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優秀人材をみすみす逃す“ヤバイ雇い方”

最強の新しい働き方 #3

株式会社ビースタイル 代表取締役会長 三原 邦彦(みはら くにひこ)

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優秀人材をみすみす逃す“ヤバイ雇い方”

長時間労働の是正。採用難が続くなか、国が推進する「働き方改革」とどう向き合うべきか、頭を悩ませている経営者は多いようです。しかし、大企業有利の旧来の慣行が崩れ、ヨーイ・ドンで新しいルールがスタートすると考えれば、大企業よりも変化対応に優れるベンチャーにとっては大きなチャンス。そんな考え方もできますよね。過去20年間にわたって「働き方と雇い方」を見続けてきたビースタイル代表の三原さんに、これからの採用戦略にとって欠かせない経営の視点を聞きました。時代の変化をチャンスに変えるためには、「働き方改革」の前に「雇い方改革」が必要みたいですよ。

同じことをやり続けていたらヤバイ

―これからの企業の採用戦略、人材戦略をうかがう前に、最近、どこの会社に行っても「人が足りない」「誰かいないか」という声を聞きます。急成長しているベンチャーにとって採用の成否は成長を左右するシビアな問題です。なんとかなりませんか。

これからのことより、まず足元の問題ですよね(笑)。確かに、有効求人倍率がバブル期を超える水準で高止まりするなど、未曽有の売り手市場。採用に頭を悩ませている企業は多く「とにかく、今をどうにかしてほしい」という気持ちはわかります。

ただ、固定観念にとらわれず、発想を転換することで“今の問題もこれからの問題も”同時に解決できる策も見出せるはず。まずは雇用環境の推移と今後をおさらいしましょう。今と同じことをやり続けていたら、かなりヤバイということを理解できるはずです。生産年齢人口の急速な減少が起きていることは知っていますよね?

―生産年齢人口とは、15歳から65歳未満の、いわゆる“働き手”の人口のことですよね。

日本の生産年齢人口の推移
出所:国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口」(平成24年1月推計)

そうです。その推移をみると、採用のあり方が大きな曲がり角にあることが理解できます。

日本の生産年齢人口のピークは1995年の約8,700万人。それが、2015年にはピーク時に比べ約12%マイナスの約7,700万人に減少し、2030年には同23%マイナスの約6,700万人に減少すると見込まれています。これは将来、確実に起こる変化。企業の採用はこれから年を追うごとに厳しさを増すでしょう。

また、「社会の成熟化」という変化にも企業経営は直面しています。少子化による人口減を背景に、これからの国内マーケットは伸びません。拡大期ならフルタイムで働く社員をより多く確保することで機会損失を防ぐ、といった採用のあり方でよかったのですが、これからはそうはいかない。マーケットが伸びないので、いままでのように「頑張れば、成果が出る」というワケにはいかなくなるからです。

発想を転換すれば新しい“人材の鉱脈”が見えてくる

―では、成果を出すためには、なにが必要になってくるんですか。

従来とは逆の発想です。ユニクロのヒートテックはその変化の象徴のひとつだと感じています。

ヒートテックは機能性衣料という新しい市場をつくりました。同時に私が注目したのはヒートテックの個包装されたパッケージ。商品をたたむ手間はないし、吊り下げ陳列で売り場の省スペースになる。そのうえ、在庫は段ボールにポンポン詰め込むだけでいい。こうした効率化の発想こそ、これからの方向。行動量と労働時間が成果の最大化をもたらすというこれまでの“働き方の方程式”は、今後、ますます通用しにくくなり、働き方の効率化によって生産性を上げることが重要になっていくでしょう。

生産年齢人口の減少とマーケットの成熟化が進むなかで企業が生き残るためには、効率化のほかに、顧客理解も大きなキーワード。顧客が望んでいるものはなにか。なにをしてほしいと思っているのか。それを正確に、どれだけ早くつかめるかが大切です。

―大きな時代の変化を乗り切るには、効率的な働き方ができ、顧客理解もできている。そんな人材を採用することが必要なんですね。でも、そうしたハイパーな人材を見つけるのは、かなり難易度が高そうです。

確かに、従来の採用の考え方では難しいと思います。たとえば顧客に近い場所にいる人、もしくは顧客そのものを採用する、という発想ならどうでしょう。

BtoCマーケットで考えると、消費者のメインは女性。ですから、当然、女性が喜ぶ商品やサービスの開発が必要になります。かつて企業で働いてスキルや経験を積み、一定のキャリアをもっているけれど、結婚、出産、子育て、介護などのライフステージの変化でフルタイムで働くことが難しくなった女性をもっと積極的に活用していくことはどうでしょう。自分の経験やスキル、キャリアを活かした仕事を継続し、成長したいと考えている。そんな女性人材は大きな戦力になるはずです。

BtoBビジネスでも、そうした女性人材を活用しようという発想はこれまであまりありませんでした。それだけに、採用における新しい鉱脈だと言えます。

変化の波に乗るのか、傍観するのか

―なるほど。だけど事情があってフルタイムで働けないのは大きなネックになりそうな気がします。

それは古いというか、“昭和の感覚”で考えるとそうなっちゃいますね(笑)。確かに、子育て中の人、介護をしている人は、多くの場合、フルタイムで働くのは難しい。でも、だからこそ効率的な働き方が上手。時短勤務で働く人材を受け入れる体制をつくるなかで、既存の組織の働き方そのものが効率化した例もあります。

また、フルタイムでは働けないけど、働く場所が変わっても自分のキャリアを伸ばしていきたいと考えている女性人材は、自分のスキルや経験を活かし、チャレンジングな仕事でもチカラを発揮してくれます。

ネックとなるのがフルタイムではない、時短勤務であるということだけなら、そこはフラットに、ニュートラルにいまの人々の働き方を考えるべき。経験・スキル・知恵のある人材を取り入れ、効率化による生産性向上をはかりたいのか、それは二の次でいいからとにかくフルタイムで働ける人材がほしいのか。どちらを選ぶのか、ということです。

生産性の向上や効率化が企業経営の大きなテーマになるなかで、時短勤務の価値を軽んじたり、そもそも受け入れようとしないのは非常にリスキー。そう思いませんか? 過去20年間、採用市場を見てきましたが、この大きな変化の波に乗れる企業と乗れない企業では、大きな差がつくと私は危惧しています。

「誰もやらないなら俺がやる」

―時短勤務という観点から、この20年間でどのような変化があったのかを教えてください。

私が採用領域にかかわりはじめたのは1996年、株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)に入社してからです。「男女雇用機会均等法」により、新卒女子学生の総合職採用が本格化した頃でした。男も女も関係なく鍛えられ、「すげぇな」と思う女性メンバーも多くいました。しかし、20代後半から様子が変わってきます。結婚、そして出産といったライフステージの変化で、スキルや経験がある女性の多くが離職していったんです。

いまだに、第一子出産を機に正社員を退職をする女性が7割いるという統計もあります。顧客企業の人事採用をサポートしていたので他社の状況を知る機会が多かったのですが、ほかの会社でも同様。社会全体がそうでした。

それに、いったん離職した女性がプライベートと仕事の両立をはかるために時短勤務で働こうとすると、軽作業やレジ打ちなどしかなく、せっかく積み上げてきたキャリアを捨てざるをえなかった。雇用の入り口は均等になっても、女性がキャリアを積みながら働き続けるのは、男性に比べて、はるかに難しかったんです。

私は「こんなのおかしいな」「どうにかならないのかな」と思いましたし、キャリアを簡単に放棄させる社会構造は日本経済にとって大きなマイナスだと感じていました。それで、そんな想いをずっと抱き続け、女性の時短勤務に特化したプラットフォームをつくるために当社を起業したんです。

起業時に周囲に相談すると「それは事業としてムリなんじゃないか」「起業するならエンジニア派遣がいいんじゃない」と反対されました。とにかく「誰もやらないなら俺がやる」という気概だけでした。

―起業時にはどんなビジネスモデルを展開したんですか。

いまと大きな違いはなく、形態は時短派遣、時短正社員、フリーランスなどさまざま。経理やマーケティング、広報PR、秘書、編集、システム開発、社内SE、財務、法務、IRなど、ある程度専門性の高い職種でキャリアや経験がある、おもに時短勤務を希望する女性人材と企業のマッチングを行ってきました。 2014年からは、より専門職人材に特化をしたハイスキルの時短人材サービス、時短エグゼ(2018年1月よりスマートキャリアへ名称変更)を立ち上げました。

起業した当初は苦労しましたが、最近になって時短勤務の女性人材に着目する経営者や企業はかなりの勢いで増加していると感じます。いま、時短勤務の女性人材を中心に、当社サービスで年間約1万6,000人の雇用を創出しています。時代が追いついてきたというとエラそうですけど(笑)、「女性の活躍」という大きな社会課題の解決に貢献できているのだとしたら、うれしいですね。

スマートな働き方、スマートな採用戦略

―キャリアパスというと下から上へ上り詰めることを連想しがちですが、それとは違う働き方を提案しているようにも感じます。

男性はコントロール欲求が強く、タテ型のキャリア形成を望む人が多いのですが、女性は少し違います。タテにステップアップするのではなく、自分の能力を高め、よりよい仕事がしたい。働き甲斐のある職場にいたい。そう考える人が多いんですね。

スマートキャリアなども、企業に所属するというより、例えばプロジェクト単位で働く場所を変え、そのたびにキャリア・アップするような“ヨコのキャリア形成”をイメージしています。こうした働き方を実践する人材に活躍してもらうことで成長を加速させる。そんな企業が増えていくでしょうね。

―最後に、今後のビジョンを聞かせてください。

当社の経営理念は、近江商人の理念である「三方善(さんぽうよし)」に「仲間」を加えた「四方善」。顧客満足を実現し(買ってよし)、自らの価値創造で利益を生み出し(売ってよし)、結果として社会がもっと良くなる(世間よし)。そして、ともに価値創造する仲間との共存共栄を追求する「仲間よし」。当社にかかわるすべての人、企業、経営者が幸せになる価値創造に、これからも取り組んでいきます。

時短エグゼは、2018年1月からスマートキャリアへと名称を変更します。スマートには賢いという意味のほかに、かっこいいという意味も含めています。自分が築いてきたキャリアと今いるライフステージのバランスを取りながら、ビジネスもプライベートも充実させる。そんなかっこいい女性たちと、そうした新しい働き方と向き合って成長するかっこいい企業の「スマートキャリア」の実現をサポートしていきたいですね。

最強の新しい働き方『スマートキャリア』

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株式会社ビースタイル

事業内容:ハイスキル人材の時短派遣・紹介「スマートキャリア」、「しゅふJOBスタッフィング」、「しゅふJOBパート」、「これからの転職。」などの提供
従業員数:285名(パート含む)※2017年4月1日時点

三原 邦彦(みはら くにひこ)

株式会社ビースタイル 代表取締役会長

1970年、東京都渋谷区生まれ。1996年、芝浦工業大学工学部機械工学科を卒業し、株式会社インテリジェンス入社。2002年に株式会社ビースタイルを設立。2013年に中小企業基盤整備機構Japan Venture Awards 2013「中小企業庁長官賞」を受賞。

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