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プラットフォームの成功法則を考えた[後編]

対談相手:リーウェイズ代表 巻口さん

KLab株式会社 代表取締役社長 真田 哲弥(さなだ てつや)

リーウェイズ株式会社 代表取締役社長 巻口 成憲(まきぐち しげのり)

INOUZTimes編集部
プラットフォームの成功法則を考えた[後編]

PHOTO:INOUZ Times

AIを使った投資用不動産取引のプラットフォームビジネスというユニークな事業を展開しているリーウェイズ代表取締役社長の巻口さんとの対談。後編は、スタート時期の知名度向上をどうするべきか? また、顧客ターゲットを“理系脳”と“文系脳”に分ける考え方について―。

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連載記事、前編はこちらから↓
プラットフォームの成功法則を考えた[前編]

スタート期の知名度アップに何をする?

巻口

事業をドライブさせていくため、認知度向上が大切だなと感じています。そこでメディア戦略など、注目を集める方法についてご教示いただけませんか。

真田

まずは、腕利きの広報スタッフを雇って、メディア露出を高めることからだね。

また、商品の説明だけだとは記事にされにくいから、戦略やストーリーが必要だね。アメリカの大統領選じゃないですけど「アメリカ・ファースト」といったような、感情に訴えかけるレッテル貼り。そうした、ワンフレーズでわかりやすいことを言ってくれる人にメディアはページを割くんです。

ですから、メディア戦略をやるうえでは「不動産で1億儲けました」といった、「そんなアホな」みたいな方がいいので、一般にわかりやすい標語で訴求する。そして、プロの不動産会社や投資家向けにはロジカルに説明する。そうした使い分けをしたほうがいいでしょう。

「無名時代」こそ有名人を広告塔に起用しよう

PHOTO:INOUZ Times

真田

また、イメージキャラクターに有名人を起用するという手段があります。これはいまやったほうがいいかも。思ったよりお金もかかりません。

スタートアップのお金がない頃って、怖いから成功報酬型広告にしかお金を出せないんですよね。でもランディングページまで来てくれても、会社やサービスの知名度 信頼度がないから、なかなか購買に結びつかない。

結局CPA(Cost Per Acquisition)が高くつく。特にリーウェイズさんのような高額商品の場合は単に知っているだけではダメで、信頼感のブランディングが必要です。

会社やサービスに知名度 信頼度がない時こそ有名人のイメージキャラクター起用は有効です。メジャー感が出るのでコンバージョンレートが上がります。トータルの宣伝広告費から比べると安いことが多いですよ。

意外に安いテレビCM

真田

認知度を上げるだけなら、実はテレビCMは意外と割安です。

テレビを見ている人って無条件にテレビを信じる傾向があります。単に認知を上げるだけではなく、有名人効果と同じく信頼度を上げる効果があります。

ただ、テレビCMを見て流入する人は、マーケティング用語で言うアーリーマジョリティやレイトマジョリティ。実績があるものに乗っかっていくけど、自ら率先して新しいものを購入しない“怖がり”な人たち。そこから先のコンバージョンに進まない人たちです。

なので、テレビCMを出すのはタイミングを見計らう必要があるのと、WEBや新聞など他のメディアとのメディアミックスが大切です。リーウェイズさんの場合、まだ早いかもしれません。

顧客ターゲットを変えてみたら?

PHOTO:INOUZ Times

真田

もうひとつ、提案してもいいですか?

巻口

是非、お願いします。

真田

リーウェイズさんが提供しているようなサービス内容を、打てば響くように理解できるタイプ人と、なかなか理解できないタイプの人がいると思うんです、世の中には。

本屋さんに行くと不動産投資本がいっぱいあるじゃないですか。「サラリーマン大家さんで儲ける方法教えます」とか、「ホンマかいな」(笑)と思えるような、本がずらーっと置かれていて、結構、売れてるんですよね。

その手の大家本は、「築浅」「駅チカ」という抽象的な用語で書いてあって、「1年間経過すると何%劣化するから築何年で何%」のような表現はしないんだよね。

「壁の色を明るく塗ったから満室」みたいな感覚的な不動産投資の本が売れるのは、現物不動産の投資をやっている個人投資家は“感覚脳”の持ち主だからなんじゃないかな。

“感覚脳”の人とは、数字やロジックではなく、感覚で「それ、ステキね」と思う人たちのことです。そうした“感覚脳”の人たちにとってリーウェイズさんがやってるFVとかDCF法といった評価方法は小難しくて、よくわからない。

逆にIRRとかをパッと計算できるような“理系脳”の人にとって、不動産は数字だけでは割り切れないのでとっつきにくいんですね。「立地とか内装とか、よくわかんないよ」「現地に見に行って確かめるのなんて面倒」と思ってしまう。

だから、“理系脳”の投資家たちは数字だけで判断できる債券や株式、ETFなどの金融商品をネットを通じて売買しているんですよ、きっと。不動産だったら現物ではなくREITとかね。リーウェイズさんの数学的でロジカルなサービスは、そうした“理系脳”の人たちと親和性がありそう。

ここからが次の一手の提案です。

不動産を既存のマーケットにいる“感覚脳”の人たちに売るのではなく“理系脳”の人たちに売ることを考えてはいかがでしょうか。

“理系脳”の人たちはどこに生息するか? 金融マーケット生息しています。ならば、ネット証券やネット銀行、FXで売れる商品を開発できないでしょうか?

たとえば、現物での資産運用ではなく、証券化した金融商品にして販売するという手もありそう。そう思います。AIでFVなどを算出したレポートをつけ、1億円の物件を証券化して10万円単位で投資家に販売する、といったイメージです。

REITのようにバスケット化すると本当に金融商品になってしまうのでその一歩手前の感じですかね。でも、法律面とか難しそうかな。

巻口

今日は貴重な経営のリアルな話をいろいろと聞かせていただき、ありがとうございました。今後の事業戦略に反映させていきます!

PHOTO:INOUZ Times

対談後記

不動産テックって、メディアで読んだことはあったけど、実際に事業をやっている人に初めて会いました(笑)。

日本ではまだまだこれからの領域なので、ブルーオーシャンですね。是非がんばって欲しいです。

連載記事

プラットフォームの成功法則を考えた[前編]

真田 哲弥(さなだ てつや)

KLab株式会社 代表取締役社長

関西学院大学在学中に様々な企画やビジネスを手がけ、19歳で起業。その後さまざまな成功と挫折を経て、インターネットの可能性に着目。1997年株式会社アクセス(現:ACCESS)へ入社し、33歳で初の会社員生活をしながら、インターネット技術を学ぶ。1998年株式会社サイバードを設立し、取締役副社長兼CTOに就任。2000年にKLab(クラブ)株式会社の前身となる株式会社ケイ・ラボラトリーを設立、代表取締役社長CEOに就任。2011年東証マザーズ上場後、2012年東証一部に市場変更。数々のヒットゲームタイトルを生み出す。現在はモバイルオンラインゲームの企画、開発、運営を主力事業とし、世界各国へ提供。ゲーム事業にとどまらず、新規事業開拓にも積極的に取り組んでいる。

巻口 成憲(まきぐち しげのり)

リーウェイズ株式会社 代表取締役社長

1971年、新潟県生まれ。1994年に国内不動産デベロッパーに入社。2000年に世界4大会計事務所グループのコンサルティングファームに転職。2005年にリノベーション投資不動産会社の立ち上げに参画。2014年に不動産テックベンチャーのリーウェイズ株式会社を設立。人工知能とビックデータによる不動産取引プラットフォーム「Gate.(ゲイト)」を運営。

会社概要

設立
2014年2月3日
https://leeways.co.jp/
お問い合わせ先
https://leeways.co.jp/contact/
TEL: 03-6712-6745
FAX: 03-6712-6749
メッセージ
「Gate.」は投資用不動産の収益価値を高精度でシミュレートできる国内唯一のサービス。 投資用不動産業界における私の20年近い実務経験と5年間の経営コンサルタントとしての分析力をデータサイエンティスト・データアナリスト・エンジニアが形にし、“リアルとテクノロジーの融合”を実現しています。資産価値に基づいて不動産取引できるオープンプラットフォームとして、不動産投資環境の変革に寄与していきます。(巻口さん)

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