「退職届のタイミング」にふたつの基準!?
突発的ではなく、ある程度、時間的な余裕があったうえで社員が退職する場合、退職届を出すタイミングには、大きくふたつの基準のとなる考え方があるようです。
まず「なるべくソンをしないで退職したい」という考え方。賞与がある場合、計算上は夏・冬の賞与支給直後に会社を辞められるタイミングで退職届を出す、ということになります。従業員にストックオプションが付与された会社で、権利行使直後に社員が大量退職しちゃった、というケースも聞きますよね。
ふたつ目は、会社の状況も考えたケース。たとえば、年度替わりに備えていろいろな新体制づくりが始まる前のタイミングなどです。新年度の体制づくりが完了した直後に退職届を出したら計画の仕切り直しが必要になって会社や同僚に迷惑がかかりそう。そんな配慮がある考え方です。
個人の利益追求か会社の状況も考えるのか。退職届を出すタイミングから、その人の人間性や仕事の価値観、会社への想いがうかがえるかも!? そんなことが言えそうです。
正社員100人に聞いた!退職届を出したタイミング
自己都合退職の経験者で正社員として働く男女100人に対して、退職届を出すなど会社に退職の意思表明をしたタイミングについてアンケートを取って調べました。
【質問】
自己都合退職をしたことがある人に聞きます。自己都合退職する時はどれぐらい前に会社に言いましたか?
━【調査概要】━━━━━━━━━━━
調査対象:全国の成人男女を対象にしたインターネットリサーチ
平均年齢:37.6歳
性別 :男性46人、女性54人
職種 :正社員
回答数 :100サンプル
調査内容:退職時期に関するアンケート
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1ヵ月前が約半数
約半数の人が1ヵ月前という結果になりました。それに続いて、2ヵ月前、3ヵ月前という回答が、それぞれ約2割にのぼっています。約半年前には伝えた、という人も約1割いました。
1ヵ月前
・最低でも1ヵ月前には言いました。有給休暇の消費もあるので早めにいうことに越したことはないと思います。(20代/男性/正社員)
「辞めます」と言ってから1ヵ月で新規採用→引継ぎまでできるのかちょっと疑問ですが、会社に迷惑をかけず、有休消化でスムーズに転職するためにも、最低限、1ヵ月前が“常識の範疇”と考えている人が多いようです
2ヵ月前
・2ヵ月ぐらい前。引き継ぎなどがあるため、これぐらい前に言わないと辞められない。(20代/女性/正社員)
“2ヵ月前派”の人は、退職にともなう手続きや引き継ぎなどを余裕をもって進めたい、と考えているようです。
3ヵ月前
・3ヵ月前。というのも、最後の2ヵ月は有給休暇で実質的に退職助走期間となったため、早めに申告。(40代/男性/正社員)
1シーズン前の3ヵ月前という人には、複雑な業務で引継ぎに時間がかかる、未消化の有休が溜まりに溜まっていたなど、1ヵ月前や2ヵ月前ではすまない事情がありそう。でも“長い前置き”が必要な状況であっても「しょうがないよね」といったサバサバしている印象を受けました。
半年前
・半年前には直属の上司には報告をしました。自分の希望退職日を伝えたうえで、会社の都合も伺い、お互いに納得のいく日程での退職となりました。(30代/女性/正社員)
どこからどう見ても「円満」というカタチを残して会社を辞めるためには、季節をふたつまたぐ必要がある、と考えている人も。それだけの時間があれば、確かに後任の穴埋めや採用といった退職にともなうアレコレを会社としてもかなり余裕をもって進めることができそうです。
だけど、続ける意思のない仕事を半年間し続けるのは、ちょっと本人の時間がもったいないんじゃないかな、とも思っちゃいました。
こんな辞め方も
その他の少数回答をご紹介します。「ゲゲッ!」と驚くような回答も!?
・3日前くらいですね。もー我慢の限界!ってとうとう爆発した時でしたから、あと1カ月、2カ月居るってことが出来ませんでした(30代/女性/正社員)
・本当は今すぐにでもやめたかったのだが、退職したい旨を伝えてから3カ月後でないとやめさせてもらえなかった。(20代/女性/正社員)
・役職者だったので、3カ月前に社長へ直に伝えましたが、結局半年間仕事しました。(40代/男性/正社員)
・自己都合退職なので時期は告げずに後任者が決まるまでと会社にゆだねています(40代/男性/正社員)
失踪パターン、爆発パターン、引き止めパターン、役職者なのにお気軽パターン、そして会社まかせパターン、いろいろですね。結婚式ってある程度パターン化されてますが、お葬式は意外と多種多様、というのと同じ!?
もうすぐ外は辛い春…
アンケート結果の全体的な印象として、ドライというか、1ヵ月前にしろ半年前にしろ「これくらい前に言っておけば問題ないですよね」という考え方がありそう、と感じました。「“別れ話”はギスギスしがち。だったら事務的に対応した方がいいでしょ」ということ!?
ある経営者に「どんなタイミングで社員から退職届を出されたらいいですか」と聞いたところ、「前触れもなく退職届をもってこられるのがいちばんツライ」と前置きしながら、こんなことを切々と話してくれました。
「退職届をもってくる前に『会社を辞めたい』と一言があれば、ヘンな引き止めということではなしに、経営者として、社会人の先輩としてキャリアの相談に乗れるし、アドバイスもできる。おたがい腹を割って話し合い、誤解を解くことだって。でも、突然の退職届は会社にもう気持ちがない態度表明。こうなると心を閉ざしているのでなにも相手に響かないし、届かない。なんで事前に相談してくれないんだ、それほど自分は信用されてないんだという口惜しさで一杯になる」。
なるほどですね~。そして「『コイツと一生の付き合いをする』という覚悟をもって採用している。それがいきなり『もう別れましょ』では切なすぎる」と最後には涙目になっちゃいました…。南風に舞う桜吹雪ならぬ、涙雨で散る桜、の心境!?
本音をさらけ出すのは勇気がいるし、上司や経営者のカラーもそれぞれ。なので無責任にオススメはできませんけど、会社に気持ちが少しでも残っているのなら、信頼できる上司や経営者にぶつけてみると、また違った道が見えてくるかもしれませんね。
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