成長戦略のキモ
―なぜ今、オープンイノベーションが活発化しているのか、その背景や理由を教えてください。
リソースやノウハウを自社で囲い込む従来のクローズドなやり方が通用しなくなってきている一方、リソースやノウハウをオープンにして協働したほうが、より大きなビジネスチャンスをつかめるためです。
ですからオープンイノベーションは、社会や経済構造の変化を背景にした“必然の動き”だと言えます。
従来の企業間競争は「はじめに市場ありき」。既存マーケットでのシェア獲得競争に明け暮れ、体力のある少数の大企業が市場に君臨し、複数の中小企業が散らばっている。そんな硬直的な構造でした。
でも現在は、数年前はカタチすらなかったのに、短期間で数千億円規模のマーケットが生まれる時代。
その象徴はソーシャルゲームです。小さなスタートアップが自ら市場を創出することで何倍にも、何十倍にも成長したケースは、いまや珍しくありません。
こうした時代の変化をキャッチアップし、自社を成長に導くためには、「いかにして新しい市場を高速で創るか」という戦略的な視点が欠かせません。
そうした場合、ゼロから社内リソースを開発するという、時間も投資金額もかかるクローズドなやり方はなじまない。
高速かつ低コストで新しい市場を創出するには、すでにリソースをもっている企業同士が協働したほうが手っ取り早いからです。
オープンイノベーションにより、たがいの弱みを補いあい、強みを倍加する。それがこれからの成長戦略のキモになるでしょう。
多様な企業とタッグ
―サイバーエジェントグループのオープンイノベーション事例を教えてください。
「AbemaTV」はテレビ朝日さんとの、「AWA」はエイベックス・デジタルさんとのオープンイノベーション事例と言えますが、ここでは新規事業創出の共同プロジェクト「FUSION(フュージョン)」の事例をご紹介しましょう。
これはリクルートホールディングスさんとサイバーエージェント両社の従業員で編成された起案チームにおいて新規事業を検討するオープンイノベーションプログラムです。
両社には社内での新規事業創出が活発という共通点があり、当社にはないものとしてリクルートホールディングスさんには人材サービスのノウハウ、多くのメディア、全国を網羅する営業力があります。
逆に、リクルートホールディングスさんにないものとして、ネット広告やエンターテインメント領域での知見が当社にはあります。
こうした、それぞれ強みのあるナレッジやノウハウを相互補完して共有、活用することで、社会課題解決のためのイノベーションを生み出す事業プランを募集。審査を行いました。
可能性は無限大
―オープンイノベーションに対する展望を聞かせてください。
これからはIoTによって社会のさまざまなモノ、コトがネットでつながります。私たちはネットビジネスをメインにしており、さまざまな業種業態の企業と接点が生まれてくるはず。
今まで以上にオープンに、柔軟にオープンイノベーションに取り組むことが求められていくでしょう。
まだカタチにはなっていませんが、以前は接点がなかった金融企業や大手メーカーの方たちとお会いする機会が増えていることを実感します。
今後、さまざまな企業がもつリソースと当社の技術・アイデアの掛け合わせから生まれた新しいサービスが続々と誕生するはず。オープンイノベーションの可能性は無限大。いろんな企業との接点を探りながら、新しい事業や価値を創りだしていきたいですね。
オープンイノベーション、事業提携先を無料で探せるWEBサービス
「eiiconで変わる」オープンイノベーションのあり方
「eiicon」はオープンイノベーションのパートナーを探せるプラットフォーム。各業界・数万社の企業データベースを持つ、パーソルグループの株式会社インテリジェンスが立ち上げたWEBサービスです。
企業情報をはじめとするミッションや、事業成長に必要なリソースなど、さまざまな情報を登録することができ、それらの情報を発信し合い、企業同士が繋がることができる場。それが「eiicon」です。
具体的には、検索サイトのように「検索タグ(IoT/AI/Fintech)」や「業種(メーカー/不動産)」といった、さまざまな軸でパートナーを探せることができ、企業とのメッセージのやり取り・アポの調整ができます。 そしてこれらの企業間のコンタクトを通して事業提携などが発生しても費用負担はなしで
無料で使えます。
※広告モデルなど一部有料プランはあり
WEBサービスだからこそ、場所を問わずネットワーキングができ、企業とつながることができるサービス「eiicon」。オープンイノベーションの「第一歩」として、重宝される時代がきた。