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2016/10/9

社会を支えているのは起業家であり、 スタートアップであり、ベンチャーである(後編)

創業から1年で上場を果たした松本氏が思う“大切なこと”

マネックス証券株式会社 代表取締役会長CEO 松本 大(まつもと おおき)

社会を支えているのは起業家であり、 スタートアップであり、ベンチャーである(後編)

2016年7月、成長企業の経営者約460名が一同に会する経営者イベントBestVenture100 Conference 2016が開催され、基調講演としてマネックス証券株式会社松本氏が登壇。“前編”では、創業時にあった不祥事を乗り越え、起業やベンチャーの社会的意義を語ってもらった。後編では、「経営者のあるべき姿」を松本氏の視点で語る。

[概要]
BestVenture100 Conference 2016
2016年7月25日(月)
主催:イシン株式会社
協賛:SMBC日興証券株式会社/三幸エステート株式会社/有限責任あずさ監査法人/アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド/株式会社オービックビジネスコンサルタント/株式会社プロネット

アイデアよりも、継続することの方が重要

ただ、起業して経営していくには、生き残らなければいけない。よく「僕はこんなアイデアがあります」という話を聞きますが、それに関して二つの伝えたいことがあります。

1つは、日本中、世界中で自分が1番はじめにそのアイデアを思い付いたという確率は極めて低い。ましてそのアイデアを考えた中で自分が1番優秀だという確率は、ほぼゼロ。間違いなく自分よりも優秀な人間が、自分より早く同じアイデアに気づいています。おそらく99.999999…%くらいそうだと思われます。人間は何十億人といるわけですからね。ではどうすればいいか。早く生まれて早く思いつかなければダメかというとそうではない。

そこで、2つ目に伝えたい事が、継続するということです。ほとんどのそういうアイデアは継続ができないのです。途中でやめてしまう人が多い。この継続するかしないかが非常に大切で、このアイデアで社会や人々の生活を変えられるのだと着想しても、継続させながら規模を拡大していかないと、何も変えられない。

そして、規模を持つためにはやはり継続していかなければならない。なので、継続するという事が一番重要だと思います。アイデアよりも、継続することの方が重要ということです。継続する仕組みづくりにおいて重要なのは、ビジネスアイデアではなく、ビジネスモデルです。

エジソンが、発明は1%のひらめきと99%の努力であると言いました。例えば、後述しますが将棋の羽生善治さんが全くその通りで、アイデアよりもそれをいかに継続していくかがはるかに難しく、はるかに重要です。ビジネスモデルとはまさにそのことです。あえて付け加えるのであれば、正しくて賢い資本政策も継続のために重要であると思います。

生き残るためにどういうことが重要であるかについて、私自身の経験から感じてことをお話ししたいと思います。

理念はクリアで高い位置で持とう

まず1つは理念。冒頭にマネックスという社名に込めた想いをお伝えしましたが、理念はとても大切です。ベンチャーとかスタートアップは基本的に小さい所帯で始め大企業と競っていきます。少なくとも自分たちのベクトルは合わせて全力でぶつかっていかないと、勝てませんよね。

2人の人がいて、2つのベクトル、2つの矢印があったとする。ベクトルの長さをスカラというのですが、この2人が同じ方向で働けばスカラは2、ベクトルも2。この2人が逆向きで働くと、スカラは2、ベクトルは0になってしまうのです。要は構成員の働く方向を同期しないと力が出ない。

昔よく思ったのが、北極点を挟んで2人が向かい合って立つと2人とも北極点を向いているが、実は二人は全く逆の方向を見ている。北極点が真ん中にあって、お互いが挟んで向かい合っている。2人とも北を見ているが、2人とも180度逆の方向を見ていることになってしまう。要はみんなのベクトルを向かせる目標をあまり近くに置きすぎてはいけないのです。そこに向かわせることができても、上から見るとみんながちぐはぐな動きをしてしまっている。

そして、理念をクリアにもつことはベンチャーやスタートアップでさえ難しいのに、大企業ともなってくるとより難しくなっていくものです。いろんな事情が絡み合って分からなくなってきてしまうのです。しかし、少なくともベンチャー企業としては、クリアでなるべく高い目標をもつことが、続けていくうえで大切なことであると私は思っています。

コミュニケーションの本質を理解しよう

2つ目はコミュニケーション。ビジネスというのは、主役はいつも相手です。どんなに良いものをつくったとしても、相手が買ってくれなければ意味がありません。すべての主役は相手である。なので、相手に理解させることができて初めてコミュニケーションであるといえます。

こちらが何か言っても言わなくてもよくて、相手に自分の言いたいことを理解してもらい、相手を行動させることがコミュニケーションです。コミュニケーションは「相手に視点がある」ということですね。

ビジネスも全くその通りで、相手が主役である。お客様が価値を認めてくれて使ってくれてなんぼだよと。ということは、お客様とコミュニケーションし、お客様が何を欲しがっているかを理解することが大切です。

変化を求めながら、軌道修正をしよう

3つ目は軌道修正。先ほどお伝えした通り、種というのは、突然変異が起きると1万年から10万年くらいまでその種は繁栄します。そして次の突然変異体に乗っ取られ、それがまた繰り返されていきます。

ところが、ビジネスの場合はその限りではありません。ビジネスは真似し放題なので、誰かが1回正しい突然変異を起こしても、すぐに競争相手はそれを真似することができる。またお客様のニーズも常に変わっていってしまう。あるとき、新しい環境にあったものを作ったとしても、もう次の瞬間にはお客様の欲しているものは変わってしまっているかもしれない。そうすると、それに合わせてもう1回突然変異をしなければいけません。

そういうことを考えると、種とは違ってビジネスの場合では、常に新しい変化を求めなければならなく、常に軌道修正しなければならない。

例えば、太陽系の外まで飛んでいったボイジャー2号という宇宙船だって、初速度と角度が噛み合って発射が成功し、そのまま正しく木星行ったり土星行ったり冥王星に行ったわけではありません。常に情報をとりながら軌道修正しているから遠くまで行けるのです。当たり前の話ですね。

だから、情報をとりながら軌道修正していくことが大切だという風に思っています。

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