ブレークスルーしたベンチャーの肖像
#6
ITサービスを地方へ広める方法は 足で回って直に会って熱意をもって説く Sponsoredかえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社

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「どうすれば利益を極大化できるのか」「どうすれば強い組織ができるのか?」──。こうした悩みを抱えているベンチャー経営者は多いですよね。そこで、M&Aアドバイザリーやデューデリジェンスなどを提供、ベンチャーの成長戦略に詳しい“かえでファイナンシャルアドバイザリー”代表の佐武さんをナビゲーターに、新進気鋭のベンチャーの成長戦略の“裏側”を取材しました。今回は、ペライチ創業者の山下さんが登場。無料HP制作ツール『ペライチ』を全国展開、大きな支持を得ています。地方創生が叫ばれるいま、地方市場の攻略を成長戦略に組み込むベンチャー経営者も多いはず。山下さんに「地方企業へのITサービス提供で実績をあげる要諦」を聞いてみました。


<ポイント>

誰でもカンタンにすばやくHPを制作できる無料ツール『ペライチ』。無料にすることで、まず使ってもらい、よさを実感してもらう。そのうえで、より高度な機能をもつ有料版の販売につなげる2段階戦略で、ペライチは企業成長を遂げています。この戦略で攻略したのが、地方市場。HP制作サービスの領域は完全なるレッドオーシャン。そこから抜け出そうと、IT利活用の潜在需要があるはずの地方企業攻略をめざして失敗した例は多くあります。ペライチがそこで実績をあげられたのは、「地方を足で回って、地元企業の経営者と直に会い、熱意をもってサービスの必要性を説く」という超アナログ戦法でした。その労苦をいとわない、地方創生への熱い想いが根底にあったからこそ、でした。

【回答する人】

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山下 翔一(やました しょういち)
株式会社ペライチ 創業者
1983年生まれ。2014年に株式会社ホットスタートアップ(現・株式会社ペライチ)を設立。

 

【ナビゲートする人】

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佐武 伸(さたけ しん)
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社 代表取締役
1962年生まれ。2005年に株式会社サンベルトパートナーズ(現:かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)を設立。

HPは地方企業のIT化への “初めの一歩”

──HP制作サービス『ペライチ』のユーザーが全国の法人・個人をあわせて14万になるそうですね。多くの支持を得られている理由はなんでしょう。

シンプルに、HPが誰でも知っているもので、プロモーションの入り口的な存在だったからです。ユーザーのほとんどは地方企業の経営者や、地方在住の個人事業主・フリーランスといった方々。その大半は、東京に比べれば、ITリテラシーが高くありません。そこへ、いきなり「マーケティング」とか「高度なITソリューション」などをお届けしようとしても、「概念がいまひとつピンとこない」のです。

しかし、HPであればITに苦手意識をもつ地方の高齢者や主婦の方々でも概念はすでに知っている。地方でのHP普及率は小規模法人で50%を切り、個人事業主やフリーランスだともっと低い。でも「実際に開設している人が周囲にいる」ケースはけっこうあるし、ご自身がもっていなくても、日々いろいろなHPは生活のなかでみかけます。そしてそのわりに、正しく活用できていないケースがほとんど。だから、IT利活用の“初めの一歩”を踏み出すのに、HPは最適なのです。

──地方ではHPですら普及していないのですか。なにが壁になっているのでしょう。

制作を依頼できる相手が見当たらない一方で、自分で制作するだけのリテラシーはないことです。機能面やデザイン面ですぐれたHPの制作サービスを提供できる会社は、都市部に集中している。地方の方々は、東京以上に「人の信用」を重視しているため、見ず知らずの都市部の制作会社に発注したり、クラウドソーシングを使うことに抵抗を感じる人がまだまだ多いんです。かといって自分で制作できるかというと、既存の制作サービスでは技術面・知識面でのハードルが高すぎるのです。そして、地方では人も企業も、都市部と比べ所得や売上が低い傾向にあるため、都市部ほどにはHP制作にお金をあまりかけられないということもありますね。

──なるほど。そこで誰でもカンタンにすばやくHPを制作できる無料ツール『ペライチ』で地方市場を切り拓いていった、と。

ええ。『ペライチ』はまず、無料で始められます。そして、「1ページのなかにおさめる」のがコンセプト。コンテンツが多くなってから、すぐに多層構造型にできる仕様になっています。情報リテラシーが低い方が、初めて自分でHPを制作するにあたって、多層構造型のサイトの構成を考えること自体が高いハードルになっているからです。そして、制作画面を極力シンプルにして完成形をイメージしやすいように、テンプレートを商材や業種ごとになるべくリアルかつ具体的な記述にし、必要な情報を自社の情報に書き換えるだけにしています。「穴埋め形式ならできる」という方がすごく多いですから。

さらに、あえて「動かせない」「拡大・縮小できない」ようにしているところがたくさんあります。「自分流にカスタマイズしたい」というニーズもありますが、コアユーザーであるITリテラシーの低い方々にとって、デザインの自由度をあげることは、「公開までのハードルを極度に上げてしまい」かつ「デザイン性を大きく損ねる」ことになるからです。「まず初めの一歩を踏み出す」という意味においては「ガイドに沿っていけば完成する」くらいの仕様であることのほうが重要なんです。我々の競合は類似サービスを提供する会社ではなく、「ITはなんとなく苦手、触るのが不安」という人々の“苦手意識”だと思っています。

「HPはつくれる」を当たり前にして、その先へ。

──とはいえ、定型化してしまうと、没個性的なHPができあがり、プロモーションの効果が少なくなってしまう心配はありませんか。

いいえ。まず、そもそもHPがなかったところは、新規開設できただけでプラスになります。一方、じつは地方には「HPはあるが更新されず放置されているので、機能していない」というところが非常に多い。つくることが目的化してしまい、その後の運用については「自分でやると手間がかかるし、外注していたらそのつどお金がかかる」と投げ出してしまうからです。『ペライチ』を使えば更新も簡単にできるので、運用面が大いに改善され、結果としてプロモーション効果はアップします。

そしてなにより、地方企業の不得意分野であるプロモーションを『ペライチ』の活用で簡単にすませて、みなさんが自分たちの本質的な仕事、つまり、いいプロダクトやサービスをつくることのほうに時間とお金を投資できる環境をつくれたほうが、よっぽど収益が上がります。それを支援するのが、当社の裏テーマでもありますね。

──確かに、その通りですね。

当社は「つくれるのその先へ」というビジョンを掲げています。これまではHPを「つくれない」状態だったので、「どうやったらつくれるんだろう」に意識が向いていました。でも『ペライチ』があれば「つくれる」。つくれるんだから、それを前提に「事業や活動をどう成長させていくべきか」、そして「その先の目的の達成や幸せの実現」に、意識を向けてもらいたいのです。当社は、そのときに必要となるさまざまなサービスを提供できるパートナーになりたいと考えています。

IT企業の地方での成功に必要なのは「信用・信頼」

──多くの企業が「地方市場を攻略したい」と考えています。しかし、うまくいっている例は少ないのが実情です。ペライチが成功できたのは、なぜでしょう。

IT企業が地方のビジネスシーンに入っていくために、いちばん足りていないものを得る努力を惜しまなかったからです。それは、「信用」。地方には、「そもそもPCに触ったことがない」「起動の仕方がわからない」「カナ変換ができない」なんて人がザラにいます。日本にインターネットが普及し始めてから20年以上も経つのに、なぜこんなにもITの利活用が進まないのか。コストやリテラシーといった導入におけるハードル面はありますが、それ以上に「信用」が足りていないのだと、年間の半分を自ら地方に足を運ぶことで気づきました。

──どのような面での信用・信頼が足りていないのでしょうか。

「インターネットに対する信頼がない」「サービス提供者に対する信頼がない」「それを広める人に対する信頼がない」という3つですね。そのための信用が足りてないのです。ネット広告やCMでは、地方の方々の本当の意味での信頼は得られないんです。認知は得られても、利用にはつながりにくい。たとえ利用につながってもユーザー自身でそのサービスを活用して成長につなげられる確率は極めて低い。東京ではビジネスにおいて「メリット」が重要視されますが、地方ではそれが通用しづらいんです。IT利用の“はじめの一歩”も、それを活用して成長につなげるにも、信頼できる人が「寄りそってあげる」ことが重要なのです。

それで私は、まず自分がその「信頼できる人」になろうと、創業直後から想いを伝えるため、そして握手をするためにを全国各地を回りました。いまでも月の半分以上は全国を飛び回っています。自治体の首長や地域の方々にお会いしてディスカッションや意見交換をしたり、年間で100回くらいは各地で講演もしています。

「顧客が顧客を呼ぶ」最強の販促に成功

──IT企業らしからぬ、超アナログな方法ですね。

自分で足を運ばないということは、自分のサービスを使うお客さんの声を聞いていないのと同じ。地方の事業者さんや個人の方々を救いたいと思うのであれば、まずは自らそこに足を運ぶのは当然のことだと思っています。それも「東京から地方に来てやってる」という意識ではダメなんですよね。「来させてもらっている」という意識だったり、なによりも「その地域が好き」ということがいちばん大事。そしてそれをいかに地域の方々に感じてもらうかが信頼関係の構築には重要です。そこにいる人の目線に寄り沿わなければ、地方の人は動いてくれません。

私自身が各地の一人ひとりと向き合っていくことを積み重ねた結果、当社の想いや考え方に共感してくださる方々が増えて、自然に輪が広がってきている。「このサービスいいね」だけでは、自分で使って終わりですが、想いに共感していただけると、自発的に「このサービスを広めたい!」「広めなきゃ!」という想いが生まれてくるんです。

──ユーザーが、身近の人によさを伝えてくれ、広がっていく。最強のマーケティングができている、と。

そうですね。そこにいたるまでの最初の2年間、私は1日も休まず、『ペライチ』というワードが入ったSNSの投稿はすべて目を通し、返信もしくはライクやファブをしていました。マイナス意見を見つけたら感謝を伝えたうえで、お詫びをするときは素直にする、誤解がある場合はていねいに意図を説明したうえで誤解をとく。そうやって接していると、そこからファンになっていただけるケースも少なくないんですよね。ファンになっていただいた方に実際に会いにいき、そこで直接想いをお伝えすることで、さらに強くファンになっていただける。そんな方々が初期の「ペライチサポーター」という役割を担ってくださったんです。

──どのような役割なのでしょうか。

『ペライチ』に興味をおもちの方や、活用方法に悩んだ方に対し、直接、寄りそって相談に乗ってくれたり、一緒になって課題の解決に寄りそってくれる存在です。いまではほぼ47都道府県をカバー、全体で数百人ほど。単なる操作手法の伝授ではなく、そもそも「なにをやりたいか」「なにをやらなきゃいけないか」さえ明確になってない人たちが、そのレベルから気軽に相談できるような存在です。スーツを着た専門家が「これいいから使いなよ」っていうだけではダメで、もっと身近にいる、信頼できる人間から教えてもらえる環境が、日本のIT利活用の推進には必要だったんです。“寄りそってくれる人”がいないと踏み出せないし、途中であきらめてしまいますからね。

「IT×人」、つまり「導入しやすいツール」×「信用できる人」というかけあわせを実現できたことが、当社のいちばんの強みです。

──サポーターの存在のおかげで、地方にオフィスをかまえる必要もない。大きなコスト低減にもつながっていますね。

ええ。当社は株式上場を見すえています。採算がとれない事業はいずれ縮小しなければならなくなる。マーケットサイズが小さく、かつITリテラシーの低い地方では、都心よりもていねいな対応が必要。なにも考えずに地方に支社をかまえスタッフを配置するだけでは、将来必ず採算があわなくなることが目に見えています。それで地方から撤退しては本末転倒、地方の方々を救いたくて始めたサービスですから。それならば、いまのうちからコストを極力かけないで、しかも地方の方々により本質的な価値を提供するために、当社が管理するのではなく「悩みを抱えた人の身近にいる人に、自発的にフォローしてもらえる体制を構築しよう」と考えました。

もうひとつ、別の意義があります。地方創生においては「自立」が重要だ、ということです。国民の一人ひとりが国や自治体から依存することをやめ、経済的にも精神的にも自立することが、当社が「地方創生」として成し遂げたいことのひとつなんです。だからこそ、地方に営業所を置いて販売攻勢をかけるようなやり方よりも、地方の人と人とのつながりのなかで地方企業のIT化を推進していくほうが、この目的にもかなっています。それに、“東京もん”のセミナーを聞いて結果を出すよりも、地域の方々から口伝えしてもらったほうが、IT活用が進んだその先も、地域というムラ社会のなかでうまくやっていけるんです。

もっとも、将来的には私達も47都道府県にオフィスをかまえようとは思っていますけどね。ただそれも「販売するための拠点」とはとらえてはおらず、コミュニティの拠点としてとらえています。

『ペライチ』ではページ内の来訪者の動向を詳細に見える化するツールとも連携していて、地方企業が自らHPを制作し、運用するなかで、ユーザーのことを考えるようになり、結果を出すための試行錯誤をするようになるんです。そうして自分たち自身で学んでいく一連の過程にこそ、自立的な成長がある。当社のあるべき姿として“成長プラットフォーム”という言葉を掲げているのは、そういった想いからです。

全国の経営者の心に火を点けたい

──今後の成長戦略を教えてください。

「一億総ネット利活用時代」を目指していきます。最終的にやりたいことは、世界じゅうにITの利活用ができる人たちを増やしていき、マーケティングやPRをはじめとした事業主さんたちのビジネスにおける悩みを解決し、成長に寄与し、みんなが平等に使えるインフラをつくっていく。そうすれば、みんなが純粋にサービスやプロダクトの価値で勝負できる時代が来る。自分自身が好きなことや得意なことに注力して、幸せな生活を送れる社会を実現することが、当社のビジョンなのです。

これは私個人としての夢でもあります。じつは、私は「夢は世界平和」と公言しているような子どもだったんです。まったく変わっていませんね(笑)。

──会社としては、どんな出口戦略を想定していますか。

株式上場を目指しています。ただそれもあくまで通過点。つきつめれば、私の仕事は「人を集めて、火を点けること」。地方は基本的にコンパクトで閉鎖的な経済圏で回っていて、地域に長く根づいてきた企業が多くあります。3代目4代目5代目なんて経営者もザラにいます。先代から引き継いできた人は「会社を継が“なきゃいけない”」「先代までが売ってきたモノを、私の代でも同じように売ら“なきゃいけない”」という“なきゃいけない”思考に陥りがち。そういう方々に、私は「世の中に価値を還元できるなら、その商品にこだわらなくでもいいのでは?」「あなた自身がワクワクするようなビジョンを描けているかどうかがいちばん大事では?」とはたらきかけています。

経営者がワクワクしていれば、従業員のモチベーションも変わってくる。地方経済が盛り上がりに欠けるのは、人々の「やろう」という気持ちの部分が、じつはいちばん足りていないから。各地で火を点けて、ペライチというツールの存在もあることで、「自分も一回やってみよう!」という気になってもらえたらうれしいです。

──「全国の経営者を鼓舞したい」という想いがあるのですね。

はい。じつは私の父も地方企業の経営者。ITリテラシーは非常に低かったんです。それが『ペライチ』をつかって2時間弱でHPをつくれた。そこから好循環が起きました。HPを更新するためにでかけたり、スマホももって、Facebookも始めました。ITに対する苦手意識がなくなったことで、ITセミナーに積極的に参加したり、IT系の展示会にペライチとして出展したり(笑)。いまでは名刺にARを埋め込んで動画を流せるようにしたりしています。社長がイキイキしはじめると、会社のムードも変わる。攻めの姿勢になっていくんですね。経営者がワクワクする絵を描いて、自分が楽しいことをするのがいちばん。「好きなように絵を描ける」ことが、経営者の特権なのですから!

<解説>成長の潮流
「冷静な手腕」と「熱き情熱」が地方産業の活性化という市場を拓く

地方において後継者不足が深刻化する企業をどうするか。なにもせずに手をこまぬいていれば法人数が激減するのはもう見えています。早ければ10年後、海外から「日本の姿が見えなくなってしまう」ほどになってしまうのではないか…。と、私も危惧しています。すでに60歳を超えている高齢の経営者も多い。HPについても、東京では名刺がわりの当たり前の存在ですが、地方では1〜2割の企業しかもっていない実感値があります。しかし今後は、他社とのアライアンスをはかるにせよ、マーケティングの新たな施策を打つにせよ、地方企業はITを利活用していくほかないでしょう。 ここに、IT企業にとって、大きな潜在市場があるのは間違いありません。では、この市場を切り拓くのに必要なのはなにか。「貴社のため」「あなたのため」につくすのだというメッセージを熱く説くことが肝心。理想の社会づくりに対する熱い想いが印象的な山下さんを見ていて、強くそう感じました。若い情熱と人を巻き込む手腕をもって、ぜひその想いを実現していってほしいなと期待しています。

佐武 伸
佐武 伸(さたけ しん)
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社 代表取締役
1962年生まれ。2005年に株式会社サンベルトパートナーズ(現:かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)を設立。

ペライチ株式会社
設立/2014年4月
資本金/3億563万5,047円(資本準備金含む)
従業員数/45名
事業内容/Webサービス『ペライチ』の開発・運営
URL/https://peraichi.co.jp

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社
設立/2005年1月
資本金/2,000万円
売上高/3億円(2018年3月期)
従業員数/9名
事業内容/
1. M&Aアドバイザリー
2. 事業再生コンサルティング
3. 組織再編コンサルティング
4. 企業・事業評価
5. 財務調査 (デューデリジェンス)
URL/http://www.kaedefa.com/


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