「正しい反応」を促す
組織マネジメントとは「組織を勝利に導く」という目的のもと、リーダーがそのチームを引っ張るために必要なマネジメントのこと。勝利に導くためには部下の「行動の質と量」を最大化する必要があります。
人は環境を認識し、反応をして、行動します。ですので、反応する部分を正しく理解していれば「行動の質と量」を最大化させることができます。
社員の成長を切実に願う経営者にとって、どうしたらそれを後押しできるのか、いつも悩みはつきません。どうすれば社員に成長してもらうことができるのでしょうか。その方法を解説しましょう。
「教える」ことではない
まず言えるのは「やり方を教えない」こと。もっと言うと、部下のやり方に口出ししないことです。
「できる経営者」は自身の成功体験をもっています。そこで、つい、たとえば自分が若いころに使い、うまくいった「営業のコツ」を教えたくなったりします。なかには社長の「自分流」を社員に強制しているケースも珍しくありません。
人間は誰しも“成功体験”にすがりつきたくなるものです。しかし、昔、その方法が成功したのは、たまたまその時代、その場所、その人にとってもっとも適切な戦略だったからです。時代が違い、場所が違い、使う人も異なるのに、昔と同じやり方をしても、うまくいくはずがありません。
ですから、親切心や親心だったとしても、社員に「方法を教える」のはやめましょう。
方法を教えることで、より深刻な問題が起きます。それは「社長の言った通りにやりました。でも、結果が出ませんでした」という理屈がまかり通るようになってしまうことです。
社長は「やり方を教えた」つもりでも、社員からすれば「やり方を指示された」ことになります。ですから「結果が出ないのは自分の責任じゃない。社長の指示が悪いんだ」ということになってしまうのです。自分の頭では考えない、指示をしないと動かない「指示待ち社員」もつくりだしてしまうでしょう。
では、どうすればよいか
社長は社員のやり方に口出しをすべきではないのです。社員と議論するのも間違い。「結果がでないから」と、会議で詰めるのは言語道断です。「こうした結果を出そう」という目標を設定したら、上司は経過、プロセスに口出しせず、黙って見守るしかないのです。
成長とは、まさに「できないことが、できるようになる」ことです。そのためには、まず「何ができないか」を知ることが大切。それを知るためには、目標という目に見える到達点を設定し、達成できたかどうかを検証できる環境を整えなければなりません。
そのうえで、達成できなかったときは、自分になにが足りなかったのか、達成するためにはどうしなければいけないのか。それを自分で考えさせなければなりません。
ポイントは「自分で考えさせる」こと。社長や上司は、明確な目標を設定し、それが達成できたかどうかを管理をすればよいのです。
繰り返しになりますが「口出し」することが組織マネジメントではありません。部下の「行動の質と量」を最大化し、「組織を勝利に導く」ための組織マネジメントとは、部下に目標達成の道筋を「自分で考えさせる」ことです。