スタート期の知名度アップに何をする?
巻口
事業をドライブさせていくため、認知度向上が大切だなと感じています。そこでメディア戦略など、注目を集める方法についてご教示いただけませんか。
真田
まずは、腕利きの広報スタッフを雇って、メディア露出を高めることからだね。
また、商品の説明だけだとは記事にされにくいから、戦略やストーリーが必要だね。アメリカの大統領選じゃないですけど「アメリカ・ファースト」といったような、感情に訴えかけるレッテル貼り。そうした、ワンフレーズでわかりやすいことを言ってくれる人にメディアはページを割くんです。
ですから、メディア戦略をやるうえでは「不動産で1億儲けました」といった、「そんなアホな」みたいな方がいいので、一般にわかりやすい標語で訴求する。そして、プロの不動産会社や投資家向けにはロジカルに説明する。そうした使い分けをしたほうがいいでしょう。
「無名時代」こそ有名人を広告塔に起用しよう
真田
また、イメージキャラクターに有名人を起用するという手段があります。これはいまやったほうがいいかも。思ったよりお金もかかりません。
スタートアップのお金がない頃って、怖いから成功報酬型広告にしかお金を出せないんですよね。でもランディングページまで来てくれても、会社やサービスの知名度 信頼度がないから、なかなか購買に結びつかない。
結局CPA(Cost Per Acquisition)が高くつく。特にリーウェイズさんのような高額商品の場合は単に知っているだけではダメで、信頼感のブランディングが必要です。
会社やサービスに知名度 信頼度がない時こそ有名人のイメージキャラクター起用は有効です。メジャー感が出るのでコンバージョンレートが上がります。トータルの宣伝広告費から比べると安いことが多いですよ。
意外に安いテレビCM
真田
認知度を上げるだけなら、実はテレビCMは意外と割安です。
テレビを見ている人って無条件にテレビを信じる傾向があります。単に認知を上げるだけではなく、有名人効果と同じく信頼度を上げる効果があります。
ただ、テレビCMを見て流入する人は、マーケティング用語で言うアーリーマジョリティやレイトマジョリティ。実績があるものに乗っかっていくけど、自ら率先して新しいものを購入しない“怖がり”な人たち。そこから先のコンバージョンに進まない人たちです。
なので、テレビCMを出すのはタイミングを見計らう必要があるのと、WEBや新聞など他のメディアとのメディアミックスが大切です。リーウェイズさんの場合、まだ早いかもしれません。
顧客ターゲットを変えてみたら?
真田
もうひとつ、提案してもいいですか?
巻口
是非、お願いします。
真田
リーウェイズさんが提供しているようなサービス内容を、打てば響くように理解できるタイプ人と、なかなか理解できないタイプの人がいると思うんです、世の中には。
本屋さんに行くと不動産投資本がいっぱいあるじゃないですか。「サラリーマン大家さんで儲ける方法教えます」とか、「ホンマかいな」(笑)と思えるような、本がずらーっと置かれていて、結構、売れてるんですよね。
その手の大家本は、「築浅」「駅チカ」という抽象的な用語で書いてあって、「1年間経過すると何%劣化するから築何年で何%」のような表現はしないんだよね。
「壁の色を明るく塗ったから満室」みたいな感覚的な不動産投資の本が売れるのは、現物不動産の投資をやっている個人投資家は“感覚脳”の持ち主だからなんじゃないかな。
“感覚脳”の人とは、数字やロジックではなく、感覚で「それ、ステキね」と思う人たちのことです。そうした“感覚脳”の人たちにとってリーウェイズさんがやってるFVとかDCF法といった評価方法は小難しくて、よくわからない。
逆にIRRとかをパッと計算できるような“理系脳”の人にとって、不動産は数字だけでは割り切れないのでとっつきにくいんですね。「立地とか内装とか、よくわかんないよ」「現地に見に行って確かめるのなんて面倒」と思ってしまう。
だから、“理系脳”の投資家たちは数字だけで判断できる債券や株式、ETFなどの金融商品をネットを通じて売買しているんですよ、きっと。不動産だったら現物ではなくREITとかね。リーウェイズさんの数学的でロジカルなサービスは、そうした“理系脳”の人たちと親和性がありそう。
ここからが次の一手の提案です。
不動産を既存のマーケットにいる“感覚脳”の人たちに売るのではなく“理系脳”の人たちに売ることを考えてはいかがでしょうか。
“理系脳”の人たちはどこに生息するか? 金融マーケット生息しています。ならば、ネット証券やネット銀行、FXで売れる商品を開発できないでしょうか?
たとえば、現物での資産運用ではなく、証券化した金融商品にして販売するという手もありそう。そう思います。AIでFVなどを算出したレポートをつけ、1億円の物件を証券化して10万円単位で投資家に販売する、といったイメージです。
REITのようにバスケット化すると本当に金融商品になってしまうのでその一歩手前の感じですかね。でも、法律面とか難しそうかな。
巻口
今日は貴重な経営のリアルな話をいろいろと聞かせていただき、ありがとうございました。今後の事業戦略に反映させていきます!
対談後記
不動産テックって、メディアで読んだことはあったけど、実際に事業をやっている人に初めて会いました(笑)。
日本ではまだまだこれからの領域なので、ブルーオーシャンですね。是非がんばって欲しいです。