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【RIZAPグループ】RIZAPで急成長。今後の戦略は?

積極的に広告宣伝を行うことで顧客数を増加
INOUZTimes編集部
【RIZAPグループ】RIZAPで急成長。今後の戦略は?

積極的に広告宣伝を行うことで顧客数を増加

RIZAPグループ<2928>は、健康食品の通信販売を目的に2003年に設立され、現在は美容・健康関連事業、アパレル事業、住関連ライフスタイル事業、エンターテインメント事業を営んでいる。

美容・健康関連事業は、「結果にコミットする」というCMで一躍有名となった「RIZAP(ライザップ)」により予想を大きく上回る成長を見せている。その源泉は他のフィットネスジムに比べ高収益率を誇り、資金力を元に積極的に広告宣伝を行うことで、顧客数の大幅増加を実現させている。

その他の事業については、下記の通り、美容・健康関連事業とのシナジーを生む可能性の高い事業を、いずれもM&Aによる子会社化に伴い開始している。

時価総額は1,000億円に達し、海外店舗も増加させ業績絶好調のRIZAPグループが今後の戦略として重要視するのは、介護予防に関する取り組み、ヘルスケアの強化など、シニア層へのアピールだ。

他の大手フィットネスジムに比べ、RIZAPグループの顧客層は60歳以上のいわゆるシニア層の構成比が極端に小さいため、シニア層に向けたプロモーションを本格化させることで更なる成長が見込めるためである。

RIZAPグループの行った主なM&A

柔軟なM&A戦略、多彩な手を繰り出す 

RIZAPグループは、美容・健康事業を軸に考えており、M&Aについても美容・健康事業の拡大、または美容・健康事業とのシナジーをテーマにM&Aを実施してきた。M&Aにより美容・健康事業を拡大させる一方で、美容・健康事業とのシナジーが見込めないと判断した会社については売却もしている(07年に3社、08年に3社、13年9月に1社の子会社を外部に譲渡)。

RIZAPグループのM&Aは、株式買収金額が比較的小さいことが特徴である。07年に子会社化した弘乳舎の買収金額が36億円と多額であるが、その他の買収金額はいずれも10億円を下回っている(なお、弘乳舎の株式は13年にアスラポート・ダイニングに25億円で売却している)。会社によっては100%取得せず経営権を取得できる50%超を取得するにとどめているケースもあり、これが他の案件への投資余力を高めている側面もある。

また、上場会社の株式について、時価を大きく下回る価格で買収しているケースもある。14年1月のゲオディノス(売上8,370百万円)をTOBにより子会社化した際の1株あたり純資産が556円に対し、公開買付価格は178円である。15年2月の夢展望(13年東証マザーズに上場)の買収もその典型である。

アパレル業界全体の業績が低迷しており、アパレル商材を扱う同社の業績も悪化していたが、12年に同社が金融機関と締結したシンジケートローンのコベナンツ(財務制限条項)に記載されている「2期連続経常損失を計上した場合に借り入れを一括返済する」ことが現実化したことで、同社の資金繰りが悪化した。

同社の資金援助に唯一、手を挙げたRIZAPグループが、公表日前日の終値606円に対して192円(68%のディスカウント)という大幅な有利発行で第三者割当増資を行った。なお、その後、RIZAPグループが親会社になるという期待から同社の株価が急伸、公表日の4営業日後には一時株価が2倍を超え、結果として同社の株主全体に大きな利益をもたらしている。

RIZAPグループの財務分析

業績推移を見ると、リーマンショック時に売り上げが落ち込んでいるが、その後は順調に増加している。セグメント別の売り上げ推移を確認すると、やはり美容・健康事業が牽引していることが分かる。新中期計画「COM IT 2020」によると、17年3月期に売り上げ1,000億円、21年3月期までに売り上げ3,000億円を目標としている。なお、利益率は直近3年間ではいずれも5%台である。

食品関連事業は、07年に弘乳舎を子会社化し事業を営んできたが、今後さらに美容・健康事業を軸に業容を拡大するにあたりグループ内シナジーが希薄であるという理由で、13年に弘乳舎の全株式を売却することで撤退となった。

食品関連事業撤退の代わりに、住関連ライフスタイル事業およびエンターテインメント事業が美容・健康事業との協業を進めている。住関連ライフスタイル事業は13年9月にイデアインターナショナルを子会社化したことで開始した。14年2月にイデアインターナショナルが同じく子会社の日本リレント化粧品を吸収合併し、業容の拡大を図っている。また、エンターテインメント事業は14年1月にゲオディノスを子会社化したことで開始し、美容・健康事業(RIZAP)との協業を進めている。

資産が急膨張するも、大規模なM&Aを行うだけの力は十分

RIZAPグループの自己資本比率は20%の前後を推移している。14年、15年の総資産の大幅な増加は、売り上げの増加に伴う当座資産(簡便的に現預金+売上債権で計算)が大幅に増加していること、およびM&Aによる増加が要因である。14年は前期に比べ当座資産が43億円増加し、14年1月のゲオディノスの子会社化により総資産が104億円増加している。15年は前期に比べ当座資産が76億円増加し、15年2月の夢展望の子会社化で総資産が20億円増加している。

RIZAPグループは、業績が好調で資金が豊富であり、また、株式の8割ほどを創業者である代表取締役が所有(代表取締役とその資産管理会社の合計持ち株比率)しており創業者持株比率が高く、いざというときの資金調達の余地が大きい。15年6月19日時点の時価総額が950億円であるから、100億円を増資で調達してもなお創業者持ち株比率は70%を超える計算となる。今後は事業の主軸である美容・健康事業とのシナジーを目的とした大規模なM&Aを積極的に行うだけの力は十分だといえるだろう。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

本記事は「M&Aonline」から提供を受けております。

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