Flatな組織 侃々諤々
トップダウンかボトムアップか―。経営スタイルの視点で分類すると、“会社の個性”はこの2つにわかれそうです。実際、経営学の教科書では「労働集約型産業はトップダウン」、「知識集約型産業ではボトムアップ」が多いとされていますよね。
たとえばホテル・旅館業の場合は、ドアボーイ、フロント、板長、仲居さんなど、さまざまな専門職のプロたちがその役割をまっとうすることで運営されている労働集約型産業で、縦割り組織が大きな個性。それをとりまとめているのが支配人や女将で、経営学の教科書的に言うと、ホテル・旅館は支配人や女将というバランサーが全体を統率しているトップダウン型組織、と言えます。
これと違う道を行くのが星野さんが代表を務める星野リゾート。ドアボーイも料理長も、縦割りの垣根を飛び越え、ホテル運営・旅館運営について、日々、現場スタッフ総出による侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をし、星野さんはそれを見守ります。労働集約型産業でありながら、ボトムアップで知恵を出し合う。そんなハイブリッドな経営スタイルが、星野リゾート独自の価値創出を可能にしていると言えそうです。
個性やスタイルを決めつけない。それは組織や個人を成長させる方法のひとつかもしれません。統率力があり決断力に富む上司なら、あえて指示を出さずに部下の意見を募ってみる、現場視点でのキメ細かい提言が得意な人なら組織のなかでの自分の役割を突き詰めてみる、などですね。そんなハイブリッドな刺激から “意外な力”が生まれそうです。