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【スタートトゥデイ】ファッションECを軸にM&Aで業態拡大

INOUZTimes編集部
【スタートトゥデイ】ファッションECを軸にM&Aで業態拡大

※画像はイメージです

 スタートトゥデイ<3092>は、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念の下、日本最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」および、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」の運営を中心に事業を行っている。

社長自身が元ミュージシャンという異色の経歴であり、自身のライブの会場での物販スペースで、趣味で集めていた輸入レコードやCDを販売したことが起業のきっかけという。

カタログ通販を開始し、同社を設立。2000年には、カタログ通販からネット通販へと移行した。その後、音楽同様に代表の関心が高かったアパレルについてもネット上にセレクトショップをオープンし、これが現在の「ZOZOTOWN」の原型となっている。

順調に業績を伸ばし、07年12月に東証マザーズに上場。その後も自社でのサービス展開を図ってきたが、11年からは立て続けにM&Aを実施。12年に東証一部に市場変更、ファッションECを核としつつ業態を広げ、増収増益を続けている。

スタートトゥデイの行った主なM&A

はじめのM&Aはファッションアイテムのオークションサイト「CROWN JEWEL」を運営するクラウンジュエルの案件である。市場規模の拡大が予測されているアパレル二次流通事業の強化を狙い、まず10年4月に30%を出資。

ZOZOTOWNの会員向けにCROWN JEWELのPRを行うなど連携を実施した結果、ZOZOTOWNで商品を購入した顧客がCROWN JEWELで売り、その代金で再度新しい商品を購入するというサイクルが生じてきた。

そこで、相乗効果をさらに高めるため11年6月に残り70%に当たる2万2200株を6億9900万円で取得し、完全子会社化した(その後12 年 11 月にサービス名をCROWN JEWELからZOZOUSEDに変更)。

下記セグメント別売り上げ推移にあるように、ZOZOUSEDの売り上げは、完全子会社後の12年3月期には20億円弱だったのに対し、16年3月期には80億円弱と4倍に成長している。

セグメント別売上推移

(スタートトゥデイ平成28年3月期 通期決算説明会資料より)

次のM&Aは13年8月。ネットショップ作成サービス「STORES.jp」を運営するブラケットを株式交換により全株式を取得(約6億5千万円)し、完全子会社化した。この提携により、STORES.jpでストアを開設しているファッションブランドがZOZOTOWNへの出店を希望する場合、あるいは逆にZOZOTOWNに出店しているブランドが自社オンラインストアをSTORES.jp上で開設希望する場合、いずれも商品・在庫情報を連携した上で各サイトに簡単に出店ができ、在庫ロスによる機会損失を抑えることも可能となった。13年7月の買収当時は約4万店だった利用者は、14年7月に10万ストアを突破、15年2月には20万ストアを突破し、急拡大している。

さらに1年後の14年7月、スマートフォンやタブレット向けのアプリケーション開発やシステム開発事業を行っているヤッパを株式交換で子会社化(約9億円)。ヤッパは900 誌以上の電子雑誌を扱う書店として知られる「マガストア」を主力サービスとして展開していた会社である。

その後ヤッパの社名を「スタートトゥデイ工務店」に改め、スタートトゥデイ及びヤッパのエンジニア、デザイナー100名以上を集約し、スタートトゥデイグループが手がけるプロジェクトのシステム開発・WEBデザイン、CRMに取り組んでいる。技術陣を一社に集約することで、ZOZOTOWNやWEARをはじめ各プロジェクトをより効率的に推進できるようになり、さらに両社のノウハウ共有により、エンジニア・デザイナーの更なる技術向上が期待される。

そして15年3月にはECサイト構築などを手掛けるアラタナを株式交換により買収(約30億円)し、完全子会社化した。多様化するニーズに対応するためEC支援事業を強化することが目的のようだ。

アラタナは宮崎を拠点に、国内800以上のECサイト構築などを手掛けてきた。一方、スタートトゥデイは7年近く自社EC支援事業を手掛けており、立ち上げ当初はZOZOTOWNの物流やシステムなどのインフラが使えることを価値として、数十のサイトを立ち上げてきた。

昨今EC立ち上げサービスはコモディティー化し、価格競争が始まっている。そのため、ZOZOTOWNのインフラの枠にはまらないニーズも出てきていた。アラタナの加入により、パッケージ型で低価格のSTORES.jpと、顧客ニーズにきめ細かく対応できるアラタナタイプとの2枚看板で対応することとした。ZOZOTOWNで構築してきたEC運営ノウハウおよび、アラタナが持つECソリューションの相互連携を行うことで、EC支援事業のさらなる拡大成長が見込まれる。

事業系統図

(スタートトゥデイ平成28年6月有価証券報告書より)

同社は、買収前後で顧客・取引先が離れていかぬようソフトランディングを図りつつ、人材の交流も行い、適切なタイミングで社名変更・ブランドの統一を図っているように見受けられる。今後もファッションEC市場に軸足を置きつつ、ZOZOTOWNの拡大を進める一方、EC支援により他の領域への展開も加速させていくことだろう。

なお同社は日本国内だけでなく、昨今は海外のECプラットフォーム企業への出資も進めている。具体的にはアメリカのMaterial Wrld、タイのWearYouWant、マレーシアのFASHIONVALETへの出資が挙げられる。

それらの企業を含め、今後は日本におけるZOZOTOWNにて培ったファッションECのノウハウを海外にも展開するため、クロスボーダーでの買収も行い、海外での事業展開を拡大することが期待される。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

本記事は「M&Aonline」から提供を受けております。

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