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社員の声を反映した「IT活用」で負荷を減らす改革に成功!

組織の生産性向上で会社を変える #2

千葉商科大学 国際教養学部 専任講師 働き方評論家 常見 陽平(つねみ ようへい)

株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー 取締役 渡邊 大介(わたなべ だいすけ)

INTLOOP株式会社 代表取締役 林 博文(はやし ひろふみ)

SponsoredINTLOOP株式会社×株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー
社員の声を反映した「IT活用」で負荷を減らす改革に成功!

2018年9月、「ケーススタディから学ぶ働き方改革カンファレンス」が開催されました。

「働き方改革」の推進に成功させている企業のキーマンや「働き方改革」をサポートしている専門家の皆さんが、その実際を語りました。
※本記事はヒューマンキャピタルテクノロジー取締役の渡邊氏、INTLOOP代表の林氏、働き方評論家の常見代表のセッションから抜粋・編集したものです。

[概要]
ケーススタディから学ぶ働き方改革カンファレンス
2018年9月19日
主催:イシン株式会社
協賛:アトラエ、あしたのチーム、Chatwork、ヒューマンキャピタルテクノロジー、INTLOOP、AKASHI
協力:日本経済新聞クロスメディア営業局

[特別セッション]
「組織の生産性向上で会社を変える」

[スピーカー]
ヒューマンキャピタルテクノロジー 取締役 渡邊大介氏
INTLOOP 代表取締役 林博文氏

[モデレーター]
千葉商科大学 国際教養学部 専任講師/働き方評論家 常見陽平氏

10年で生産性が2倍になった理由

ヒューマンキャピタルテクノロジー 取締役の渡邊さん Photo:INOUZ Times

渡邊

ではここからは、私が「組織・個人の生産性を上げる」というテーマでお話しさせてください。私が現在所属しているリクルートとサイバーエージェントのジョイントベンチャー企業であるヒューマンキャピタルテクノロジーという会社は、「サイバーエージェントという奇妙な会社でうまくいっていることを、リクルートの力で汎用的にしていくためのHRテクノロジー会社」として設立されました。

サイバーエージェントは、「働きがいのある会社」ランキングに10年連続でベストテンにランクインしたり、「モチベーション高い日本企業ランキング」で1位に選ばれたりしています。実際、サイバーエージェントの社内は大変活気づいており、統制がとれていて、社員が一致団結しています。この時代にあって「古きよき高度経済成長期」のような雰囲気をまとっているのではないかと。

渡邊

私はそんな会社に12年前に入社しました。当時の社員数は1,500人程度、売上は600億円程度でしたが、10年たったころには売上生産性でいうと2倍の伸び率を見せています。また、営業利益が3%程度だった広告事業が、いまは12%程度にまで拡大しています。私が入社したころはインターネット広告代理事業のみを一本足打法で運営していた会社でしたが、今は『AbemaTV 』しかりゲーム事業しかり、ビジネスの幅を広げました。

同社はビジネスモデルを改善したり、新しいビジネスモデルをつくったりしてきたなかで、生産性を2倍に向上させるまでにいたったわけです。なぜ生産性を2倍にできたのか―─。このあたりを少し分解してお話ししていきたいと思います。「ビジネスモデルのチェンジができるくらい、よいビジネスモデルを発案できた」ことと、「発案されるビジネスモデルを成功までもっていけるくらい、社員をモチベートできた」という、この2点がポイントです。

「能力発揮度」スコアの高い企業

渡邊

サイバーエージェントの社員は、「能力発揮実感」が非常に高い会社です。実際、「あなたの能力発揮度は何点ですか?」と質問したところ、ほとんどの社員が10段階中7.5~8と答えました。これは、「自分はこの会社の仕事に対して、7.5~8の能力を発揮している」と実感している状態です。

このアンケートは、2008年に出版されてベストセラーになった『日本で一番大切にしたい会社』(あさ出版)で坂本光司教授が述べていらっしゃった内容にヒントを得て、作成しました。この、主観的な能力発揮度が2の会社が、8にすることができれば、単純計算で生産性は4倍に跳ね上がるわけです。このように、社員の心的な部分を可視化し、マネジメントすることが大切です。

また、生産性やモチベーションを上げるための原因究明をすることも欠かせません。能力発揮度について1や2などの低いスコアをつける人にヒアリングをすると、大きく2つに分かれます。1つは、「全力を出してもどうせ自分はダメだから…」というように、自分に対して厳しいタイプです。この人は、伸ばす機会を与えれば伸びていくので問題ありません。

もう一方は、「こんな会社のためにがんばっても…」というように、会社に対するあきらめのコメントが出てしまう方です。「全力でがんばってみても、給与はどうせ一律だし」とか、「この会社のためにがんばっても、このビジネスモデル自体に疑問を感じる」とか、会社に対するあきらめのコメントが出てしまうと、能力発揮度はどうしても低くなってしまいます。

「打てば響く」実感を従業員に与えよ

渡邊

では、能力発揮実感スコアが高いサイバーエージェントは、いったいなにをしているのか。ポイントは、「キレイごと」を徹底している点です。すなわち、サイバーエージェントでは、「従業員の声を経営に活かす」ということを地でやっています。ただし、従業員のいうことをすべて鵜呑みにする必要はありません。なぜなら従業員は経営のプロではないし、彼らの言葉のなかには間違っているものもあるからです。では、どう活かすべきかというと、従業員が「会社の業務や経営企画に対して声をあげればそれが響くんだ」という実感、「打てば響く」実感を従業員に与えることが非常に重要だと思っています。

実際、サイバーエージェントの場合は、従業員の声や要望のすい上げを、組織とシステムで解決しています。従業員の声を集めるツール『Geppo』、各種の個人・組織情報を分析する『Tableau』を駆使。そして専門組織「キャリアエージェント」「人材科学センター」が、社員のモチベーションを可視化して手を打っています。具体的には、月に1回ほど従業員の声を聞いて分析し、そこからキャリアエージェントがアクションをとり、そのアクションの結果を月1回のアンケートで計測するという流れを取っています。インターネット広告事業で当たり前にやっているPDCAみたいなものを人事部でやっているという点は、非常にユニークだと思います。

渡邊

サイバーエージェントは、それを2012年くらいからずっと継続してきた結果、先ほどお話しした通り生産性を2倍に向上させられたんだと思います。「従業員の声を聞く」というと、あまりにも一般論だしキレイごとです。一方で現在、従業員の声を聞く方法はと言えば、ある程度科学的にできます。そのぶん、可視化されますから、変化の度合いをトラッキングできます。すると、経営陣のなかでの会話として、「従業員の声を聞いた結果どうなった?」と議論しやすくなるので、「打てば響く」組織というのが実現に向けて動き出せるようになるわけです。

常見

ありがとうございます。「打てば響く」ようにするという課題が、テクノロジーでこれほど解決しているのですね。続きまして林さん、「現場の声で起こるケーススタディから学ぶ『組織パフォーマンスの変え方』」というテーマでよろしくお願いします。

ムダな業務を減らして負荷を軽減させる

INTLOOP 代表取締役の林さん Photo:INOUZ Times

はい。私が以前いた会社では、出勤時間が9時~5時というケースがありました。夕方の5時ではなく、翌朝の5時です(笑)。「朝9時から朝5時までが勤務時間です」なんてネタにしていましたね。しかし最近は同じIT業界でも、少しずつ残業を減らしている会社が多い。しかも、残業を減らしながらも営業効率が上がっている会社が増えてきています。それはなぜなのか、どのような方法を取っているのか。思いつく限りのことを今日、お話しさせていただきます。私からは、「ルールである程度改善できる」「成果主義にこだわる」という視点でお話しさせていただきます。

まずは、3つのポイントをあげさせていただきます。1つ目は、「ムダな作業をなくす」ということです。私は20年間ほどITや業務改革をもってお客さんの生産性を上げるという仕事をしてきました。最近、大企業のお客さんが「働き方改革を自社に取り入れたい」ということで相談に来ました。そして、「間接部門を含めたさまざまな業務がRPAの対象になるんじゃないか」とのことで、「自動化対象になる見込みのある業務を洗い出してくれ」と依頼してきたわけです。しかし、私たちが業務を洗い出した結果、「約100ある業務のうち5つ程度しかRPAの対象にならない」という結論にいたりました。

定型的な事務作業にかんしては、テクノロジーでいうとRPAやAIの導入が効果的です。一方で、どうしても人間の手を離れられない業務があります。そこに多くのムダがひそんでいます。私たちが抽出したのは「社内業務の多さ」です。私がコンサルタント時代も経験したのですが、社内稟議や社内調整などの業務は、大企業になればなるほど多いんです。そして、それに社員が奔走している会社さんがけっこう多い。実際、私のコンサルタント時代、大手のお客さんから高額な報酬をいただいて、社内調整の資料をつくるという仕事をけっこうやってました。

しかも、その際に、各部署でデータを加工しているケースが多く見受けられます。そして、「各部署が最適なカタチで数字を取って加工して…」というように、課長や部長の判断で数字の加工方法を変えたりしているため、さまざまな煩雑な業務が発生している。さらに、いまだに「報告書はキレイにつくらないとダメ」とのことで、パワーポイントなどでキレイにつくらせている。外資系企業ではワード文書1枚で報告させていますよ。「社内での作業をいかに減らしていくか」ということは日本企業にとって非常に重要な課題だと思います。

仕事を分業化して従業員の希望をかなえる

2つ目は、人材の最適な配置です。欧米では仕事が分業化されていて、働きたい人はどんどん働き、働きたくない人や「仕事以外の人生を謳歌したい」という人は、作業者に徹しています。その代わり、給与形態は全然違うという働き方が推奨されているんです。とくに、社長とか役員は、ものすごい労働時間になっているケースもあります。

当社の事例をご紹介します。最近、某大手企業から当社に転職してきた人材がいるのですが、もともと彼は国立大学の院卒で超大手企業に入社し、海外勤務も経験したエリートでした。ただ、「会社がヌルい」ということで当社に転職してきました。彼は、「コンサルタントは過酷な体験ができる。それは望むところだ」という想いがあったそうです。こういう想いにこたえて、モチベーションや健康管理をきちんと保っていけるなら、若手もある程度は働かせて、伸びたい人は伸ばすという人事設計にしていく必要があると思っています。

残業問題については、社労士の方の意見も聞いて、適切な体制をつくる必要があります。そのうえで、若手にのびのび働かせる環境をつくり始めている会社も、分業制にしようとしている会社も、存在しているんです。

自社で抱え込まず「プロに任せる」選択肢も

3つ目です。「プロに任せる」ということです。大手企業によくあるケースで、「君はマネージャーなんだから、この仕事はできるはずだ」という業務の押し付け方をする傾向があります。マネージャーだろうが役員だろうが、できないものはできません。そこに対して時間をかけるのは、正直なところムダです。それならば、外部のプロフェッショナルに依頼して、生産性を向上させるのがベストじゃないかと思うんです。

これは当社の宣伝です。先ほど申し上げた通り私たちはプロフェッショナルを集めていて、現状で7,000名ほどのフリーランスの登録者がいます。そして当社は、数千万円の広告費を使って、ネット経由でフリーランスを集めています。それでは、数千万円を使って採用を行っている会社と、数十万~100万円程度しか採用にお金をかけない会社では、採用に従事する人材にどれだけの技術の差が出るでしょうか。お金をかけない会社は、その担当者のために教育を行えるでしょうか。教育コストをかけられるのでしょうか。さらに、教育をして「ちゃんと育った」ということを経営者は判断できるのでしょうか。

難しいでしょう。ですから、プロに任せるべきところ、プロに任せられるところを見極めながら経営していくのも非常に大事だと思います。

「働きたい」若手の声にどうこたえるか

Photo:INOUZ Times

常見

ありがとうございました。「プロに任せる」って、その通りですよ。やっぱり、気合いと根性だけじゃものごとは進まないですから。

私から最後に問題提起をしたいと思います。高度プロフェッショナル制度についてです。今回の働き方改革関連法に盛り込まれました。私みたいに労働者の立場に立つ側からすると、反対する要素がたくさんあります。しかも企業の経営者からしても、高度プロフェッショナル制度は企業にとって使いやすい制度ではありません。現状は労働者の自立を促す高度プロフェッショナル制度になっていないですよね。

最近、企業の人事の方や経営者の方、経済団体の方と話すと、「働きたい人のモチベーションにフタをする社会っていうのは違うんじゃないか」という意見が出てきます。とくに、若いうちは背負うものも基本的に少ないですから、「一生懸命のびのびと仕事をして成長するはずの時間にフタをすると、生涯にわたって損失になるんじゃないか」という経営者の方の声を聞くことが多くなりました。このあたりを、どう折り合いをつけるのか。

それでは最後に、この「働き方改革」ムーブメントについて、おふたりからひとことずつお願いします。

渡邊

残業時間の上限規制について、本当にこれでいいのか、疑問に思うことがあります。現場の声をかんがみずにこれを推進しようとすると、とにかくいったん帰らせなきゃいけない。結果的に「人事は何もわかっていない」「空気を読めてない」と現場から嫌われてしまうことになる。行き着く先は、人事の「職員室化」。そうなると、人事が次に新しいことをしようとするときに、現場に打っても響かないんです。「呼応関係の順序を間違ってしまって、ちぐはぐになっているのがいまなのかな」という思いがあります。

私にも、政府が「働き方改革」を一律に管理しようとしているなかで、若手を伸ばしたいのに伸ばせないというジレンマはあります。若手から「働きたい」といわれるのですが、人事は「帰れ」というしかない状況です。そこをどう解決していくのかというのが課題です。

常見

「気合いと根性で残業しよう」という時代ではなくなった。一方で、若手の「働きたい」という気持ちにどうこたえるか。しばらく向かい合わなければならない課題に、いま直面しているということですね。これを宿題として、今回はこれで終了したいと思います。みなさんどうもありがとうございました。

#1 「人材を採用できる会社」になるために必要な“働き方改革”とは

常見 陽平(つねみ ようへい)

千葉商科大学 国際教養学部 専任講師 働き方評論家

北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業、同大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。

渡邊 大介(わたなべ だいすけ)

株式会社ヒューマンキャピタルテクノロジー 取締役

2006年サイバーエージェントに入社。広告部門で大手ナショナルクライアントの広告を担当し、MVPを二期連続で獲得。その後、新規事業→人事採用・育成責任者を経て現職。 マーケティング思考を取り入れた数多くの新しい人事施策を同社で実践。昨年より行われたリクルートとの新規事業創出プログラム「FUSION」でグランプリを獲得し、HCT社の起ち上げに参画。

林 博文(はやし ひろふみ)

INTLOOP株式会社 代表取締役

同志社大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。4年間の勤務を経て、ITベンチャーの経営に参画。その後アクセンチュアへの再入社を経て2005年にイントループを設立。事業戦略、BPR、プロジェクトマネジメントなど多様なコンサルティング経験を持つ。海外進出(貿易)、越境EC、農業などのプロジェクト経験も豊富で、新しいビジネスのプロデュースに取り組む。

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