「風通しのよい組織」へのカン違い
「風通しのよい組織」「トップとメンバーの間の距離が近い社風」。ベンチャーの企業風土をホメるときの常套句ですね。
確かに、トップの意思決定のもと、メンバーが一丸となって成長のステージを猛スピードで駆け上がっていくには、適した企業風土です。「意見具申するにも手続きを踏まなくちゃいけないのがバカバカしくて…」といった現職の組織への不満をもつ有能な人材を採用する際にも、切り札になりえます。
しかし、スタートアップ時ならばいざしらず、ミドルステージへ、さらにはその先へと成長していく段階にいたったならば、もはやそんな「風通しのよい組織」ではダメなのだ─。そう語るのは、ダイレクトマーケティング手法により多くのクライアント企業の販促を成功に導く“陰の立役者”、ファインドスターの代表である渡邊敦彦さんです。
同社はグループ会社を立ち上げて、有能な若手メンバーをその代表にすることで、起業家の育成に力を入れてきました。その初のグループ会社を立ち上げて代表になったのが、当時入社3年目、弱冠27歳だった渡邊さん。
そこでの経営手腕が認められ、2015年にグループの中核であるファインドスターの代表に抜擢されました。
ファインドスターの行動指針には「現場主義」という項目があります。トップである渡邊さん自身も「現場の声を聴く」ことを実践していました。自ら現場におもむいて、最前線にいるメンバーたちのナマの声をヒアリングしていたといいます。
「でも、それは間違った実践だったんです」。そう述懐する渡邊さん。いったい、なにが起きたのでしょう?
フラットな組織のままでは成長できない
実は“現場の声”には2種類あります。①ひとつは「現場の人間の主観・意見」のようなものです。②もうひとつは「現場で起こっている事実情報」です。
経営者が情報集すべき、つまり「聴く」べき“現場の声”とは、このうちの②です。①を収集する必要はありませんし、②だとしてもコミュニケーションルートが1個飛ばしになることはNG。さまざまな弊害が起きてしまいます。
以前の渡邊さんは、社長直下である中間管理職を飛び越えて、その下の階層のメンバーのナマの声を直接、ヒアリングしていました。(シキガクシキ「位置ずれ」)
すると、メンバーは「自分が思っていることを社長に聞いてもらえる」と思うようになり、ひどい場合には「自分は社長に意見が言える立場なんだ」とカン違いしてしまいました。
さらに、渡邊さんとしてはちょっとしたアドバイスとしてメンバーに伝えたつもりでも、メンバーは「社長から指示された」「社長はこうした方がいいんじゃないかと言った」と受け取ってしまいました。
こうなると、中間管理職の立場がありません。いつしか組織の統制がとれなくなってしまったのです。「組織の規律を乱していたのは、私自身だったのです」(シキガクシキ「組織マネジメント」)と渡邊さんは振り返ります。
いま渡邊さんは、2階層以上離れているメンバーからの質問や相談には、まず「自分が答えるべき質問か、答えてはいけない質問か」を考えてから対応しているそうです。
渡邊さんの考え方が劇的に変わったのは、識学との出会いがきっかけでした。識学では「位置」という概念を大事にしています。
この概念を組織論に適用すると、「組織のなかでのメンバーの“位置”がきちんとしていないと、その組織は成長しない」という原則がみえてきます。
渡邊さんは、識学のトレーニングを受けはじめてすぐに、「私自身が組織内での位置をずらしまくっている状態だ」と気づかされたといいます。
そんなに早く気づきがえられたのは、“前フリ”があったからかもしれません。
識学を導入するかどうか検討するために、識学講師の話を聞いてみたとき、いちばん渡邊さんの心に刺さった言葉があったそうです。それは「組織はピラミッド状にしか拡大しない」。
それまでフラットな組織をつくろうと奮闘していた渡邊さん。しかしだんだん、それに懐疑的になっていたのだそうです。「フラットというやり方もあるのだろうが、少なくとも私の得意とする方法論ではないな」と。そこに識学講師のひとこと。「あっ、これは来たな」という感覚があったそうです。
誰でもできることを誰でもわかる言葉で
「識学の存在はFacebookの広告を見て知った」という渡邊さん。しかし、「正直に言うと、第一印象は『怪しいな…』でした(笑)」ということで、しばらくは「怪しそうだけど、なんだか気になる」という状態のまま放置。
その後、知っている経営者が何人か「識学のトレーニングを受けた」と広告に登場するように。その経営者たちを「とてもリスペクトしていた」ことが決め手となり、識学の講師から詳しく話を聞くことにしたそうです。
講師との面談では、「組織運営するうえで大事にしていることは?」といった質問に渡邊さんが答えていったそうです。「私の答えをすべて識学に当てはめ、ズバズバと否定されていったのが印象的でしたね(笑)」。
でも、そのフィードバックの一つひとつが「どれも納得のいくものだったので、導入を決めました」(渡邊さん)。
識学の導入によって、ファインドスターは大きく変わりつつあるそうです。識学の導入前につくりあげていた行動指針について、大事にする根本の精神自体は変わらないものの、より効果的に浸透させるための方法論が見えてきたといいます。
行動指針には、「挨拶をする」と「業務を仕組み化する」という項目があります。前者はやろうと思えば誰でもできます。しかし、後者は知識やスキルがないと実行できません。それを身につけるのに時間が必要なメンバーもいるでしょう。一律に実行させようとしているところに問題があることが、識学導入によってわかってきました。
そこで現在では、①挨拶(来客向け)②挨拶(社員同士の挨拶) ③整理整頓 ④出退勤の打刻 ⑤アクション登録の5項目を最優先で実行することにしました。すべて「誰でもできること」だからです。
そして実行できているかどうかの基準を、識学でいう「完全結果」で設定しています。たとえば「整理整頓」。これが「整理整頓する」というルールでは“できているかどうか”が個々の基準で異なってしまいます。
でも「退社時には机上になにもない状態にすること」という「完全結果」に基づくルール(シキガクシキ「会社のルール」)であれば、全員が守るべきことを明確に認識できるのです。
「誰にでもできるルールを、誰にでもわかる基準で設定する」ことによって、いま、ファインドスターの社内に規律が生まれてきたといいます。渡邊さんは「組織に規律が生まれると、トップの決定事項に対しての行動が早くなります」と、その効果を語っています。
ただ、完全に徹底させるには時間がかかります。「私自身もまだまだ完璧だとは思っていません。これから数年かけて浸透させながら組織を大きくしていけたら、と考えています」。渡邊さんの脳裏には、大きく成長した数年後の組織の姿がありありと映っているのでしょう。
「識学トレーニング」無料体験デモを実施中
組織内で起きている問題の多くは、錯覚や誤解が原因。錯覚や誤解が複雑に絡み合うことが組織のパフォーマンスを低下させる大きな要因です。
経営者がそんな人間の思考の癖に気づき、誤解と錯覚を取り除く方法を身につける学問、それが「識学」です。 ヒトの意識構造を対象に、徹底的に臨床を繰り返した結果、誤解や錯覚の発生要因とその解決策を解明している「識学」を日々の行動や制度に反映することで、誤解や錯覚のない組織が構築され、パフォーマンスを劇的に改善することが可能です。
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