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SEO対策はムダで効果なし「WEBマーケティング」の嘘と本当

「パンダ」や「ペンギン」ではなく「人間」を見つめよう

株式会社ニンニンドットコム 代表取締役 鈴木 忍(すずき しのぶ)

INOUZTimes編集部
SEO対策はムダで効果なし「WEBマーケティング」の嘘と本当

イラスト:INOUZ Times

いまや企業活動になくてはならないとされるWEBマーケティング。アメリカの広告市場ではインターネット広告の年間売上高が初めてテレビを上回り、首位なったことが報道されました。実際、あの手この手のSEO対策などでWEBマーケのテコ入れに頭もお金も使っている経営者、マーケ担当者は多いでしょう。でも、やってることのそれらはことごとく逆効果、だったとしたらどうします? インターネット勃興期からこの業界に関わってきたWEBマーケ職人、ニンニンドットコム代表の鈴木さんに「WEBマーケティングの嘘と本当」を深掘り取材しました。ちょっぴり刺激的な内容です。どうぞ心のご準備を。

目次 ◆ なぜ「ダメダメ・サイト」がトップ表示されたのか
◆ 検索順位を決めているのは「人間の頭脳」
◆「マーケ3原則」の実践に勝るものはない
◆「成功するデート」と「失敗するデート」
◆ “ほぼ日”をオススメする理由

【PROFILE】

鈴木 忍(すずき しのぶ)
株式会社ニンニンドットコム 代表取締役
1973年、秋田県生まれ。大学卒業後、企業のWEB担当者としてWEB制作と物販を経験しその後、独立。2005年に有限会社ニンニンドットコムを設立(現:株式会社)。代表取締役に就任。
◆PHOTO:INOUZ Times

なぜ「ダメダメ・サイト」がトップ表示されたのか

―今回は「WEBマーケで勝つ方法」を聞きたいなと思っています。いきなりですが、具体的な手法を聞かせてもらえますか?

論より証拠で、ある成功事例をお話ししましょう。何をしてもずーっと下位表示から脱却できなかったのに、あることを実践したら、その会社のビジネスにとって重要なキーワードや項目で軒並みトップ表示されるようなった。そんなケースです。正確に言うと実践じゃなくて、“あること”をやめたんですけど。

―何をやめたんですか?

SEO会社との契約を打ち切りました。SEO対策を全部、やめちゃったんです。

―確認ですけど、SEO対策の強化ではなく、SEO対策を放棄したら上位表示されるようになったんですね?

そうそう。おもしろいですよね。それまでの苦労はなんだったんだって。

もともと、その会社のサイトはとてもよくできていたんです。Q&Aが網羅され、ユーザーの疑問や関心に応えるサイトになっていて、上位表示されてもおかしくないサイトだったんです。なぜ、Q&Aを網羅することが上位表示される条件なのか、その理由は後で説明します。

じゃあ、基礎的な条件を満たしていたのにも関わらず、どうして上位表示されなかったのか。「SEO会社との契約を切ったら上位表示されるようになった」という事実から逆算すると、それまで行っていたSEO施策がことごとく逆効果だった。こうした結論にならざるをえませんよね。

―どこが間違っていたんですか?

あれは正解だった、ここが間違っていたという問題ではないんです。SEOという概念そのものが虚構なんです。

―え!? その理由を示してくれますか。

たとえば、SEOの手法なるものをもってGoogleで上位表示されるためには、Googleのアルゴリズムを理解している必要がありますよね。アルゴリズムがこうだから、こうした手法が有効なんだ、効果があるんだという因果関係が説明されなければなりません。

―確かに。

でも、周知のとおり、Googleはアルゴリズムを一切公開していません。Google内部でもその全貌を知っているのは一握りでしょう。まして社外の人間が、どうして門外不出のGoogleアルゴリズムを知り得るのでしょうか?

つまり、SEOとは「おそらく、こうだと思います。本当のところはわかんないけどね」という推理、占いの類なんです。うまくいかないのが当たり前。

―すごいディスりようですね。炎上しそうで心配です。

SEO企業をやっつけたいわけではないんです。けど、本当の「WEBマーケで勝つ方法」をお伝えするためには、どうしても避けて通れないので、すいませんね。

さて、ケーススタディに立ち戻って、なぜSEOをやめたら検索順位が上がったのか。そのロジックを理解するためには、そもそも検索エンジンが何を考えているのか、なにをミッションとしているのかをひも解く必要があります。

検索順位を決めているのは「人間の頭脳」

「SEOとは『おそらく、こうだと思います。本当のところはわかんないけどね』という推理や占い」
PHOTO:INOUZ Times

―ぜひ、お願いします。

シンプルに言うと「ネットで何かを探しているユーザーに対して、もっとも適切な順番で、もっとも適切なサイトを提示する」ことがミッションで、それを実現する方法を考えています。

マウスを例にとって説明しましょう。新しいマウスを買おうと思って、検索窓に「マウス」と入力して、クリックしました。すると実験用のマウス、つまりネズミのコンテンツがばーっと上位表示されました。次のページも、その次のページもネズミばっかり。こんな検索エンジンがあったら、どうします?

―閉じて、違う検索エンジンに切り替えます。

私もそうします。そしてネズミを表示した検索エンジンは二度と使わないでしょう。

でも、パソコンの「マウス」もネズミの「マウス」も同じマウスなので、どちらを表示したとしても間違いとは言えないですよね。だけど、現実には「マウス」と入力したらパソコンのマウスが当たり前のように表示される。それははなぜでしょう?

―検索エンジンは「マウス」と入力する人はパソコンのマウスを探していると判断している。そういうことでしょうか。

そうなりますよね。つまり、検索エンジンはユーザーの心理や考えていることを読んだうえで、検索ワードに対応した適切なサイトを表示している。そういうことなんです。

しかし、かつて検索エンジンが乱立していたときはそうではありませんでした。乱立から淘汰を経て、今日のプレーヤーが生き残っているわけですが、検索エンジンが生き残るために一貫してテーマにしてきたことこそ「人間の心理」「人間の頭の中」を、いかにしてキャッチアップするかということ。そこに尽きます。

―GoogleがAIを開発しているのも同じ文脈ですね。人間であるユーザーの頭脳と同じAIができれば、その人の探しモノに対してもっとも適切なサイトを瞬時に提示できます。

検索エンジンとAIの関連に限定すれば、そう言えるでしょうね。

ただ、AIは開発途上で未完成。ですから「Panda(パンダ)」とか「Penguin(ペンギン)」とか言われるGoogleアルゴリズムの大規模アップデートや細かなアルゴリズム変更が行われているんです。

IT系の会社が「パンダがあーだから」とか「ペンギンはこーなので」とか言ってますけど、AIが未完成だからSEOのような本質的ではないものが存在しているだけなんです。

―AIが完成すれば駆逐される、ということですか。

そうです。ただ、AIという言葉にも惑わされないでください。Googleの最終目標はAIの完成ではなく、それは目標達成の手段にすぎませんから。

じゃあ、何が最終目標なのか。昔々の検索エンジン乱立時代からGoogleなどの検索エンジンが一貫してテーマにしてきたことを思い出してください。

―「人間の心理」「人間の頭の中」のキャッチアップ、ですよね。

そうです。それでは、検索エンジンが探求対象としている人間って誰なんですか、ということです。いまこの瞬間、あなたが考えていることを瞬時にわかっている人間は誰ですか?

―この部屋には鈴木さんと私のふたりしかいません。となると、いまこの瞬間に自分が考えていることをもっとも理解しているのは自分自身、ということですかね(汗)

正解。その気づきこそスタートラインです。

「マーケ3原則」の実践に勝るものはない

あなたという「人間」をもっとも知っているのは、AIという「鏡のなかのあなた」? それとも「あなた自身」?
PHOTO:Pixabay

―どういうことでしょう?

解説しましょう。検索エンジンが追求しているのは「人間の頭脳」です。であれば、サイトの表示順を決めているのは「人間の頭脳」ということになります。そして、あなたがもっともよく知っている「人間の頭脳」は、あなたの頭の中にあります。

つまり、自社のページをGoogleで上位表示されたければ、Googleが探求しようとしているあなたの頭の中を自分で探求すればよい。そういうことになります。

―理屈はあっています。でも、まだちょっとわかりにくいです。

では企業活動に置き換えましょう。「どうすれば自社の商品をユーザーは買ってくれるのか」。その問いは商品・サービスの研究開発段階から始まっているわけですが、ここではマーケティング、広告宣伝に限定しましょう。

数多ある類似商品・サービスのなかから、どうすれば自社の商品・サービスをユーザーが見つけてくれ、興味をもち、購買してくれるのか。具体的な手法はいろいろありますが、「顧客の現実・欲求・価値観」を確実にとらえること。それがゴールにたどりつくための出発点です。

たとえば…、ダイエットに興味ありますよね?

―あります。よくわかりましたね。

あなたの体型を見れば誰でもわかるというか…(苦笑)。ともかく、ダイエットしたい人には「やせたい“現実”」があります。

“欲求”は「やせる方法」。辛い運動や食事制限をすることなしにダイエットできる方法があるんですけど、お教えしましょうか。

―知りたいですね。

しかも、3日でウエストが10cm細くなるんです。

―まさにこの胴回りをどうにかしたかったんですよ!

これが“価値観”です。ウエストをどうにかしたい人がいれば、ヒップや太ももを気にしている人もいます。でも、あなたはウエストのダイエットに価値観をもっている。そういうことです。

この「顧客の現実・欲求・価値観」は、ドラッカーが指摘したマーケティングの3原則。もちろんネットが登場する以前の言葉です。

WEBマーケティングだからといって、何かが変わるわけではありません。この3原則を、この順番でユーザーに提供すること。これがWEBマーケで勝つための基本的な考え方です。

―スーパーで給料日前にカレーフェアとかやってますよね。特売の野菜とカレールーをセットにして積み上げる。それと同じことですか。

そうそう(笑)

―給料日前で節約モードに入ったという現実があり、安くすませたい欲求があって、子どもも大人も喜んで食べるものにしたいという価値観。私もカレーは大好きです。

ウエストを絞りたいなら、ほどほどにしてくださいね。

ともかく、そうしたマーケティングの考え方って、ネットの登場以前から経営者が日夜知恵を絞ってきたこと。

WEBマーケティングと言うと特別なことのように聞こえるし、SEOという謎めいた単語が混じると、難しいもののように聞こえてしまいがちですが、要は「顧客の考えていること」を理解することから始める。その基本をネットでも踏襲すればいいんです。

ただ、WEBマーケティングって、リアルのマーケティングとは少し違うところがあります。

「成功するデート」と「失敗するデート」

“おせっかいな外野”の進言より、相手の立場になった良質で誠実なコミュニケーションの方が効果大
PHOTO:写真AC

―WEBマーケティングならではの部分を聞かせください。

リアルのマーケティングは、広告、チラシ、看板、DM、なんでもいいんですけど、企業からユーザーに情報を届けることが先にあります。一方、WEBマーケティングはユーザーに自社の商品・サービスを探してもらうことが先になります。

だからみなさん、検索エンジンでトップ表示されたいと考えている。上位表示されたほうが見つけてもらいやすいですから。

―最初の話に戻る感じですが、だからSEOが重宝されるわけですよね。

でも、“魔法の杖”のような都合のいい道具なんて存在するはずがありません。

SEOがいかに間違っているのか。恋愛にたとえましょうか。顧客という「彼女」に、私という「自社の商品・サービス」を気に入ってもらい、「結婚」つまり購入というゴールまでたどりつくのは、どうすればいいのか、ということです。

ドラッカーが提唱した王道のマーケティングの考え方では、まず「彼女」のことを理解し、「彼女」になったつもりで「彼女」が喜ぶことを一所懸命に考えて提供する。そこにプラスアルファの努力をして自分の価値を感じてもらい、最終的に結婚に至る。そんな健全な姿が連想できますよね。

一方で、「彼女」ではない外野、おせっかいな友だちやわけ知り顔の先輩が「女性は花が好きだから、花をプレゼントすれば気に入られるはずだ」「花ならバラが喜ばれるというデータがある」「彼女はアウトドア派だからキャンプに誘え」「女性は外車が好きだから、デートはベンツで」などガヤガヤ言ってくる。それを全部実践したらどうなります?

―ベンツにバラの花束を積み込んでキャンプに行くことになりますね。

そんなの、絶対に引かれますよね。ほかの誰かの過去の成功体験をつぎはぎしたもので「彼女」を口説こうとしても、やがてバケの皮がはがれてフラれるのがオチ。それを押し付けようとしているのがSEOなんです。

恋愛を成就させる、つまりWEBマーケを通じて消費者に購入していただくには、まず顧客になったつもりで検索してみる。するといろんなサイトが出てきますよね。

そのなかから、「自分だったらどこを選ぶのか」を考える。そして、なぜそれを選んだのか、その理由を分析し、その要素を自社のサイトに入れ、さらにプラスアルファの価値を付け加える。

この繰り返ししかありません。顧客を知り、自分を知り、競合を知る。そんなマーケティングの基本を繰り返すことです。

―「彼女」の気持ちになってアクションを考える、つまりユーザーの心理を深く読み取ることがWEBマーケでも重要なんですね。

ええ。検索エンジンも同じ。Googleがなぜそのサイトを上位表示したのかというと、SEO対策が優れていたからではなく、「それを探しているユーザー」つまり「あなた自身」がそれを探していて、選んだからなんです。

だから、上位表示されたければ自分の検索行動を分析するのが、もっとも確実なんです。

“ほぼ日”をオススメする理由

「テクノロジーが進んでも、人間さえ見ていればなんとかなると思う」
PHOTO:INOUZ Times

―上位表示につながる、より具体的な方法があれば教えてください。

一例を挙げるとすると、ユーザーの疑問に応えるQ&Aをいっぱいつくることです。その理由は、なぜ人間はネットで調べるのかと言うと、自分自身を振り返れば簡単だと思うんですけど、調べたい疑問・関心があるからですよね。そして、疑問は人それぞれ。だからQ&Aをいっぱいつくったほうがいいんです。

一番最初にケーススタディで紹介した、SEOをやめたら上位表示されるようになった会社も実はまったく同じなんです。Q&Aをひたすら増やし、その内容を磨いていった。それだけで、SEO施策なしで上位表示されるようになったんです。

―なるほど。

人間のコミュニケーションとは、基本的にQ&A。「今日は何を食べたの?」とか「最近、何かいいことあったの?」とか。

そのQに対して的確で誠実なAを提供する。そうした良質なコミュニケーションが相互理解を深め、恋愛へと発展していくんです。

WEBマーケにおけるユーザーとの関係構築のあり方も同じです。多様なユーザーの問いに誠実に答え続ける。それがWEBマーケで勝つ基本です。

―でも、 SEO施策のおかげで自然流入が増えた。そんな事例も聞きます。

自然流入が増えたからといって、何がどうなるんでしょう。予算をかけて自然流入は増えたけど、収益に結びつかない。コンバージョンは変わらない。そんな失敗事例が量産されているように感じます。

自然流入を増やすのは、実はそんなに難しいことではありません。たとえば、男性は女性の画像が載っているサイトと載っていないサイトでは、どうしようもない男のサガなんですけど(笑)

女性の画像があるサイトをクリックする確率が高い。ですが、そのサイトに本質的な用事がなければすぐに離脱するでしょう。それと同じ考え方の延長上にあるテクニックを使えばいいんです。

そんな程度のものでしかないSEOを続けていればどんな未来が待っているのか。いいことはなさそうですよね。

―最後に、WEBマーケで悩んでいる経営者にアドバイスをお願いします。

経営者の方から「WEBマーケについて勉強したいんですけど、なにかいい本を教えてくれませんか」と聞かれたとき、ぼくは糸井重里さんの『ほぼ日刊イトイ新聞の本』をオススメしています。

ずいぶん前に書かれた本で、最近上場した糸井重里事務所がネットに事業の軸を移したころに出版されました。ぼくがこれをオススメすると怪訝な顔をされることが多いんですけど(笑)

このなかに次のような感動的な一文があります。「いくらこの先テクノロジーが進んでも、それを使うのは人間だから、人間さえ見ていればなんとかなると思う」。

糸井さんがネット事業で成功した理由は、こうした覚悟、本質を見抜く力があったからなんじゃないのかな。表面的なことに惑わされず、「人間を見る」という、これまで経営者のみなさんが積み上げてきたマーケティングの王道を磨いていくこと。

それが「WEBマーケで勝つ」ための一番の近道だと思いますよ。

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