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マッチングビジネスの成功法則を考えた[後編]

対談相手:M&Aクラウド代表 及川さん

KLab株式会社 代表取締役社長 真田 哲弥(さなだ てつや)

M&Aクラウド 代表取締役 COO 及川 厚博(おいかわ あつひろ)

INOUZTimes編集部
マッチングビジネスの成功法則を考えた[後編]

人口知能を使ったユニークなM&Aマッチングビジネスを展開しているM&AクラウドCOOの及川厚博さんとの対談。後編は、私、真田が考える「M&A仲介ビジネスの未来のカタチ」。

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連載記事、前編はこちらから↓
マッチングビジネスの成功法則を考えた[前編]

これからの「宝物」はITから縁遠い業界の専門知識

真田

ぼくが「これからは事業承継型の方がいい」と言っているのには、スタートアップがバブル的な様相を呈しているということ以外にも理由があります。

ほとんどのネットベンチャーのビジネスって、それまでになかった全く新しいビジネスではなくて、以前から存在した伝統的なビジネスをIT化した、ネット化したものでしょ。たとえば楽天なら「IT×小売」みたいに、「IT×●●」という公式で現わせます。

そして、今まで大きくなったネットベンチャーって、「●●」の側に強みがあったわけじゃなくて、「IT」の側に強みがありました。今まではITの技術や考え方に希少性があって、価値があったんです。

でも今では、「●●」の側の専門知識がなくてもできる領域は、かなりやり尽くされてしまいました。もちろん、技術の進歩やデバイスの変化によって新しいビジネスチャンスはいくらでも生まれてくると思います。でもそこはみんなが狙っていて、競争はとても激しいだろうな。

昔と違って「IT」はコモディティ化して、あたり前のことになってしまったからです。「IT」の部分で差別化することはとても難しくなりました。

そこで、 「IT×●●」型のビジネスにおいて、「IT」の希少性が弱まり、相対的に価値が低くなったために、「●●」の持つ重要性が高まっているんです。

つまり、IT×農業、IT×運送屋など、●●は何でもいいんだけど、それぞれの業界における経験・知識・技術・人脈などがとても大切になってきています。

そのため、“その業界”のビジネスを長年やってきたからこそわかる課題、それをIT技術を使って解決するというタイプのスタートアップが増えてきています。

しかも、“その業界”がITから遠ければ遠いほど競争は少ない。ですから、技術力があるIT企業にとってその技術を生かせるM&Aとは、必ずしもITベンチャーだけではなく、ITから縁遠い業界でその業界における経験・知識・技術・人脈などをしっかり持ったレガシーな企業も選択肢に入ってくるはずです。

及川

なるほど。たとえば老舗の温泉旅館の売却希望案件も、やり方・考え方によっては有望ということですか。

真田

そう思います。温泉行きたいですね~(笑)

次の一手、真田の提案 “サムライネットワークの活用”

真田

ところで、M&Aクラウドの売上を分解すると、次のような式になりますよね?

(成約金額 × 0.03) × (売り手の応募件数 × 成約率)

つまり、売上を増やすためには、成約金額か応募件数か成約率、という3つのKPIのどれかを上げなければならない。そのためには、まずそれぞれのKPIが上がらない原因や課題を考える必要があるよね。

さきほどの及川さんの話では、「将来展望が描けず、業績のよくない『売却希望』が増える傾向にあります」とのことでした。将来展望が描けないから、成約金額が低く、成約率も低くなってるんだと思う。

だったら、将来展望を描いてあげればえーやん!

今の業績は良くないけど、こんな将来展望がある。あるいは、こんな機能がある会社が買えば、こんなシナジーによって業績は向上するというプランも付けて売却するんです。そうすれば成約金額も成約率も上がるんやないかな。

もともと時価評価が高い売却希望会社は、競合のM&A会社もみんな欲しいはず。そんなおいしい会社を後発組で実績の少ないM&Aクラウド社が獲得するのは難しいんでない? だったら、もともとの時価評価を高めて売ってあげる手法は研究する価値があると思うな。

もしもそれができれば、圧倒的な競合優位が築ける。「売り手」の件数は激増するだろうね。

こんなアイデアはどうでしょう。まず、M&Aクラウドのプラットフォームの上でフリーランスのコンサルタントを募集して登録してもらい、登録コンサルたちに無料で、売却希望会社の将来計画や再生プランを出してもらう。

そして、採用された提案・プランにだけお金を払うんです。さらに、Value addedできた金額、すなわちもともとの売却金額から引き上げることができた金額をレベニューシェアする。

これなら、御社はノーリスクでトライすることができるよね。こんな仕組みがあったら、登録したいコンサルはたくさんいると思いますよ。

たとえば、税理士や司法書士、公認会計士、中小企業診断士などの士業のひとたち。こうした分野の有資格者は増えすぎて、メシが食えなくなってきています。

この士業の人たちにとって大きな金額が動くM&Aは魅力的なはずです。こうした“士業ネットワーク”が構築できれば、御社の強みになるんやないかなぁ。地場産業の経営者に密着した士業の方々からの売却希望企業の持ち込み紹介もあるかもね。

もし「閑古鳥が鳴いていた温泉旅館を、M&Aによってこう変えて再生させました」といった事例をつくることができれば、「魅力がない」と見向きもされなかったような企業・業界でもM&Aを盛んにさせることができそうです。

売却した企業も買収した企業もハッピーになれ、その間で企画提案したコンサル・士業の人もハッピー。再生した温泉旅館で、ゆったりと温泉につかることができたら、ぼくもハッピーになれそうです(笑)

及川

今日はいろんな視点をもらえました。ありがとうございました。

対談後記

M&A仲介ビジネスは、IPOをする会社が続々と現れる状況を見ると、一見すでにレッドオーシャン化しているように思うかもしれない。でもぼくはそう思わない。

日本のM&A仲介ビジネスは、ちょうど20年前頃の人材ビジネスと似ているような気がする。今から30年前ごろから、日本独特の終身雇用制度が崩れ、経営者や労働者の意識が変わっていった。

それによって、転職や派遣のビジネスが勃興した。2000年にはすでにリクルートなどの大手によって市場は寡占化していた。その頃すでに、人材市場にはスタートアップなどの新参者が割り込む余地など無いように見えた。

ところがどうだろう。その後の歴史が証明しているように、次々と新しい人材ビジネスが成長していった。

M&A仲介ビジネスも、日本の経営者の意識が変わったことにより、市場が生まれた。日本の経営者の意識はもっと変わっていくだろう。それによって市場はますます大きくなり、そして変化していくはずだ。それにともなって、M&A仲介ビジネスの新しい形が生まれるはず。

この市場はまだまだチャンスはある。M&Aクラウドにも大きな可能性があると感じた。

連載記事

マッチングビジネスの成功法則を考えた[前編]

真田 哲弥(さなだ てつや)

KLab株式会社 代表取締役社長

関西学院大学在学中に様々な企画やビジネスを手がけ、19歳で起業。その後さまざまな成功と挫折を経て、インターネットの可能性に着目。1997年株式会社アクセス(現:ACCESS)へ入社し、33歳で初の会社員生活をしながら、インターネット技術を学ぶ。1998年株式会社サイバードを設立し、取締役副社長兼CTOに就任。2000年にKLab(クラブ)株式会社の前身となる株式会社ケイ・ラボラトリーを設立、代表取締役社長CEOに就任。2011年東証マザーズ上場後、2012年東証一部に市場変更。数々のヒットゲームタイトルを生み出す。現在はモバイルオンラインゲームの企画、開発、運営を主力事業とし、世界各国へ提供。ゲーム事業にとどまらず、新規事業開拓にも積極的に取り組んでいる。

及川 厚博(おいかわ あつひろ)

M&Aクラウド 代表取締役 COO

大学在学中、ITベンチャーMacropusを立ち上げる。facebookページの作成運用事業、インドネシアを中心としたオフショア開発事業を展開し、4年で経常利益数千万円まで成長させ、2015年に同業他社に事業売却。その他、大学生向けスペース事業おいカフェ、医師監修の予防医療メディアDr.Noteなどを手がけた。自らの売却を通し、M&Aにテクノロジーが使われていなかった経験から、M&Aクラウドを前川拓也氏(M&Aクラウド代表取締役CEO)と共同創業する。2016年IVS Launch Padファイナリスト。

会社概要

設立
2015年12月7日
URL
https://macloud.jp/
お問い合わせ先
https://macloud.jp/contact
メッセージ
日本の株式会社は247万社。うち62万社が60歳以上で後継者不在。一年間のうちに廃業する会社の3万社が黒字という状況。売却を考えてもどうしたらいいか全く分からない上に、相談しにくいなどの問題があります。「M&Aクラウド」は匿名での企業価値算定を始め、買収企業の募集およびクロージングまでを支援します。(及川さん)

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