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メンバーの社内恋愛が破局、 業務に支障が出ています…

「HRの名医」サイバーエージェント・曽山氏が社長の悩みを解決 #4

株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括 曽山 哲人(そやま てつひと)

INOUZTimes編集部
メンバーの社内恋愛が破局、 業務に支障が出ています…

PHOTO:INOUZ Times

ある統計によると社内や仕事で知り合って結婚した夫婦の数は全体の3割にのぼるそうです。こんな「社内恋愛からゴールイン!」というケースがあれば、「別れちゃった(涙)」という場合もありますよね。過去にINOUZTimesでも、ベンチャー社長100名に「社内恋愛についてどう思うか」のアンケートを行ったことがあります。今回の相談は「社内恋愛をしていたふたりが別れ、一方が退職するなど業務に悪影響が出ています…」というもの。こんな時はどんな打ち手があるか、そもそも社内恋愛に対する会社のスタンスはどうあるべきかなどについて、HRドクター・ソヤマンに迫りました。

配転などで「物理的に離す」

―若いメンバーが多いベンチャーにありそうな問題です。サイバーエージェントの社内恋愛事情はどうなんですか?

あのメンバーとこのメンバーが付き合っているだの別れただのという話や噂が耳に入ることはありますよ。会社や学校など、複数の人間が集まるところで誰かが誰かを好きになるのは人間としてごく自然なこと。社内恋愛を推奨しているわけではありませんが、禁じているわけでもありません。会社として意思決定すべき筋合いのものではありませんから。

―今回の相談内容は、社内恋愛が破局して業務上のリレーションがうまくいかなくなったり、退職しちゃった。こんなケースです。こうなると会社としても「我関せず」ではすみませんね。

そうですね。手を打つ必要があります。

ふたりが同じチームにいる場合は、どちらかを違うチームに異動させる。チームは違うけれど同じフロアやビルで働いているのだとしたら、違うフロア、違うビルに移ってもらう。私だったらそんなことを考えます。

―心の傷が早く癒えるよう、会社としても配慮するということですか。

いえいえ、ちょっと違います。物理的な距離を離すことで生産性が維持あるいは向上するのなら、そうしましょう。こんな考え方です。

会社が考えるべきことは業績への影響です。別れた後も毎日顔を合わせて仕事をしなければいけない状況があるのだとしたら、当人たちにとって相当なストレス。必要以上に人間関係に気を使いながら仕事をすることになります。そうなったら生産性が落ちるのは明らか。結果的に会社の業績に良くない影響をおよぼしますよね。だから物理的な距離を離すんです。

同じチームのほかのメンバーへの悪影響を考慮するうえでも、当人同士をいつまでも同じチームに置いておくべきではありません。別れたふたりにほかのメンバーも気を使い、その結果、パフォーマンスが落ちてしまう。そんなことになりかねませんから。

―小規模ベンチャーで配置転換やフロア移動をしたくてもできない。こんなケースではどうでしょう。思い切ってパーティションで区切っちゃう、というのはどうですか?

それはやりすぎ(笑)。配転やフロア移動はできなくても、いろいろ工夫する余地はあると思います。当人同士の席が近い場合は、1ブロックでもいいから席を離して、お互いの視界に入らないようにしたり、背中を向けあって座る配置に席移動するとかね。

だけど、会社として、でき得る手は打ったのに「それでも無理。同じ空気を吸っているだけでしんどい」といった感情にまで振り切れているだとしたら、かなり難しいですね…。

―いろいろ面倒なので、いっそのこと「社内恋愛禁止」にしちゃうのはどうでしょう。

それは反対。逆に質問しますけど、アイドルグループみたいに「わが社は社内恋愛禁止」と掲げる会社で働かなければならなくなったとしたら、どう思いますか?

―なんでそこまで管理されなきゃいけないのって思っちゃいますね。

そうですよね。社外はもちろん、社内であろうと恋愛は個人の自由。禁止するのはおかしな話です。

そもそも、社内恋愛が生まれる会社って素敵だと思います。人間関係が良好で、コミュニケーションしやすい環境でなければ恋愛感情は芽生えませんから。恋愛対象になるくらい、人として信頼できる魅力的な人間が集まっている会社、とも言えますしね。逆に、人間関係が悪く、コミュニケーション不全で信頼できない人ばっかり。こんな会社では社内恋愛なんて起きっこないですよね。

PHOTO:INOUZ Times

社員のプライベートに立ち入ることはできないけれど…

―確かに。社内恋愛は組織の健全度を測るバロメーターになる。こんな考え方もできそうですね。

ただし、大切な注意点があります。社内恋愛をしたら責任をとってその相手と結婚せよ、というわけではないんですが、誠実ではない、真剣に付き合わない社内恋愛はNG。ここは当事者にしっかり意識してもらいたい。そうでないと、社内の人間関係が少しずつ壊れ、その結果、業績に悪影響をおよぼしますから。

極端な例で言うと、たとえば社内で相手を取っ替え引っ替えするようなプレイボーイのようなメンバーには、会社としてきちんと注意喚起をすべきです。具体的には経営者や人事の責任者が当人と直接話して厳重注意をし、二度と不誠実なことはしないことを確認する。それでも止めないようだったら、さらに厳しい対応を考えるべきです。

―個人の自由を尊重しつつ、会社として危機管理は行う。それが大切なんですね。となると、社内で誰と誰がつきあっている、別れたといった情報には経営者や人事担当者はアンテナを張っていた方がよさそう。そんな気がします。

ルールや規則があるわけではありませんが、サイバーエージェントでは社内恋愛を始めたらきちんと報告するといった暗黙の了解があります。

監視しているわけでありませんけど、社員同士の社内恋愛の噂は、意識しなくてもすぐ耳に入りますしね。社員との人間関係が円滑なら、その手の情報はなんとなく集まっちゃうものです(笑)。

―ところで、こんなケースはどうでしょう。ふたりはとても真剣かつ誠実に社内恋愛をしてお付き合いしていると。しかしながら、不幸なことにと言うべきか、一方に、あるいは両方に配偶者がいた。こんな道ならぬ恋に落ちてしまった…。

うーん。経営者が社員のプライベートに立ち入るのは難しいし、プライベートは自己責任で管理してね、という前提がある上でお話しします。

人間ですから、配偶者がいるかどうかに関わらず、男女などがひかれ合うのはどうしようもない。不倫だという事実をもって、その恋愛を会社が阻止することはできません。しかし、プライベートな問題が会社の業績にマイナスの事象を引き起こしているのであれば、これは止めてもらうしかありません。社内恋愛であれ不倫であれ、なんであれ。

ともかく、噂が広がり、社内に不和が生じ、大事な情報が流通しなくなって業務に支障が出る。こうなると業績悪化が見えてきます。プライベートの現象ではなく、会社で起きている現象の是非を考える必要があるわけです。

―色恋沙汰の修羅場が会社に持ち込まれる、なんて最悪ですよね。

ふたりの修羅場はふたりの時にやってね、ということに尽きますね。ふたりじゃなくて関係者を含めたら3~4人になるケースもあるかもしれませんけど。


編集協力/池田園子

本連載の回答ドクター「ソヤマン」ことサイバーエージェント取締役 人事統括の曽山さんが主宰する「強い人事」を生む会員制コミュニティ、HLC(Human Resource Learning Community)がスタートしました。
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曽山 哲人(そやま てつひと)

株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括

1974年、神奈川県生まれ。株式会社サイバーエージェント取締役 人事統括。人事関連の著書・共著書多数。最新刊は2017年7月に刊行した『強みを活かす』(PHPビジネス新書)。

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