「営業力」について、あらためて考えてみた。
先日Facebookにこんな投稿をしたところ、たくさんのコメントをいただきました。
自分のなかでも、「営業力」についてあらためて考えるきっかけになり、有意義でした。よい機会なので、整理しておこうと思います。
自分の投稿を読みかえすと、5つのポイントについて言及しています。今回はそのポイントを、顧客心理の視点から考察します。
顧客はどんな営業パーソンに発注したいと思うのか?
イケてる営業は、まずちゃんとこちらが話したことを聞いて受け止めて、理解したサインをくれる。
→①顧客は「わかってくれる営業パーソン」に発注したい。
自分が話し出して、長くなってきたらちゃんと止められる。で、また相手にしゃべらせる投げかけができる。
→②顧客は「対話ができる営業パーソン」に発注したい。
こちらの意見を尊重しつつも、違う見解のときは自然に自分の意見を言える。
→③顧客は「気づきを与えてくれる営業パーソン」に発注したい。
いやらしくなく商談をリードしていく。終わり方も次のアクションタイミングまで合意形成して、その上数時間後にはお礼とリマインドのメールを送ってくる。
→④顧客は「段取りを組んでくれる営業パーソン」に発注したい。
必要以上に笑わない。無理に笑顔をつくらない。でも、まったくトゲトゲしくない。
→⑤顧客は「裏表のない営業パーソン」に発注したい。
一つ一つ、簡単にですが補足したいと思います。
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①「わかってくれる営業パーソン」に発注したい。
これは一番ベースとなる必須条件でありながら、クリアできていない営業マンも多い要素だと思います。基本的に顧客は、営業パーソンの話を聞くよりも「自分の話を聴いてほしい」と思っています。理解するより、「理解してほしい」と思っています。顧客にとって一番怖いのは、伝えたことを間違って認識されることです。よって営業パーソンは、自分の理解度に不安があるときは、必ず確認を入れたほうがよいのです。
②「対話ができる営業パーソン」に発注したい。
「営業パーソンがしゃべる量」と「顧客がしゃべる量」は何対何の比率がベストなのか?よく言われてきたのは「営業2:顧客8」や「3:7」ですが、本当にそうでしょうか?私は「営業49:顧客51」くらいの感覚、つまり営業が多くなりすぎなければそれでよいくらいに考えています。ポイントは、営業パーソン自身がしゃべり出して「あ、長くなってきたな」と思ったら、そこで止められること。そのためには、顧客の表情や態度の微妙な変化に敏感であることが重要です。
③「気づきを与えてくれる営業パーソン」に発注したい。
そのテーマのプロである営業パーソンからみたときに、顧客の見解や意見が「違う!」と思うことはあるでしょう。そのときにどう対応すべきか。ここでもバランス感覚が重要かと思います。真正面から反論をすると、顧客が本音や私見を言ってくれにくくなります。一方で、全てを受け入れて肯定するのはただのイエスマンであり、介在価値が感じられません。ポイントは、肯定ではなくここでも「確認」をすること。そして反論ではなく、「示唆」をすることだと思います。
④「段取りを組んでくれる営業パーソン」に発注したい。
最後は自分の意思で発注を決めたい。多くの顧客はそう思っています。営業プロセスにおける「クロージング」の重要性は、見解がわかれるところでしょう。私は明確に、クロージングは「軽視派」です。それは前述のとおり、「迫ることが逆効果になる」ケースが多いと思うからです。大切なのは、意思決定までの道筋をつくってあげること。段取りを組むということです。その上で、提案内容が顧客にとって本当に価値あるものだと思えるならば、あせることなく待てるはずです。
⑤「裏表のない営業パーソン」に発注したい。
「営業パーソンはいつも元気よく、ハキハキと笑顔で!」と教わった方、意外と多いのではないでしょうか。でも本当にそうでしょうか?人間、いつも楽しいわけじゃない。でもたまに、いつも笑顔の営業がいます。真剣に悩みを吐露して相談しているのに、笑顔だったりします。結果的に「本音が見えない営業パーソン」という印象になり、発する言葉にも信憑性が感じられなくなります。自分のそのときの感情に素直な表情が、一番よいと思います。
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以上は私自身が顧客として営業を受けた際の評価軸ですので、多分に「好み」もあるでしょう。上記と間逆の営業のほうがよい!という顧客もいるはずですから、一概には言えませんのでご容赦ください。ただどんなに商品・サービスがよくても「この営業には発注したくない!」というケースはあると思いますし、逆もあると思います。
営業の仕事でがんばっているたくさんの方たち、営業のマネジメントや売上拡大に知恵をしぼっている管理職や経営者の方たちに、少しでも参考になるポイントがあれば幸いです。