いま国が旗を振り、大企業が推進している「働き方改革」。でも、世に言われている働き方改革が成長ベンチャー企業を含むすべての企業に当てはまる、そんな簡単なことではないように思えます。ベンチャー企業の経営者もメンバーも、そう思っているはずですよね。
成長志向のビジネスパーソンが、成長志向のベンチャー企業で働くとき、「仕事は楽しいモノ」です。みんな熱中して働いています。そんな成長ベンチャーならではの「働き方」があり、「働き方改革」があるはず。本特集では、その中身に迫っていきます!
カフェや自宅など、場所を選ばず働けるテレワーク。「働き方改革」の手段のひとつとして、いま、注目度が高まっています。新しい働き方をいち早く取り入れられるベンチャー企業は、テレワーク推進に積極的であるはず。しかし一方で、少数精鋭のベンチャー企業では、「同じ場所・時間をメンバーが共有している」という一体感が、大企業以上に必要。ベンチャー経営者たちはどちらに重きを置いているのか、両立させる方法はあるのか。そこで編集部では、100名のベンチャー経営層にアンケートをとってみました。その回答から、「ベンチャー企業とテレワーク」について考察します。
「テレワークは一体感をそこなう」が過半数
INOUZTimes編集部では、「働き方改革」にベンチャー企業がどう対応しているのか、全国の従業員100人未満の企業の経営層100名にアンケート調査を実施しました。
━【調査概要】━━━━━━━━━━━
調査対象:全国の従業員100人以下の企業の経営層
調査方法:インターネットリサーチ
性別 :男性93人、女性7人
役職 :代表取締役55人、取締役39人、執行役員6人
回答数 :100サンプル
調査内容:「働き方改革」に関するアンケート
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[設問]あなたは、テレワークや在宅勤務を導入しても、会社の一体感・チームワークはそこなわれないと思いますか。
「Yes」と回答した経営層が44人、「No」が56人でした。つまり、「テレワークは会社の一体感やチームワークをそこなう恐れがある」と考えている経営者が半分以上いることがわかったのです。
そもそもテレワークとは、会社のオフィスではなく、自宅やカフェ、サテライトオフィス、あるいは顧客先や移動中などにインターネット環境などの情報通信技術を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことで、働く側にとっては、多くのメリットがあるといわれています。たとえば、自宅でテレワークをすれば通勤がなくなり、その時間の有効活用ができると共に通勤ラッシュのストレスから解放されるというメリットもあります。また、自宅で仕事をすれば、子育てや介護と仕事を両立しやすくなるでしょう。家族と過ごしたり、趣味についやしたりする時間も確保しやすくなりますよね。
テレワークの普及は、ライフステージの変化があってもキャリアを継続しやすくなるため、「女性の活躍推進」という観点からも国が積極的に動いています。政府は2020年までに「テレワーク導入企業を3倍」「週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上とする」という目標を掲げています。なかでも「働き方」を主管する厚生労働省は、テレワーク推進企業を表彰する「輝くテレワーク賞」の募集を開始しています。
経営側の視点でみると、一人ひとりのライフスタイルやライフステージにあわせて働くことができるテレワークを導入することで、優秀な人材を確保しやすくなります。
実際、積極的にテレワークを導入しているベンチャー企業は少なくありません。中には、今まで使っていたオフィスを閉鎖し、テレワークで働くメンバーがTV会議などでつながることによって、「オフィスなし」で仕事を進めている企業もあるそうです。こんな大胆な決断ができるのは、ベンチャー企業ならではといえるでしょう。
和を大切にする日本企業だから?
ベンチャー企業と親和性が高く、しかも人材確保の切り札にもなりえそうなテレワーク。しかし、今回のアンケートで、ベンチャー経営層の過半数がテレワークに対し懸念をもっていることが浮き彫りになりました。「テレワークを導入すると、会社の一体感やチームワークがそこなわれる」という懸念です。この背景には、どんな事情があるのでしょうか。
真っ先に思い浮かぶのは、戦後の高度成長を支えてきた年功序列制と終身雇用に代表される日本的経営の影響です。日本企業は、欧米とは異なり、人と人とのつながりを大事にしてきました。会社で一緒に働く仲間は、いわば家族。運動会や社員旅行をおこなうなど、公私を通じ良好な関係を築き、力を合わせて苦労や喜びをわかち合っていくことが理想とされてきました。
確かに、大半の社員がテレワークの会社では、濃密な人間関係は構築しにくいといえます。「テレワークは会社の一体感をそこなう」と考えているベンチャー経営層は、このような日本的経営をよしとしているのでしょうか。設問に「No」と答えた経営者たちはこう口をそろえます。「空間が別々だとどうしても一体感が欠ける」「フェイスtoフェイスが重要だから」「やはり、同じ時間に同じ職場にいて、顔を見ながら意思疎通できることは重要。100%テレワークは困難だと思う」。いい仕事をするためには、空間や時間をみんなで共有することが大切だと考えている経営者が多いことは確かです。
ベンチャーならではの一体感重視がある
ただし、「空間や時間をみんなで共有することが大切」というのを、伝統的な日本的経営の思想からくるもの、とみるのは早計かもしれません。ベンチャー企業ならではの「空間や時間をみんなで共有する重要性」があるからです。いまの世界を代表する巨大企業でも、創業期には「創業者の実家のガレージで、昼夜を問わずメンバーが働いて画期的なプロダクトを生み出した」という創業伝説が聞こえてくる会社もあります。スポーツチームの合宿のように、メンバーが同じ場所で、濃密な時間を過ごすことで、世の中に革新を起こす新プロダクト・サービスを発明する──。これがベンチャー企業の真骨頂といえます。
テレワークは、このような意味での「会社の一体感」をつくりにくい勤務形態です。アンケートで明らかになったのは、ベンチャー企業経営層が、「ベンチャーらしさ」の源泉になっている会社の一体感を、テレワーク推進によって失いたくない、というホンネだったといえそうです。
では、会社の一体感を失わずにうまくテレワークを導入するのにはどうすればいいのでしょうか。後編では、個々の企業の具体的な取り組みなどをじっくり見ていきましょう。
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