわなければ事業になりません。スタート時に製造パートナーとして1社、協力してくれるメーカーがあったのですが、事業の急成長とともに供給体制が追いつかなくなっていき、新たな協力会社の開拓が必要になりました。現在の7社体制にもっていくまでは、苦労しましたね。

ビジョンを語り続けて協力会社を獲得

──どんな苦労があったのでしょう。

なかなか相手にしてもらえなかったんです。惣菜自体の特徴として、私たちがエンドユーザーに届けたいのは、添加物の使用をできるだけ抑えた食品です。一方で、企業に届けて冷蔵庫に入れた後、長くおいしさが保持されなくてはならない。「両立する食品をつくってください」と、メーカーにお願いしても、いっこうに首をタテに振ってもらえませんでした。

一つひとつの商品をつくるのに手間をかければ、両立できます。ですが、最初は当然、小ロットの発注です。継続して発注されるのかどうか、メーカーからしたら不安ですし、「そんな依頼のために、手間をかけてつくる意味があるのか」という声をいただくこともありました。

──メーカー側に立てば、当然の反応ですね。どうやって説得したのですか。

足しげく通い、私たちのビジョンを説明し続けるしかありませんでした。「いま、多くのビジネスパーソンが仕事に忙しく、家では育児や介護に追われ、食事を手づくりするのも大変。ランチは外食やコンビニ食になり、栄養がかたよりがちです。そんな人たちに健康的な食事をリーズナブルな価格で届けたいのです」と提案しました。やがて、この考えに共感してくれるようになり、製造体制を構築できました。

「手間をかけてつくってもらうことに見合うお金は支払います」と約束したことも、協力会社になってもらえた理由のひとつになっています。エンドユーザーには低価格で食品を提供しますが、それにくわえて、企業からも福利厚生予算のなかからサービスの利用料金を受け取るので、その分、協力会社に還元できます。とはいえ、そうした利益の面よりも、私たちのミッションに共感して「そういうことなら、つくってみよう」と思ってもらえたことのほうが大きいですね。自ら「ウチは“おかんファミリー”だ」と言ってくれるほど、共感してくれた協力会社もあります。

社長自ら自転車で商品を届ける

──なるほど。では、メーカーがつくった商品を顧客企業に届ける物流の仕組みは、どうやって構築したのでしょう。

同じように「泥くさいことをやり切る」ことで、構築していきました。スタート当初は「いつ、どの商品を、どれだけ入れるべきか」を判断するためのデータがない。まずお届けして、データを集めなければならない。そこで初期は、私自身が自転車をこいで配送していた時期もあります。配送先が増えることで、ユーザーの利用履歴のデータ量が増え、需要予測の精度が上がり、最適な配送ができるようになりました。

“ぷち社食サービス”は私たちがパイオニアなので、データの蓄積量では私たちが先行しています。これから参入する企業が私たちと同等以上のデータ量を蓄積するのはそう簡単ではない。競合が参入しにくい状況をつくれたのも、「泥くさいことをやり切った」からこそです。

──斬新な事業アイデアはあっても、それを実行・継続する仕組みをうまくつくれず、失敗してしまうベンチャー企業も多いと思います。なぜ、沢木さんは「泥くさいことをやり切れた」のでしょう。

私だけでなく、メンバー全員が社会的な使命感をもっています。それが圧倒的な源泉になっているからでしょうね。私たちには「働くヒトのライフスタイルを豊かにする」というミッションステートメントがあります。これに共感する人材だけにジョインしてもらい、あらゆる意思決定において「それはミッションステートメントからみてどうなのか」を判断軸にしています。使命を果たすために、愚直にやるべきことをやり続けることをいとわない。だから、やり切れたんです。

──今後の成長戦略を教えてください。

2つあります。ひとつは『オフィスおかん』をさらに伸ばしていくための取り組みです。サプライチェーンのなかにテクノロジーを入れて、より顧客満足を高めたり、効率化していきます。たとえば冷蔵庫へのIoTの導入や、需要予測へのAI導入など、いろいろできると思っています。

そしもうひとつは、新規事業をつくる取り組みです。「働くヒトのライフスタイルを豊かにする」というミッションステートメントに合致する事業であればよく、「食」という領域にこだわっているわけではありません。法人向けサービスだけでも、まだまだ私たちにやれることはたくさんあると考えています。たとえば働き方改革や健康経営の領域で、経営課題の可視化やそれを解決に導くコンサルティングに携わる可能性もあります。

──今後の成長戦略のなかでIPOは考えていますか。

計画はあります。株主に報いることをしていきたいですし、今後の事業展開のうえで資金需要もありますので。ただし、企業成長のゴールではなく、ひとつのマイルストーンと位置づけています。

いずれは海外でも展開したい

──最後に、長期的なビジョンを聞かせてください。

「働くヒトのライフスタイルを豊かにする」というミッションのもと、社会の大きな問題を解決することが、まず大前提にあります。それを達成できれば、今度はその成果を海外にもっていきたい。労働人口の減少は、日本が先進的に課題を抱えています。今後、ほかのアジア諸国は同じような過程をたどることになるでしょう。日本でいま、適切なソリューションパッケージをつくれれば、海外に応用できるのです。

働き方改革も健康経営も、まだまだスタンダードがない領域です。私たちが会社ごとの課題の可視化や、それを実現するための処方箋をつくっていくことを愚直にやりきれたならば、ひとつの大きなソリューションパッケージになっていくのではないかと思います。将来的に働き方改革・健康経営の文脈のなかに、必ず私たちがいる。そんな存在になりたいですね。

 

<解説>成長の潮流
多様な企業が集結してソリューション提供するM&A戦略に期待

Webメディア上の記事や広告を通じて、あるいは主催する総務・労務・人事担当者向けのセミナー・イベント・展示会・勉強会などを通じて集客。飛び込みやテレアポなどは一切行わず、ほぼプル型の営業だけでここまでの支持を獲得してきたという、おかん。非常にスマートな印象がありますが、実は「徹底して泥くさいことをやりきるチカラ」こそが強みです。言葉で言うのは簡単ですが、そこでやるべきことをやりきれていないがために、行き詰まっている企業は少なくありません。これからの時代、テクノロジーの知識やデータをあつかうノウハウは不可欠ですが、かといってITだけではダメ。「IT+泥くさいことをやりきれるチカラ」が、ベンチャー企業の成功要因なのです。

「気持ちよく仕事ができる環境」をつくるというニーズは、今後巨大化していく可能性が大いにあります。多様なソリューションやサービスにチャンスがあるので、「食」の領域に特化するのではなく、M&A戦略の推進も視野に入れ、さまざまな新事業展開を検討するという、おかんの戦略には合理性があります。この領域で、独自のソリューションをもっている会社や、いいコンテンツをもっている会社はたくさん存在するので、ぜひ、M&Aに限らず、タイアップや業務連携をなどの手段も駆使して企業を集結させ、大志を果たしてほしいですね。

佐武 伸
佐武 伸(さたけ しん)
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社 代表取締役
1962年生まれ。2005年に株式会社サンベルトパートナーズ(現:かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)を設立。

株式会社おかん
設立/2012年12月
資本金/1億5,263万7,000円(資本準備金含む)
従業員数/45名
事業内容/
1. ぷち社食サービス「オフィスおかん」
2. お惣菜の定期仕送りサービス「おかん」
URL/https://company.okan.jp/

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社
設立/2005年1月
資本金/2,000万円
売上高/3億円(2018年3月期)
従業員数/9名
事業内容/
1. M&Aアドバイザリー
2. 事業再生コンサルティング
3. 組織再編コンサルティング
4. 企業・事業評価
5. 財務調査 (デューデリジェンス)
URL/http://www.kaedefa.com/


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