成長が遅い会社の共通項
同じ業界で、同じ時期に設立したのに、成長スピードが速い会社と遅い会社があります。なぜ、そうした差が出てしまうのでしょう。その要因の1つに「時間の感覚」の違いがあります。成長スピードが速い会社は時間の感覚が鋭く、遅い会社はその逆で、よく言えばのんびりしている。
時間の感覚という視点で、成長が遅い会社の共通項を詳しく説明しましょう。
「締め切り」がないと人間は動かない
まず、時間の感覚が鈍い会社の特徴は、「時間を短縮する気」がありません。
なぜ、このようになってしまうのでしょうか?典型的な理由の1つに、上司が部下の仕事に期限設定をしていないということが上げられます。
上司は悪意なく、「じっくり考えて行った施策の方が、結果が出る」という感覚を持っていたり、「できるだけ早くやるように」という指示=「部下が最速で動くだろう」と感じていると思うのですが、これらは誤解です。
このような上司の下では、部下は自分の感覚で判断した「もっといい施策を練りたい」「なるべく早くでOK」だと認識するため、期限意識が欠如していくのです。
残業を承認制に切り替えた会社の社長から「残業が激減したのに、アウトプットの質や量は同じだった」という声を聞くことは珍しくありません。これも「定時までに仕事を仕上げる」という“締め切り”が設定されたからです。
もうひとつ、時間の感覚が鈍い会社は、優先順位が曖昧になっている、ということが挙げられます。
たとえばABCという3つの業務があったとします。優先順位が明確であれば、そこに迷いは生じません。
しかし、優先順位が曖昧な場合、どれから先に手をつけるのかは、その仕事をまかされた人の「気分次第」になりがちです。Aを途中までやって、それに飽きたらBをやる。Cは苦手なので後回しのような状態です。ここで注意が必要なのは再度Aという業務に戻った時、前回の終了時点ではなく、その少し前に戻ってからでないと業務を再開できないということです。
優先順位が曖昧で、完了させぬまま別の仕事を綱渡りのように行い、元に戻ったときには少し前からまた開始というような行為は、業務完了させるまでのロスタイムを自ら生み出している事になります。そして、こうした会社の成長のスピードが早いはずがありません。
では、どうすればよいか
改善方法は単純です。まず、期限を曖昧にしない。「時間があるときにやっておいて」と頼んだ仕事がサクサク完了した、なんて経験はありますか? 「〇月〇日の〇時までに完了させて」と、つねに期限を明確にし、締め切りを意識させることが重要です。
さらに、複数タスクを持たせ、その状態で部下に迷いがでた際には、上司の責任において優先順位を決定するということを徹底すること。
まずは、この2点から開始されてみると、組織内での時間の感覚が鋭くなっていく事を感じられると思います。