いま国が旗を振り、大企業が推進している「働き方改革」。でも、世に言われている働き方改革が成長ベンチャー企業を含むすべての企業に当てはまる、そんな簡単なことではないように思えます。ベンチャー企業の経営者もメンバーも、そう思っているはずですよね。
成長志向のビジネスパーソンが、成長志向のベンチャー企業で働くとき、「仕事は楽しいモノ」です。みんな熱中して働いています。そんな成長ベンチャーならではの「働き方」があり、「働き方改革」があるはず。本特集では、その中身に迫っていきます!
従業員100人以下のベンチャー企業では、いまの「働き方改革」の風潮にどのように対応しているのでしょうか。100人の経営者のホンネをアンケート調査してみました。
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連載記事、前編はこちらから↓
ベンチャー経営者100人に聞いてみた。「働き方改革」で、どんな手を打っている?(前編)
93%が具体的に施策を実行中
INOUZ Times編集部では、「働き方改革」にベンチャー企業がどう対応しているのか、全国の従業員100人未満の企業の経営層100名にアンケート調査を実施しました。
━【調査概要】━━━━━━━━━━━
調査対象:全国の従業員100人以下の企業の経営層
調査方法:インターネットリサーチ
性別 :男性93人、女性7人
役職 :代表取締役55人、取締役39人、執行役員6人
回答数 :100サンプル
調査内容:「働き方改革」に関するアンケート
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[設問]いま、生産性向上を目的とした「働き方改革」がブームになっています。あなたの会社における生産性向上のための打ち手として、いちばん重要視しているものを選び、その項目の領域でどんな施策を講じているのか、具体的に記入してください。
(1)労働時間の削減
(2)テレワーク・在宅勤務の導入
(3)従業員のモチベーションアップのための施策
(4)チームワーク向上のための施策
(5)業務効率化の推進
(6)その他
具体的な施策を「とくになにもしていない」と回答したのは7人。いま、十分に生産性が高い状態なのでしょうか…? 具体的な施策を「考え中」と回答した方がひとりいて、もしかすると、それと同じ状況なのかもしれませんね。残る93人が、具体的な施策を記入してくれました。
トップダウンで強制的に帰宅させる
(1)「労働時間の削減」の具体的施策として、まずあがったのは、ノー残業デーの実施。「週に1日、残業なし」もあれば、それをさらに強化した「どんな繁忙時期でも、金曜日だけは定時退社を実施している」というものも。さらに「週に2日、ノー残業デーにしている」という回答もありました。はては「時間外労働の原則禁止」、すなわち「毎日がノー残業デー」という会社もありました。
大企業の「働き方改革」では、最前線の社員にまで「ノー残業デー」を浸透させるのに苦労しているようです。その点、トップの号令ひとつで、みんながいっせいに動くことができ、ノー残業デーも実行できるのは、ベンチャー企業ならではの強みでしょう。
強制的な「残業なし」まではいかないものの、残業管理を強化して、少しでも残業時間を減らそうという取り組みもありました。「基本的に残業は事前申請制度で、なるべく勤務時間内に仕事を完結させるように仕向けています」「残業時間管理を徹底し、トータル時間を管理しています。また“ひとり残業”を禁止しています」「時間外申請制度のもと週ごとの残業時間時間管理を行い、残業が多い部署のチェックを行っています」などなど。社員数が少ないうちからこうした制度を導入しておくと、将来、「株式上場のための制度を整えよう」というときになって右往左往しなくてすみますね。
また、ムダをはぶいて労働時間を減らし、残業削減につなげようとする取り組みをしているところも相当数ありました。「アイドルタイムをなくして効率化しようとしている」「会議の時短を推進している」「日々、長時間労働にならないように、工程管理を徹底して不要な残業をなくすように指導している」「労働時間8時間の間に、 各自が効率的に仕事をすることで、残業をなくして定時で終わるように注意しています」といった具合。一人ひとりの社員の業務の中身まで、トップがチェックできるのは、少人数のベンチャー企業ならでは、です。
社員の意識変革を促す取り組みもあります。「みんなで定時を意識するように促している」「“手際よく、オンオフの切り替えを大切にしよう”といってきかせている」などのほか、「毎朝、朝礼の時に、各自が帰宅時間を宣言する」という仕組みをもうけているところも。
変わりダネでは、「多能工化により、応援・受援の領域を拡大している」という施策もありました。少人数のベンチャー企業では、各自が専門分野に特化するよりも「なんでも屋」になったほうが効率的なのは確かです。「それは私の仕事じゃありません」と、ほかへの応援を断る社員が出そうですが…。
時間ではなく成果に対して報酬を支払う
さて、(2)「テレワーク・在宅勤務の導入」を「いちばん重要視している」項目に選んだ経営者は、みなさん在宅勤務制度をすでに導入していました。「現在すでにフルタイムでの在宅勤務制です」「基本的にすべての仕事を自宅作業のみで完結するようにしています」「ほとんどオフィスに来なくても仕事が可能な体制を整えています」。在宅勤務制度を支える取り組みとして、「大手クラウドサービス上に共有情報を集約して、最新の情報にすみやかにアクセスできる環境づくりを目指しています」というものも。
続いて、(3)「従業員のモチベーションアップのための施策」を重要視している経営者の取り組み。目立ったのは、成果に対して報酬を支払う仕組みの導入でした。「成果に対してボーナスで還元しています」「成果をボーナスに反映させています」「成果をボーナス査定に組み込んでいます」と、賞与を活用している例が多くあります。
また、「インセンティブの比率を上げています」「年度単位でグループMVPと個人MVPを決め、賞状・賞金を授与しています」「新規顧客客を開拓したり、ムダな経費を削減したりした社員に報奨金を与えています」「仕事を取ってきたら一定のインセンティブを与えています」と、賞与とは別の褒賞の工夫をしている会社も。根底には、「労働時間が長ければ長いほど報酬が増える」から「成果が多ければ多いほど報酬が増える」仕組みに変えて、社員の意識を「時間」ではなく「成果」へ向けようという経営者の考えがありそうです。
(4)「チームワーク向上のための施策」を選んだ回答者。具体策としてあがったのは、まず飲み会の開催! 「月1回の飲み会を開催しています」「年数回の懇親会、1ヵ月に2回の茶話会を実施しています」といった回答がありました。また、「ひんぱんにミーティングを開催しています」「業務報告をこまめにさせて、なにかあればすぐに連絡を取るように指導しています。また、業務報告書を作成させ、 毎日の日報という形で、その日にあった業務内容を書面で報告させるようにしています」と、コミュニケーションを密にする取り組みも目立ちました。
「談話室に卓球台などの遊戯施設を置きました」という回答もありました。オフィスに工夫をこらすことで、社員のモチベーション向上やチームワークの強化につなげようという意欲的な取り組みです。ほかにオフィスについての工夫では「ペーパーレス化」という回答も複数ありました。業務効率化につながりますし、モバイルPCの導入とあわせて推進すれば、「会社にいちど戻って資料を確認する」といったムダな作業が省け、テレワークをいっそう進めることができますね。
RPAはまだ普及せず?
最後に、(5)「業務効率化の推進」を「いちばん重要視している」と回答した経営者の取り組み。最近、話題になっているRPA(Robotic Process Automation)を導入しているかどうかも聞いてみましたが、導入企業はゼロ。定型業務をロボットがやってくれるので、人手不足が深刻化するなか、業務効率化の切り札ともいわれています。しかし、ベンチャー企業には敷居が高いモノのようです。「毎日のルーティン作業のマクロ化を進めています」という企業はありましたが…。
導入済みのものとしては「テレビ会議システム」「経費精算システム」「新製品開発の進捗が見える化されるシステム」「法人カードによる支払いの一括化」などなど。「レセプトコンピュータを導入した」というのは医療系でしょう。
「モバイルPC・iPhoneを貸与しています」「国内シェアナンバーワンの営業支援ツールを導入しました」「いまちょうど、IT製品・サービスを提供している大手企業さんと相談中です」などと、みなさんITの活用に関しては超具体的な回答を寄せてくれました。「できるだけ最新の機器を導入している」と、ITに対する感度の高さがうかがえました。
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