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時価総額1兆円を本気で目指した時点で、大きなチャンスが現れ始める

akippa金谷氏が語る駐車場業界のゲームチェンジとは
時価総額1兆円を本気で目指した時点で、大きなチャンスが現れ始める

2016年9月、西日本で活躍する成長企業の経営者約200名が一同に会する経営者イベント西日本ベンチャー100カンファレンスが開催され、西日本でいま特に注目を集める経営者がその大胆な事業改革の裏側について語り合った。
※本記事はakippa株式会社 金谷氏のパートになります。

[概要]
西日本ベンチャー100カンファレンス
2016年9月15日(木)
主催:イシン株式会社
協賛:有限責任あずさ監査法人/アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド/宝印刷株式会社/SMBC日興証券株式会社/オフィスナビ株式会社/Akamai Technologies, Inc.

[セッション]
いま注目の成長企業に聞く“事業改革の裏側”

[スピーカー]
akippa株式会社
代表取締役社長
金谷 元気

株式会社大都
代表取締役
山田 岳人
※記事はこちら

[モデレーター]
・イシン株式会社 執行役員  塩原 慶大

プロサッカー選手を諦めてからの起業

イシン株式会社 塩原慶大(以下、塩原)

本日はよろしくお願いします。
『いま注目の成長企業に聞く“事業改革の裏側”』ということで、事業改革などについて突っ込んだ質問をさせて頂ければと思います。まずは自己紹介をお願い致します。

akippa株式会社 金谷 元気(以下、金谷)

はい。金谷と申します。よろしくお願いします。
私は高校を卒業してから4年間、プロサッカー選手を目指してずっとサッカーをしていました。当時はサッカーのコーチをしながら生計を立てていた感じですね。

それで、22歳までにプロ契約が出来なければ引退すると決めていまして。22歳というのは、ちょうど同世代の人が大学を卒業するタイミングです。最終的にJ2のザスパ草津の練習生にまではなれたんですが、プロ契約に至らずにそこで引退をしました。

実はその頃にサイバーエージェント藤田さんや堀江貴文さんの本などを読み漁っていまして。引退すると同時に「起業をする」というのを決めていました。引退してから2年間は上場企業で営業をしていましたが、その後、24歳の時に会社を作りました。

創業から5年間は営業会社としてやってきましたが、2014年に『akippa』というサービスを作りました。それ以来、サービス名の『akippa』を会社名にして活動をしています。

駐車場の精算機をスマホに置き換えた

金谷

『akippa』がどういうサービスかといいますと、まず、契約されていない駐車場や、使ってない個人の駐車場をネットで予約ができる。そして駐車場を15分単位で利用をすることができる、というサービスになっています。大体、コインパーキングの半額の値段くらいで利用できますね。

従来のパーキングエリアだと、駐車場に精算機を設置することで、例えば一律300円とかで利用できたりします。『akippa』ではその機械をスマホに置き換えたんですね。置き換えたことで精算機が不要になり、空いている所に気軽に駐車できるようになりました。しかもスマホなのでネットで集客することができます。

駐車場を貸して頂いているのは個人の方や地主の方が多いです。あとは自治体さんや電鉄会社さんも多いですね。電鉄会社さんでいくと、線路の下にかなり土地が余っているようで、そこを『akippa』に貸していただいて駐車場として活用しているような感じです。

『akippa』は駐車場のユーザーさんから課金をしています。30%~40%くらいを手数料で頂いて、残りを地主さんや電鉄会社さんにお渡しするという、レベニューシェアのモデルで運営をしています。

駐車場を借りる方もやはり個人さんが多いですね。ただ、最近では法人さんも増えてきています。例えば駐車場を持っていない店舗さんとかだと、今までは店舗の前に路上駐車するしかなかったんですね。なのでその周辺に『akippa』で駐車場を用意してあげて、そこに停めて頂くような取り組みをやっています。

あとは、たまたまですが、このカンファレンスを協賛されているアメックスさんとも提携しています(笑)。アメックスさんのカード会員の法人さんであると『akippa』を〇〇%OFFで使える、とかですね。

社会的意義の高い事業へのピボット

塩原

ありがとうございます。
今回は事業改革というテーマですので、過去のビジネスと今のビジネスまでの大きな変遷の中で、事業改革の起点になったもの、現在の事業に参入した理由などをお聞かせ頂けないでしょうか。

金谷

後で詳しくお話しできればと思うのですが、創業時、僕らは営業会社として数字を追いかけるだけの日々を送っていました。そうするとですね、自分たちがやっていることの意義がだんだんと見いだせなくなってきたんですね。そんな時に「世の中の課題を解決できる事業をしようよ」ということで一気にピボットをして『akippa』を生み出しました。

実は、駐車場問題ってけっこう大きな問題になっていまして。自動車が7,600万台あるのに対してコインパーキングは500万台分しかないんですよ。そうすると路上駐車がどんどん増えていってしまいます。東京と大阪を合わせると毎秒10万台の車が路上駐車されているようです。110番通報の約20%も路上駐車関連だとも言われていますしね。

わかりやすい課題が目の前にあるのに、なんでコインパーキングが増えていかないんだろうって考えてみた時に、やはり、コインパーキングの業者さんって設備投資をするので立地の良い場所にしか駐車場を作らないんですよね。ちょっと隠れた場所とか入り組んだところはコインパーキングになっていません。もし、そういった場所を駐車場にすることができれば、市場規模としても大きいし、社会的意義も高いんじゃないかと思って参入をしました。

ちなみに、駐車料金だけで市場規模は3兆円あります。なかなか大きいですよね。

そして、そもそも駐車場の需要ってやっぱりとても高いんです。
いま、路上駐車が毎秒10万台あって、このうち約40%の人達は、駐車場が無くて仕方なく路上駐車をしているというような状況です。なので、需要があって市場規模も大きいので駐車場を増やせば増やすほど、売上も増えていく構造になっています。それを裏付けるように、駐車場事業だけで5社ぐらい上場していますしね。 

困りごとから着想したのが『akippa』

塩原

ありがとうございます。話を変えまして、『akippa』を立ち上げたきっかけや理由、タイミングなどその辺りの具体的なエピソードをお聞かせいただけないでしょうか。

金谷

僕たちはもともと創業から5年間は営業会社として、求人広告をメインに売っていました。毎月、毎月、とにかく数字を追いかけるだけの日々でしたね。そうするとやっぱりみんな辛くなってきちゃって。クレームとかたくさん受けるようになってしまいました。

その時に副社長と「会社を何のためにやっているんだろう」「やっている意味があるのかな」という話しをしたんですね。「何のためにやっていくか」、これについてちゃんと考えていこうよと。

それでじっくりと考え込んでいる時に、たまたま停電になったんです。その時ふと、「電気ってすごいな」と思いまして。電気がないとテレビも見られないし、携帯の充電もできない。

そこで思ったのが「電気のように、世の中に必要不可欠なサービスを作りたい」なと。それをやらないと会社をやっている意味がないと思いました。なので、その後に経営理念を“なくてはならぬをつくる”としました。

“なくてはならぬもの”とは“世の中の困りごとを解決するものだ”ということで、当時25人いた社員全員で自分たちの生活における困り事を書き出しました。

そうしたら、アルバイトの女性が「駐車場は現地に行ってから満車だとわかるから、とても不便」という事を書いていまして。そこから連鎖が始まって、別のメンバーからも「実家の前の土地が余っているからもったいない。何かに使いたい。」というのが出てきました。

そして、この2つを繋げて、『akippa』の構想が生まれました。

塩原

なるほどですね。そのアイデア出しの秘訣やポイントみたいなものがあればぜひ教えてください。

金谷

まず、アイデア出しはさせていないです。“アイデア出し”となるとハードルがとても高くなってしまいますから。アイデアにまとめるのは経営層だけでやっています。

なので、社員にはただ困っていることだけを書き出してもらいます。
それは自分だけじゃなくて、お母さんとか、おばあちゃんとかでも良いですし、誰かが困っている事をとにかく書く。

それを元に、これとこれを繋げたら面白いなとか、じゃあこれを更にスマホで繋げちゃおうとか、そんな感じで経営層でアイデアにまとめていきます。その過程で市場規模や業界の課題みたいなものも分析していきます。

僕たちの場合は、それで3つぐらい候補が出ました。その中で社会的問題や市場規模が一番大きかったのが『akippa』だったので、決断をして一気にピボットしていったという感じですね。

関西にメガベンチャーをつくる

塩原

グッとアクセルを踏んでいくタイミングでファイナンスもされていると思うのですが、その辺りの理由や決断に至った際の心境などもお話しいただけますか。

金谷

僕たちの場合、総額12億円の資金調達を行っています。

まず、ファイナンスをするにあたって、僕たちは「時価総額1兆円を目指す」ということを本気で掲げています。そこに本気で賛同してくれて、一緒にハンズオンでやってくれるとこを常に探していました。

次に、関西でずっとやっていきたいとも思っていまして。
なので関西のVCさんからも出資を受けています。例えば朝日放送さんのファンドからは第一号案件で出資をしていただいたり、丸亀製麺のトリドールさんからも出資をしていただきましたね。

関西で時価総額1兆円を超えるメガベンチャーを作るということに本気で賛同してくれて応援してくれているVCさんに入っていただいているような感じです。

イケてるサービスを作りたいなら選択肢はただ一つ

金谷

で、なんで資金調達をしているかについてもお話しできればと思います。

まず、考え方として世界中で使われるサービスとなるためには、目の前の売上を取るよりも、まずはユーザー数などをKPIにして伸ばさないといけないと思っています。ただ、目先の利益を取らずにユーザー数を追っていくと、どうしても赤字を掘ってしまう。もちろん、利益だけを追求して黒字経営を続けていくことは素晴らしいですが、それだとなかなかサービスは大きくなっていかない。

まさに“Jカーブ”の成長曲線ですね。最初は儲からないけど、ユーザー数はどんどん伸びていく。そして赤字もどんどん掘っていく。で、その間のお金はどうすんねんと。融資じゃなかなか難しいです。利益を追求される場合が多いですので。

当日の発表資料より引用

なので、僕たちはVCさんから資金調達を受けるしかなかったんです。VCさんは、将来に価値を感じてくれています。VCさんから出資を受けて、KPIを伸ばしながらどれだけ深く潜れるか、これが大切だと思います。

この場合、2014年や2015年は赤字。2018年にこれだけいくと。そこを信じて投資をしてもらっています。そういう部分があって、僕たちはエクイティで資金調達をしています。

それに、VCさんはP/Lどうこうのアドバイスだけではなくて、KPIを伸ばすためのアドバイスをくれます。僕たちは頭が良くないので、素直にそういった意見を聞ける相手がいるのは心強いですよね。

塩原

なるほど。最初に出資を受けた時の心境はいかがでしたか。

金谷

不安はほとんど感じませんでしたね。絶対にいけると思っていましたし。それに、借金したって死にはしないじゃないですか。

厳密に言えば、借金でもないですしね。第三者割り当て増資をしているので、お金を返す必要もないわけです。でも、出資してくれた人たちは期待してくれているので、絶対に無責任には出来ないですし、ちゃんとその期待に応えたい。そういうスタンスが僕には合っていると思います。

自分たちより優秀な人を採用するべき

塩原

ありがとうございます。続いてですが、新規事業を作り、それを展開していく中で様々な困難が出てくると思います。その困難をどうやって乗り越えてきたのかについて教えていただけないでしょうか。

金谷

『akippa』は採用にとても苦戦しましたね。弊社はもともと営業会社なので、『akippa』のサービスを開始した時は開発チームが0人でした。なので、最初はフリーランスのエンジニアの人に作ってもらっていました。デザインはフリーランスの人に手伝ってもらいながら、先ほどの困りごとを出してくれたバイトの子が、テレアポインターだったんですけど、社員になってもらって、デザインをイチから勉強してもらいました。

それで、その後に外注でやるのも限界がきたのでフリーランスの方にも入社してもらいました。ずっと入社してほしいと言い続けていましたね。最初はその2人で作っていた感じです。

やっぱり、自分たちより優秀な人をどんどん採用したほうが絶対にうまくいきますよね。自分たちが目指しているとこに辿り着くには、やはりこれしかない。

採用の時に自分たちがどれだけイケてるかを話すベンチャー企業って多いと思います。僕たちはその真逆で、僕たちがどれだけイケてないかを話すんです。これが出来ません、あれが出来ませんっていうのを書き出して、それを伝えています。

塩原

すごいですね。なにかコツみたいなものがあるのですか。

金谷

はい、まず、少し話は逸れますが、関西の人って関東でとても活躍しているじゃないですか。で、そういう人たちの親御さんって結構ご高齢だと思うんです。ほんとは彼らも関西に帰りたいんですけど、行く会社が関西にはないんですよね。関西にはベンチャーという文化が醸成されていないので。

そこですかさず言うんです。「akippaがあるじゃないですか」と。

塩原

なるほど。でも、転職してくるにあたっての条件面はどうされているんですか。
優秀な人はやはり給料も高いと思うのですが。

金谷

そうですね、たしかに僕たちは彼らの前職以上の給与は出せないですけど、それよりも大切なことってたくさんあるじゃないですか。僕たちが目指しているビジョンを伝えています。一緒にメガベンチャーを作りましょうと。

塩原

つまり、巨人で補欠よりも、阪神でレギュラーの方がいいじゃないかと。

金谷

いえ、違います。巨人で補欠よりも、阪神でレギュラーになって、そのままヤンキースを超えますっていう感じですね(笑)

まあ、大企業でいつまでサブでやっているんですかと。だったら『akippa』でメインでやって世界を変えましょうよと。僕たちの本気度と覚悟をちゃんと伝えていますね。

本気で目指しているかどうかって、話せばちゃんと伝わると思います。それに、「時価総額1兆円を目指す」なんて宣言している人、周りにいないじゃないですか。でも、時価総額1兆円を達成した人は必ず宣言している。

ただ、はじめは「そんなのバカだ」って言われるんですよ、成功した人も失敗した人ももれなく全員。それに本気で目指している人も少ないですからね。だけど、そんな状況だからこそ、それを目指した時点でかなり大きなチャンスに変わると思うんです。

業界のマインドシェアを変えてみせる

塩原

最後に、今後の展望についてお聞かせ下さい。

金谷

『akippa』では、駐車場予約を当たり前にしていきたいと思っています。

例えば昔、何か料理をしようと思うと、本屋さんに行ってレシピの本を買って、それで料理をしていたと思います。ただ、今はもうそんな選択肢はない。料理を作るならクックパッドを見る、というマインドシェアをクックパッドさんは獲得しています。

それで、『akippa』も駐車をする際のマインドシェアみたいなところを獲得していきましょうよと。いまは皆さん、車で出かけたら現地でコインパーキングを探していると思います。それを、目的地までのナビをセットすると同時に駐車場も予約できるというような、そんな世界に変えていきたいなと思っています。

「現地でコインパーキングを探す」ことから「ナビをセットし駐車場を予約する」という風に変えていきたい。駐車場の予約を『akippa』で行うことで、そこが行き先になるという世界観にしていきたい。多分、3年後ぐらいにはこれが当たり前になっているという状況かなと思っています。

その理由としては、『akippa』がイケているかどうかとういうことではなくて、すでに『akippa』が追われるサービスになってきているからですね。業界最大手の会社さんも、僕らのサービスを追ってきています。各大手企業さんがどんどん参入してきているんですけど、参入することで「駐車場をシェアする」という概念が加速度的に広まっていくので、僕たちにとっては参入もプラスです。

僕らのサービスは“駐車場を予約する”という点では、日本で断トツ1位になっています。『akippa』が業界のマインドシェアを変える手助けをしていければいいなと思っているので、大手競合他社さんの参入を拍手で迎え入れていきながら、全速前進していければと思っています。

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代表取締役
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