ブレークスルーしたベンチャーの肖像
#5
オープンイノベーションの時代を 勝ち抜くカギは「正直な経営」です Sponsoredかえでファイナンシャルアドバイザリー

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「どうすれば利益を極大化できるのか」「どうすれば強い組織ができるのか?」─。こうした悩みを抱えているベンチャー経営者は多いですよね。そこで、M&Aアドバイザリーやデューデリジェンスなどを提供、ベンチャーの成長戦略に詳しい“かえでファイナンシャルアドバイザリー”代表の佐武さんをナビゲーターに、新進気鋭のベンチャーの成長戦略の“裏側”を取材しました。今回は、顧客企業のWebサイトの継続的な改善や、動画広告のクリエイティブをデータドリブンに分析してスピーディーに改善することで、収益向上を導くKaizen Platform代表の須藤さんが登場。グロースハッカーと呼ばれる特化型ネット専門人材、約9,000名のネットワークをもつのが強みです。オープンイノベーション時代の申し子ともいうべき同社の成長を支える根幹に迫りました。


<ポイント>

多くの企業が自社運営のWebサイトをつねに改善しようとしているが、人材の確保に窮しているのが実情です。そんななか、Kaizen Platformは、世界各国・約9,000名にのぼる、Webサイトや動画広告の改善の高度なスキルをもつ「グロースハッカー」のネットワークを構築。顧客ごとにプロジェクトチームを組成して改善を果たしています。カイシャという枠組みを超える革新的なビジネスモデルを構築できたのは、「オープンイノベーションの時代は、経営者がつねに正直であることが成功のカギ」という代表の須藤さんの確信がありました。

【回答する人】

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須藤 憲司(すどう けんじ)
株式会社Kaizen Platform 代表取締役
1980年生まれ。2013年にKAIZEN platform Inc.を米国で創業。

 

【ナビゲートする人】

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佐武 伸(さたけ しん)
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社 代表取締役
1962年生まれ。2005年に株式会社サンベルトパートナーズ(現:かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)を設立。

もはや「雇用」では優秀人材を確保できない

──2013年に米国、2017年に日本で会社を設立した若い企業でありながら、Yahoo! Japan、JAL、ネスレといった著名企業を含む300社超の事業改善支援の実績があります。短期間に多くの支持を得られた理由はなんでしょう。

「人材が足りない」という、多くのお客さまが抱えている問題を解決できるサービスだからだと考えています。現在、当社はWebサイトの改善と動画広告の改善という2つのサービスを手がけています。どちらの分野も「ツールはあっても、やってくれる人がいない」という問題がある。

それは、私自身、起業前に実体験を通して感じていたことです。前職で約600社のお客さまのWebマーケティングのお手伝いをしていました。どこへ行っても「人が足りない」とグチをいわれたり、「須藤さんのチームを貸してくれない?」ともちかけられたり。「みなさん、同じ問題で困っているんだな」と思い、解決できるサービスを提供しようと、起業に踏み切ったんです。

──なぜ、そこまで人手不足になるのでしょうか。

2つ要因があると思います。まず、需要に対して専門人材が圧倒的に少ないこと。エンジニアやデータサイエンティストの求人倍率は5〜6倍で、採用枠がそもそも埋まらない現状がある。そしてもうひとつは、人気企業の傾向が変わってきていることです。こちらはより根深い問題だと思いますよ。“ネット人材”といわれる人たちは、レガシーと呼ばれる、従来の人気企業を避けがち。それよりもインターネットネイティブで誕生してきた会社を選ぶ傾向が強い。マネジメントスタイルも取り組んでいる事業テーマも、彼らの好みにあうからです。

──「会社として雇う」という方法では、人材を確保できないわけですね。そこで、「グロースハッカー」のネットワークによって、社外の人材が改善にあたるという仕組みを考えた、と。

ええ。IT領域のプロジェクトでは、働く時間と場所に制約は少ない。たとえばシリコンバレーに在住しているエンジニアが、日本でのプロジェクトに参画することも可能です。それに、優秀な“ネット人材”ほど、「このプロジェクトはおもしろい、取り組みがいがあるな。報酬も悪くない」と思われるような仕事にひかれる。企業側が「いまこの問題に困っています」という課題をオープンにすれば、その問題が困難であればあるほど、人は集まってくるんです。

──須藤さんが画期的なビジネスモデルを考案できた、きっかけを教えてください。

2011年の東日本大震災のときの経験です。前職時代に震災にあい、通勤手段が機能せずオフィスへの出社が難しくなった。そこで2週間、メンバー全員リモートワークで仕事をしたんです。すると、過去最高の業績になった。「出社しないと人は働かない」というのは、極めてマユツバものだな、と。「出社」とか「常駐」という働き方に対する疑念が生まれると、さらに「雇用」も疑わしくなった。「ちゃんと働いてもらうには、雇用しないといけない」なんて、誰が決めたのかと。そういう常識を疑ってみた先に、いまの当社のビジネスモデルがあったのです。

顔をあわせなくてもチームワークは機能する

──なるほど。とはいえ、「自社の事業のコアとなる領域の仕事を、リモートワークの社外の人材に任せる」ことに不安を感じる経営者も多いと思います。たとえば、セキュリティ面での不安に対して、どんな対策を講じていますか。

アクセスできる情報の選別をしっかりやっています。たとえば機密性の高い数値データがあったとして、「社内では実数を見られるけれども、社外メンバーは対前年比のような指数でしか見られない」など。また、個人情報については社外には完全非開示。さらに、機密漏えいについてのトレーサビリティを重視していて、クラウド上でいつ、誰が、どんな操作をしたかは全部わかるようにしています。万が一、問題が起きても特定できますので、漏えいが起きるリスクを低減しています。

セキュリティに敏感な大手金融機関やキャラクターなどの版権に厳しい企業からの依頼も受けているのは、セキュリティ問題をクリアできているあかしでしょう。

──「リモートだとサボる」と考える人もいます。

仮にサボったとしても、基本、成果に対して報酬を支払う方式を取っているので、サボったぶんはカウントされません。それに、むしろリモートのほうが、生産性が上がるケースが多い。昔、ある社内エンジニアに聞いた話を紹介すると、「打ち合わせや会議が多く、実際にコードを書けているのは稼働時間の30%くらい」。対面の会議はテーマがあいまいなまま、時間をついやしがち。でも、リモートでは「そもそも会議ができないから、とにかく決めてしまおう」となり、結果的に意思決定のスピードが速くなるんです。

──社外メンバーがリモートで参加していても、チームの一体感は保てますか。

ええ。従来のものとは違うカタチで、チームワークは生まれています。毎年、当社に登録しているグロースハッカーの中から優秀者を表彰する『グロースハッカーアワード』を開催していて、そこで初めてプロジェクトメンバーと顔をあわせるケースがあるんです。そこかしこで「あなたがあの人ですか!」とクライアントとメンバーが盛り上がっている。「仕事に一緒に取り組んだ仲間」という感覚があるんでしょうね。

社外のメンバーがいたほうが、よいチームワークが生まれる面もあります。社内メンバー同士だと、「上司に遠慮して、思ったことを強く主張できない」なんてことも起きがち。しかし、デジタル領域のビジネスは残酷なくらいに数字で結果が出ます。上司に忖度して気に入られたとしてもユーザーに気に入られなければ意味がない。社外メンバーがいたほうが、かかわる全員が「もっとお客さんのことを考えなければ!」と考える方向に行くと思いますよ。

「あと10ヵ月でつぶれる」と社員に告白

──たいていの不安はクリアしているんですね。では、こうした形態のプロジェクトが普及していった未来、会社という枠組みはなくなっていくんでしょうか。

なくなることはないでしょう。人材育成や与信、継続的なサービス提供の保証など、会社という枠組みのほうが効率的にできるものもありますから。ただ、会社と個人の中間的な存在として、「プロジェクトごとに集まるチーム」のような“部活以上、会社未満”の存在が担う領域がもっと拡大していくのではないでしょうか。

それに、会社自体のあり方も変わっていくと思います。当社の社員についてもリモートワークで働いているメンバーが多くいます。沖ノ島で経理をやっている社員もいますよ。アメリカのチームもサンフランシスコ、フロリダ、ロサンゼルス、ニューヨークに分散しています。それでも仕事は円滑にできています。東京・白金高輪に構えたオフィスに「会社がある」のではなくて、「プロジェクトを提供する場が会社」という感覚ですね。

──そんな新しいスタイルの会社が、2017年の上半期に経営危機に直面したそうですね。なにが起きたのか詳しく教えてください。

「やばい、このままいくと10ヵ月くらいでキャッシュアウトしてしまう」という状況に陥ったんです。その時期、3つのできごとが同時に重なったのが理由です。1つは本社をアメリカから日本に変える意思決定をしたこと。国内のほうがマーケットとして伸びていたので。でも、その手続きに想像以上にキャッシュが必要でした。2つめは年度末の対策をしなかったこと。3〜4月は年度替わりで終了するプロジェクトが複数あった。それをカバーする手を打っていなかったので、単純に売上が落ちました。そして3つめは会社移転コストです。これらにより、キャッシュフローが極端に悪化したのです。

──どのように乗り越えたのでしょう。

たったひとつ、私が取った方策は社員に対して「正直に言った」ことです。

──みなさん、暗い表情でうつむいて聞いていたのでしょうか。それとも、「経営の責任だろう!」と批判大会になってしまったとか…?

いいえ。みんな、意外に明るくて、「つぶれるんですか? ウケる!」なんて反応でしたね(笑)。お客さまのプロジェクトで、問題を解決して改善していくことに慣れているからか、実感がなかったのかもしれませんけど。ふだんの経営発表ならばたくさん質問が来るのに、そのときはとくに質問もなかった。「どうせ、みんなでがんばるんでしょ」と。

それで、「会議室のトビラを開けておくから、危機脱出のアイデアがある人はもってきて」と伝えたんです。そうしたら、いいアイデアがたくさん来た。一例をあげるならば、「より上流工程の戦略に関する分析サービスをやりましょう」とか。実際にサービス化して、いまではかなりの売上になっています。

そうしたアイデアをまとめて、『KAIZENリバイバルプラン』を作成。そのプランが始動して3ヵ月ほどで本質的な問題は解決していきました。その後は資金調達も開始して財務面を強化。それから、以前のオフィスを「居抜きで借りたい」というところがあらわれて、利益改善につながったり。運もありましたね。ほかの経営者に危機を乗り越えるコツを聞かれたら、「運と正直」といいたいですね(笑)。

──「正直に話そう」と覚悟を決めることができたのは、すごいですね。

いえいえ。覚悟とかいうほどのことではなく、自分のなかではふつうのことです。うまくいっていないのに、うまくいっているフリをしていたら、助けてもらえる案も出てこない。それは会社にとって損ですよね。カッコつけるよりは、いいときも悪いときも正直であったほうが誰にとってもいいのではないか、というだけですね。

──「グロースハッカー」の事業で、顧客企業がとるべき態度と同じですね。

まさにそうです。正直に「いま、これが問題だ」とオープンにすれば、グロースハッカーたちから解決策のアイデアが出てくる。でも、クローズにしていたら、どこからも助けは来ない。ネットの領域はアイデアをどんどん試せる世界。複数のアイデアで迷ったら、とりあえず全部やってみて、売上が高いほうを選べばいいだけ。失敗することも大きな価値になり、次はそれ以外のことをやっていけばいいわけです。だから、アイデアをたくさん集めたほうが勝ち抜ける。そして、アイデアを集めるための唯一の条件が、「経営上の問題をオープンにする」ということです。

海外ではエリアごとに戦略を変える

──今後の成長戦略について教えてください。

3つあります。まずひとつは、グロースハッカーの事業で、よりデータを駆使したサービスを展開していくこと。最近、ユーザーの属性に応じて画面表示を細かく変える“パーソナライズ”が重要視されてきています。そのニーズにこたえるため、最新のテクノロジーを応用して、ミクロの局地戦をたくさんやっていく予定です。

もうひとつは、動画広告の改善。言葉や静止画よりもわかりやすい強みがあり、すごく伸びている分野。今後、VRやARなど新しい広告のフォーマットが多々出てくると予想されますが、新しい分野なので制作できる人が足りない。そうなると、我々の出番です。できる人材は世界中を探せばどこかにいる。そうした人材を集めてチームを組成し、お客さまに提供していきます。

3つめは、エリア拡大です。現在、アメリカと韓国に拠点を置き、ビジネスを始めています。今後はさらにほかの地域へ拡げていく予定。ただ、アメリカや中国などの巨大マーケットでの戦い方と、韓国、台湾、東南アジアなど、それよりは市場規模の小さいエリアでの戦い方は大きく変えています。巨大マーケットの場合、顧客をもっている会社と提携するか、現地企業をM&Aするやり方で市場を獲得しに行きます。一方、アジアの場合は、M&Aをすると非常に割高で、自前で行くとお金も時間もかかる。従って、「現地の人たちにやってもらって、ロイヤリティをください」というフランチャイズ戦略が最適と考えて、韓国でフランチャイズモデルをすでにスタートさせています。

企業としての足腰の強さを証明してIPOを

──どんな出口戦略を想定していますか。

2〜3年以内にIPOを目指しています。

──IPOへ向けての改善課題をあげるとすれば、なんでしょう。

コーポレート面や管理会計面の強化でしょうか。事業面やものづくりのやり方の面から成り立ってきた会社なので、コーポレート面はあと回しになってしまったきらいがあります。クラウド上でいろいろな人が働いているわけですから、本来ならリアルタイムで会計データも取れるはずなのに、それができていない。管理会計面の整備がこれからの課題です。

より基本的なことでいうと、IPOのためにも、目先の業績だけではなく将来に向けた、「事業としての実力値が高く、持続的成長が見込めるかどうか」「会社の足腰の筋力がしっかりとついているかどうか」といった点をしっかり証明していかなければいけない、と思っています。

<解説>成長の潮流
ようやく到来した「経営課題をオープンにする」時代

 

当社ではM&A案件を手がけています。そのなかで、売り手側の企業の経営者にいちばん伝えていることは、「経営課題を正直に公開してください」ということです。なぜなら、その経営課題を解決できる企業が、いちばんよい買い手になるからです。でも、なかなか公開してくれないケースが多い。「自社のうまくいっていないこと、つまり経営課題はクローズにしておくべき」。一般的には、そう考える経営者が大半だからです。しかし、その考えはもう時代遅れになってきています。Kaizen Platformの快進撃がそれを証明しています。 一方で、「仕事をするには正社員にならなければ」と考える私のような世代からすれば、Kaizen Platformのような仕事の進め方は、非常にカルチャーショックでした。もっとも、リモートワークを主体とするプロジェクトをまとめていくのは決して簡単なことではないだろうと思います。こうした「先進的な働き方をマネジメントできる能力」をもてるかどうか。それが次の時代の主役になれる条件かもしれません。

佐武 伸
佐武 伸(さたけ しん)
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社 代表取締役
1962年生まれ。2005年に株式会社サンベルトパートナーズ(現:かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)を設立。

株式会社Kaizen Platform
設立/2013年3月
資本金/2億7,399万円 (2018年1月1日時点)
従業員数/55名
事業内容/
マーケティング支援事業
URL/https://kaizenplatform.com/ja/

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社
設立/2005年1月
資本金/2,000万円
売上高/3億円(2018年3月期)
従業員数/9名
事業内容/
1. M&Aアドバイザリー
2. 事業再生コンサルティング
3. 組織再編コンサルティング
4. 企業・事業評価
5. 財務調査 (デューデリジェンス)
URL/http://www.kaedefa.com/


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