ブレークスルーしたベンチャーの肖像
#4
マーケティングオートメーション市場の成長株 設立3年で導入企業800社超を実現した戦略 Sponsoredかえでファイナンシャルアドバイザリー

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「どうすれば利益を極大化できるのか」「どうすれば強い組織ができるのか?」─。こうした悩みを抱えているベンチャー経営者は多いですよね。そこで、M&Aアドバイザリーやデューデリジェンスなどを提供、ベンチャーの成長戦略に詳しい“かえでファイナンシャルアドバイザリー”代表の佐武さんをナビゲーターに、新進気鋭のベンチャーの成長戦略の“裏側”を取材しました。今回は、有力ベンチャーキャピタルから出資を受け、数年内のIPO実現を目指して準備を進めているtoBeマーケティング株式会社代表の小池さんが登場。国内外の競合がひしめくデジタルマーケティングの世界で、設立3年で導入支援企業800社超という急成長を遂げたヒケツに迫りました。


<ポイント>

“マス”ではなく“大勢の個”をターゲットにするため、業務が煩雑になりがちなデジタルマーケティング。それを自動化することで大幅に業務を効率化するマーケティングオートメーション。最先端を行くITツールの活用支援者として、国内で先頭を走るのがtoBeマーケティングだ。急成長を可能にしたのは「まず取引件数を増やす。そのために、導入の敷居をできる限り低くするサービスプランにする」という戦略でした。「まずは収益性よりも、世の中の役に立つサービスで、多くの企業に提供する」という経営者の強い信念がその裏側にありました。

【回答する人】

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小池 智和(こいけ ともかず)
toBeマーケティング株式会社 代表取締役 CEO
1972年生まれ。2015年にtoBeマーケティング株式会社を設立。

 

【ナビゲートする人】

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佐武 伸(さたけ しん)
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社 代表取締役
1962年生まれ。2005年に株式会社サンベルトパートナーズ(現:かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)を設立。

明朗会計のパッケージプランが武器に

──「マーケティングオートメーション」の分野で、2015年の設立からわずか3年にもかかわらず、導入支援企業が860社になったそうですね。支持を集めている理由を、どう分析していますか。

市場が急拡大していることと、各パートナーとの協業、そして当社のサービスプラン構成によるところが大きいと思っています。まず、市場についていえば、マーケティングオートメーションはいま、ものすごく伸びています。当初はプロダクトを積極展開しているITツールベンダーやWebマーケティングを中心にサービス展開している成長企業などが導入していました。しかし、いまは業種や企業規模の大小にかかわらず、マーケティングオートメーションやデジタルマーケティングの必要性を否定する企業はもはやどこにもいない状況です。

当社のサービス構成については、初期導入をする際に、敷居の低いプランにしています。一般的に、システムの導入の場合、ベンダー側が提供する導入支援サービスは定価がないケースがほとんどでしょう。顧客企業の業種や売上規模、担当者のデジタルマーケティングへの精通度合いといった事情がまったく異なるので、案件ごとに見積もりをして、価格を決めているからです。でも当社は違います。初期導入支援サービスは「60万円」か「90万円」か。2つのプランだけです。金額そのものが導入しやすいことと、業務項目と範囲を明確にすることで明朗会計にし、初期導入においては、追加コストがかかる不安がないこと。それにより導入へのハードルが低くなっていることが、ここまで支持を拡大できた要因のひとつになっていると考えています。

──確かに、顧客企業にとっては安心ですね。

はい。初期導入が終わり、活用のフェーズに入ってからも「明朗会計」でサービスを提供しています。専任コンサルタントが顧客の担当者と伴走しながら、マーケティングオートメーションのベネフィットが最大化され成果を創出できるように、カスタマイズしていくサービスです。これについては、「定額の時間当たり料金×コンサルタントの稼働時間」だけでサービス料金が決まるんです。

──ほかのIT支援ベンダーとは異なるやり方を採用できた理由はなんでしょう。

「当社のサービスはもっと世の中のお役に立てる」「もっと世の中に早く広げていくべきだ」という想いが根底にあるからです。マーケティングオートメーションは新しいITサービス。だから、顧客企業としては「どれくらいの効果を、どれくらいのコストで出せるのか」がわからない。正直、我々にとっても正確にそれを算出できるものでもない。でもその不安感から、導入に二の足を踏んでしまいがちです。それではなかなかマーケティングオートメーションを普及させることはできません。だから、その不安感を払しょくするサービスプランにしたのです。

サービスの提供開始後、50社ほどを手がけた段階で、「業種・業態・規模に関係なく、当社がお手伝いする支援業務内容は共通項が多いな」と見当がつきました。そこで、思い切って定額プランにしたのです。いまでも、価格やサービスプランの内容をよりよいものに変えていくために、随時、支援内容の変更や追加をしています。でも、「わかりやすい価格」という姿勢は変えないつもりです。

人財育成の体制づくりが急務

──非常に順調に業績を伸ばした3年間だったのではと思います。そのなかでぶつかった、いちばん大きな壁はなんでしたか。

いくつかあるなかで、ひとつは人財教育ですね。マーケティングオートメーションは新しい分野。世の中に「経験者」と呼べる人財はほとんどいないので、基本的には未経験者を採用することになります。そうしたメンバーを、顧客企業の支援ができるレベルにまでどうやって引き上げていくか。育成の仕組みづくりをはじめ、私自身も含めた教育する側のレベルの引き上げ、採用する人財の質の向上など、課題は多い。徐々にそれぞれの課題をクリアしつつありますが、「まだ道半ば」という認識です。

──新しい分野だけに、知識やスキルを身につけるのに時間がかかるのでしょうか。

いいえ。デジタルマーケティングは、研究者レベルの知識が必要な分野というわけではありません。初心者でも3ヵ月も勉強すれば基本的な機能はインプットできます。それよりも必要になってくるのは、顧客企業のニーズや期待、意図などをくみとるチカラ。そして、顧客の担当者と一緒に考えながら、最適なマーケティングオートメーションの活用案を提示できるチカラ。そのようなコミュニケーション・スキルです。

これは教えるのが非常に難しい領域。でも、顧客が「もういちど、お願いしたい」「知り合いに紹介したい」という気持ちになるかどうかは、コミュニケーション・スキルがいちばんのキモだと考えています。

──顧客が急増しているなかで、人財育成に時間がかかると、成長戦略に支障をきたす心配があると思います。

はい。現状でも東京・名古屋・大阪以外の顧客が100社を超えていますし、すべての顧客に「コンサルタントが伴走する活用支援サービス」を提供するのは困難になりつつあります。そこで当社では先手を打って、「顧客自身にマーケティングオートメーションの活用方法を学んでいただく機会」を増やすことに注力しています。

具体的には、2つの取り組みがあります。ひとつは「MAnaviサポート(マナビサポート)」というサービス。その中のひとつとして、当社オフィスを会場にして、定期的に顧客企業の担当者に集まっていただき困りごとをシェアし、ディスカッションしながら解決していくものや、オンラインセミナーが受講できるほか、動画などで活用方法を伝授するコンテンツを閲覧してもらい、活用スキルを磨いてもらおうというものです。現在400社ほどが入会。オンラインのセミナーや動画コンテンツはとくに好評なので、今後もっと増やしていきたいですね。

基本戦略は「増やして肥やす」

──今後の成長戦略について教えてください。

創業以来、「増やして肥やす」を基本戦略にしています。まずは取引件数を増やしていくことに注力する。そのうえで、1社1社の顧客のニーズにこたえて、さまざまなサービスを提供し追加の受注額を増やしていく。そういう戦略です。それは今後も変わらないですね。

取引件数を増やしていくためには、最初の受注額が少額でもかまわない。そこは腹をくくっています。とにかく、お客さまとの接点を増やし、当社のサービスを提供できる機会が増えなければ、そもそもお客さまのマーケティングを支援し成果を創出することはできません。そのために、多くの仲間を増やしオフィスもよりよい環境へ移転しました。そのため、当社はまだ赤字の会社なんです。

──そこまで腹をくくれる経営者は少ないと思います。

「このサービスは絶対に支持され、普及するはずだ」という確信があるからかもしれません。またマーケティングオートメーションについても、とにかく導入していただき、使っていただければ、その効果がわかり、どんどん広がっていくはずと考えています。だから、まず取引をしてもらうことが肝心なんです。とはいえ、お客さまの利用目的や成果に対する当社の支援について「課題や力不足がまだまだある」と日々思い悩んではいます。

──顧客数を増やしたあと、「肥やす」ことについては、どんな計画があるのですか。

デジタルマーケティングに関連する、さまざまなサービスラインナップを用意していきます。すでに10種類ほどのサービスがあります。たとえばEFOサービス。顧客のWebサイトにあるエントリーフォームを最適化するものです。マーケティングオートメーションによって自社サイトへ来訪してくれたユーザーの属性ごとに、いちばんエントリーしやすいエントリー画面が表示されるようにして、コンバージョンの最大化をはかります。

今後も顧客企業の困りごとを解決するサービスを企画・開発し、ラインナップにくわえていきます。そのための専門チームも組成しています。また、自社開発だけでなく、いいサービスをもっている会社と組むことについても、積極的に動いていきます。

IPO準備で見えてきた経営者の使命

──どんな出口戦略を想定していますか。

ベンチャーキャピタルからはこれまでに合計6億3,000万円の調達をしていますので、IPOは当然の使命としてやらなければと思っています。「数年以内」を見すえて準備をしており、現在は内部統制をしっかりやっていこう、というフェーズです。

準備を進める中で気づいたことがあります。当初は「内部統制か。なんだか面倒な気がするな」などと思っていたんですが、勉強や準備をするうちに「これは上場企業であるかどうかに関係なく、企業であれば当たり前のこととしてやらなければいけないことなんだ」と思うようになりました。いまは「IPOを実現するために」を意識しているというより、「当たり前のことをしっかりやっていける会社にしたい」という想いで経営にのぞんでいますね。

──IPOによって調達する、資金の使途計画を教えてください。

当社のことを知っていただくための広告宣伝や、多くの企業によりマーケティングオートメーションを活用していただくためのオンライン支援システムの開発などを考えています。地方の中堅・中小企業を含め、より多くの企業へマーケティングオートメーションを広げていくためには必要なことだと思っています。

──地方企業へも広げていくビジョンがあるんですね。

はい。「いい商品・サービスを提供しているけれど、マーケティングのリソースが不足しているために、拡大できない」。そんな悩みを抱えている企業は多いと思うんです。私は前職で地方企業を担当していたこともあって、どんな困りごとを抱えているか、イメージがあります。デジタルマーケティングは距離の垣根を越えられるのが強み。その地域だけを市場にしていたら限界のある商品・サービスでも、マーケティングによって拡大できる可能性があります。

地方企業を含め、より多くの企業にMAを導入していただき、数年以内に「従業員1,000人、導入支援企業1万社」を達成したいですね。

<解説>成長の潮流
「中小企業の再生」領域に事業拡大と社会貢献のチャンスがある

 

当社では中小企業の再生案件を数多く手がけています。その際、マーケティングの強化は不可欠。その点は、経営層にも認知されているのですが、どうやってマーケティング・スキルを注入していくか。そこが大きな課題だと感じています。toBeマーケティングのようなプロフェッショナルの手助けを受けながら、時間をかけて取り組んでいくのがベストだろうと思います。その点で、中小企業でも導入しやすいサービスプラン構成・価格設定になっている点に感銘を受けました。

toBeマーケティングにとっても、「中小企業の再生」領域に進出することは、事業拡大と社会貢献の両面で大きなチャンスになると思います。中小企業の経営者は、「誠実に自社に向き合ってくれる」パートナーを求めています。その点、小池さんは「内部統制の整備はIPOのために必要というより、会社として当たり前のこと」と語る誠実さをもっている。きっと、顧客に対しても同じ姿勢で向き合うのでしょう。中小企業を再生に導く、よきパートナーになれると思います。

佐武 伸
佐武 伸(さたけ しん)
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社 代表取締役
1962年生まれ。2005年に株式会社サンベルトパートナーズ(現:かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)を設立。

toBeマーケティング株式会社
設立/2015年6月
資本金/6億3,694万円(資本準備金含む)
従業員数/70名
事業内容/
マーケティング支援事業
URL/https://tobem.jp/

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社
設立/2005年1月
資本金/2,000万円
売上高/3億円(2018年3月期)
従業員数/9名
事業内容/
1. M&Aアドバイザリー
2. 事業再生コンサルティング
3. 組織再編コンサルティング
4. 企業・事業評価
5. 財務調査 (デューデリジェンス)
URL/http://www.kaedefa.com/


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