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中小企業の経営現場こそ 「イノベーションの最前線」

AI・ビッグデータ・IoTだけがイノベーションじゃない
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中小企業の経営現場こそ 「イノベーションの最前線」

PHOTO:ピクスタ

AI、ビッグデータ、IoTの進化・普及によって、世界は産業革命以来の大きな転換期を迎えている、と言われています。なかには「農業からサービス業まで、あらゆる業界がIT産業化する」という未来予測も。壮大すぎて、雲をつかむような話ですが、こうした「時代の大変革」を起こす主役って、だれなのでしょう? それはシリコンバレーの巨大IT企業でも、世界最強のプロ棋士を打ち負かしたAI技術者でもありません。じつは「中小企業の経営者」こそ、時代を変える担い手なんです。イノベーションと中小企業の深い関係を考えてみました。

中小企業に選ばれたものが“ホンモノ”のイノベーション

今後の日本経済の針路を示すキーワードがあります。それは「Society5.0」―。これは国が策定した2016年度から5年間の科学技術政策の方向性を示した「第5期科学技術基本計画」の言葉で、日本を「世界で最もイノベーションに適した国」に変革する総合戦略の中で繰り返し登場しています。

Society5.0とは、狩猟社会・農耕社会・工業社会・情報社会に続き、イノベーションが先導して切り拓く「5番目の新たな社会」を指し、それは「ICTを最大限に活用し、人々に豊かさをもたらす超スマート社会」だとしています。アメリカの「先進製造パートナーシップ」、ドイツの「インダストリー4.0」、中国の「中国製造2025」など、経済大国が進める“新しい産業革命”の取り組みの日本版に当たります。

成果はすでに現れています。たとえば「世界最先端の再生医療の実用化」。法改正により、再生医療技術の実用化までの期間が短縮し、世界最速の開発を目指す制度を活用することで、日本が再生医療の拠点になりつつあります。また、エネルギーや農業分野では“規制改革”により、IoT、ビッグデータ、AIの取り込み、ロボット実用化が加速するなど、変化はさまざまな領域で起きています。

「巨大な社会実験」が暮らしに密接する領域ですでに始まっているわけですが、中小企業の経営者にとっては「う~ん、あまり実感がないなあ」というのが正直な感想かもしれません。しかし、どんなイノベーションもそうですが、最初は静かに、そして気づけばある日、急に景色が変わっているものです。たとえばスマホ、電子メール、電気自動車もそうじゃありませんでしたか?

その理屈は、「需要曲線と供給曲線は2次関数的な放物線を描く」からです。最初は新製品の歩留まりが悪く、量産体制も製造価格もニーズと合致していなかったのに、製造ラインが熟すことで劇的に歩留まりが改善。量産体制が整い、製造コストも低減したことで引き合いが急激に増える―。こんな経験をした経営者は多いのではないでしょうか。

イノベーションも同じ。最初は再生医療などの先端分野での局地的な現象として始まり、時間経過とともにコモディティ化(大衆化)していきます。逆に言うと、一般に普及せずに消えるイノベーションは“ホンモノ”ではありません。中小企業との関係で言うと、「中小企業が選択するイノベーションが時代を変える」ということなんです。

イノベーションの実例

PHOTO:ピクスタ

その事例のひとつをご紹介しましょう。ある地方都市のタクシー会社A社は、今年からAIを活用した乗合タクシーの運行を行ない、大きな成果を上げています。

複数の利用者の希望乗車地と時刻をAIに入力し、必要な台数や効率的なルートや配車を判断しているのです。これにより、乗客はタクシーを待つ時間が短縮され、非効率なルートを走ることで割高な乗車料金を支払わなくてもよくなります。

企業側にとっては収益機会損失を防ぐとともに、「速くて便利な乗り合いタクシーといえばタクシー会社のA社」という差別化もできます。ドライバーの労働環境改善、環境負荷の低減という価値を生み出すこともできます。

ところで、イノベーションというと、AI、ビッグデータ、IoTなどの最新テクノロジーを想起しがちですが、既存の経営資源を巧みに組み合わせることで、新市場開拓、新商品開発などを実現することも、イノベーションのひとつと呼べます。その事例もご紹介しましょう。

戦前、金属加工に必要不可欠なマイクロメーターの製作から創業をしたB社。戦後の復旧に欠かせないマイクロメーターは、大手メーカーとの業務提携を経て、船舶・発電所・自動車・一般産業用の工作機器など幅広い領域に導入され、事業領域を拡大させてきました。

技術力に磨きをかけるのはもちろんのこと、人間力も大切にしており、従業員が新規開発にチャレンジできる土壌を作ったり、女性目線による職場改革のプロジェクトを発足させるなど、モノづくりのみならず、ヒトづくりにも力を入れているそうです。

そんなB社では近年、いままで既存事業で培ってきた技術・ノウハウを活用して医療機器分野への参入を果たしました。異業種からの参入が困難と言われる医療用機器分野ですが、産学・産々連携を重要視することで参入を成功に導き、高い技術力を活かしたB社が提供する医療用機器は国内でも一目置かれる製品開発の例となっています。

自社が保有する技術力。それを磨き上げ、それを武器に世の中をより良くしたい―。それが今までチャレンジしたことのない領域だとしても、経営者のマインドがイノベーティブであれば、異業種でも成功はつかめるんです。

B社では、モノづくりを極める一方で、しっかりとヒトづくりにも励んでいたのも成功の一因でしょう。経営者の意思決定をすぐに反映させる体制が整っていたとも受け取れます。となれば、意思決定に時間がかかりがちな大企業より、意思決定が速く伝達し、小回りも利く中小企業こそイノベーションに適している、と言えそうです。

資金調達の課題

ここで課題となるのが「資金調達」。中小企業が新市場開拓や新製品開発などの新事業展開いわば“攻めの経営”に取り組む上で資金調達は重要な要素の一つ。しかし、一般的に新事業は事業が軌道に乗るまで返済原資が見込まれない等の理由から、通常の資金調達に比べて資金調達が難しいと言われています。

そのため、国は中小企業が新事業に取り組みやすい環境を整備すべく、様々な支援策を講じています。中小企業のなかには、長期安定資金の借入調達を行いながら財務体質の強化につながる資本性ローンなどの公的融資制度も活用し、取引銀行の支援を得ながら新事業に取り組むための資金を調達しているケースもあるようです。

Society5.0など、人類史を塗り替えるような大変革期だからこそ、チャレンジする中小企業には大きなチャンスが訪れそうです。「イノベーションの担い手になる」。そんな気概をもった中小企業が、今後、増えるかもしれません。

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