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本格普及期への転換点となるか 「2018年」のオープンイノベーション

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本格普及期への転換点となるか 「2018年」のオープンイノベーション

水面下の熱い盛り上がりが表面に噴き出す直前―。シリコンバレーに比べて動きが遅いと言われる日本のオープンイノベーションはいま、そんな状況にあるようです。オープンイノベーションのプラットフォーム、eiicon(エイコン)の事業責任者を務める中村さんにオープンイノベーションの最近事情や傾向、今後の展望などを取材しました。

違いがあるのはしょうがない

豊富なリソースや販路をもつ大企業と新しい技術やアイデアをもつスタートアップ、ベンチャー企業が価値創造を目的に対等な立場で手を携える「オープンイノベーション」。

アメリカではシリコンバレーの先進企業はもちろん、GEなどの歴史のある巨大企業も革新を起こす手段として、オープンイノベーションはすっかり定着しています。

一方、日本の状況はと言うと、多くの大企業で「オープンイノベーションの必要性の認識」は深まっているものの、具体的な動きとなると、なかなか前に進んでいないようです。

実際、大企業を対象にした経済産業省の2016年の調査によれば、オープンイノベーションの必要性についての経営層の認識や理解について「十分でない」との回答は10.4%にとどまっている一方で、10年前と比較したオープンイノベーションの取り組みは「ほとんど変わらない」との回答が50%にのぼっています。

こうした調査結果からは「オープンイノベーションはやりたい」ものの「どうやっていいのかわからない」「なにをやっていいのかわからない」。こうしたジレンマを多くの大企業が抱えていることが想像できます。

なぜなんでしょう。その原因のひとつは「自分たちが組めば、どんなことができるんだろうね」といったような、大企業とスタートアップ、ベンチャー企業がざっくばらんに会って話をする機会が少ないことにありそうです。

おたがいのリソースや強みを活かして、一緒にイノベーションを起こしたいと思っている同士がなかなか出会えないのは“悲劇のラブロマンス”みたいですね。その阻害要因のひとつは、大組織ならではの「タテ割り」にありそう。

オープンイノベーションに取り組んでいるある技術系ベンチャーの経営者は首を傾げながら、こんなため息をついていました。

「ホームページの問い合わせ欄に『当社にはこんな技術があります。御社のこれと組み合わせれば、おもしろいことができそうだと思いますよ』という書き込みをしても、音沙汰がないことがほとんどなんです。毎日、いろんな問い合わせがくるのはわかるし、全部にいちいち対応できないのかもしれません。でも、提携できる相手かもしれないのにスルーするなんて。不思議ですよね」

問い合わせを担当している部門からオープンイノベーションを担当しているチーム部門に情報が上がらないのは、フラット組織のベンチャー企業からすれば、確かに理解しがたいですよね。

ベンチャーとは違って「組織間の壁」がタテ割りの大企業内部に存在することが認識できたとしても、なにかが解決するわけでもありませんけど。

お試しから本気モードへ

Open Innovation Awards 2017で講演する中村さん

ただ、少しずつよい兆候も現れているようです。

オープンイノベーションに特化したプラットフォーム、eiiconの事業責任者を務める中村さんは「オープンイノベーションのパートナーを探す目的で大企業がアイデアソンやビジネスコンテストを実施するケースが増えています」と最近の傾向を解説します。

ネット上で大企業とスタートアップ、ベンチャーが出会えるオープンイノベーションに特化したプラットフォームがいくつか登場していて、パーソルグループのパーソルキャリア(旧インテリジェンス)が運営しているeiiconもそのひとつ。

でも、アイデアソンやビジネスコンテストって、言ってみればイベントですよね。世の中を変える革新的ななにかって、イベントから生まれてくるものなんでしょうか?

「まずは出島をつくる、前例をつくるという目的で通常フローとは異なる形をとることができるイベント、プロジェクトのようなカタチからオープンイノベーションに取り組むのはいいことだと思います。

今後、成果が出てくるなかで、やって終わりの“お祭り”ではなく、事業戦略にオープンイノベーションを取り入れる動きも広がっていくんじゃないかなと期待しています」(中村さん)

なるほど。でも、イベントから戦略へという流れをつくるとしたら、ますます重要になってくるのが大企業とスタートアップ、ベンチャーをつなぐ恒常的なチャネル。

シリコンバレーの場合、大企業にもスタートアップ、ベンチャーにも詳しく、人脈ももっているVCなどが“仲介役”となって間を取り持つことが少なくないようですけど、日本にもそんな役割を果たすことが期待できる集団や組織ってあるんでしょうか。

「そうですね。もちろん目利き力のあるVCがオープンイノベーションの仕掛人の立ち位置で動かれているのは有効だと思います。ただ文化や規模を考えると、日本とシリコンバレーのVCの動きを同義とするには早計だと考えます。

ただし、大企業、中小企業やスタートアップそれぞれの情報と知見があり、人脈をもっていることが“仲介役”の条件だと考えた場合、そのような仲介業者が勃興してきており、eiiconもそのひとつ。

われわれのような情報が自然と集積されるオープンイノベーションのプラットフォームが、場の提供だけではなく、もう一歩踏み込んだサポートの提供をするフェーズであるとも感じています」(中村さん)

実際、eiiconでは大企業が主催するオープイノベーションを目的としたアイデアソンやビジネスコンテストについて企画段階から支援したり、アドバイスするケースが増えているそうです。

「eiiconを運営していくなかで、さまざまなケーススタディが蓄積でき、成功させるための実践メソッドも見えてきました。ですから、『どうすればいいんだろう』とか『困ったなぁ』ということがあれば、気軽に相談してほしいですね」(中村さん)

「大きな果実」までもう少し

地方創生でオープンイノベーションを取り入れる自治体、大企業とではなく、地域の中小企業とベンチャー企業のオープンイノベーションなど、そのカタチは多様化しており、スタートアップやベンチャーのチカラが期待される場面は、今後、ますます増えるでしょう。

「オープンイノベーションを速く実行しないと世界から取り残されるという危機感から空回りの事例も散見されますが、一方で着実に具体的な取り組みを始め成果の芽が出始めている大企業は増えています。eiiconも機能や価値をますますパワーアップさせて、日本のオープンイノベーションの活性化に貢献したいですね」(中村さん)

eiiconが昨年実施した「Open Innovation Awards 2017」で行ったアンケート調査結果を見ると、「東京の大企業との接点がない地方の企業にとって、eiiconのようなプラットフォームはありがたい」(ベンチャー企業)、「企業サーチだけではなく、情報収集プラットフォームとしても助かっている」(大企業)、「大手企業との面談のトリガーになっている。 ドアオープナーとして有効」(ベンチャー企業)、「気になる企業にはとりあえず連絡して、具体的な協業は中長期的な可能性だとしても、スタートアップやベンチャーとのつながりを保持できるメリットを感じている」(大企業)といった声が集まっています。

やっぱり、みんなオープンイノベーションをやりたいんですよね。だとしたら、こういう風に考えてはどうでしょう。たとえばタテ割り組織の壁、という阻害要因があるのだとしても、それは絶対的な乗り越えられない障壁ではないはず。

お互いの違いを認識し、尊重することから始めて、だからといって折れたり譲ったりしてどちらかがどちらかに合わせる発想ではなく、よりよい方法を一緒に考える。そんな“異文化交流”の発想の先に、オープンイノベーションの大きな果実があるのかもしれません。

「オープンイノベーションに対する期待感はひしひしと感じていて、成功モデルが確立されれば、一気に動きが加速する、そんな予感が高まっています。スタートアップやベンチャー企業の側にも自社では気づいていない大企業が欲しがっている技術やアイデアがあるかもしれません。

拡大期、加速期といった社外連携のフェーズにきたら、是非、自社を広くアピールしてみてほしい。そのツールにeiiconの無料掲載という手段が含まれていたら最高ですね」(中村さん)

黎明期から本格普及期へ―。あとで振り返ってみると「2018年はそんなフェーズ転換の年だった」という風に言われるのかもしれません。

オープンイノベーション、事業提携先を無料で探せるWEBサービス

「eiiconで変わる」オープンイノベーションのあり方

「eiicon」はオープンイノベーションのパートナーを探せるプラットフォーム。
企業情報をはじめとするミッションや、事業成長に必要なリソースなど、さまざまな情報を登録することができ、それらの情報を発信し合い、企業同士が繋がることができる場。それが「eiicon」です。

具体的には、検索サイトのように「検索タグ(IoT/AI/Fintech)」や「業種(メーカー/不動産)」といった、さまざまな軸でパートナーを探せることができ、企業とのメッセージのやり取り・アポの調整ができます。 そしてこれらの企業間のコンタクトを通して事業提携などが発生しても費用負担はなしで 無料で使えます。 ※広告モデルなど一部有料プランはあり

eiiconの詳細はコチラから

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