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プラットフォームの成功法則を考えた[前編]

対談相手:リーウェイズ代表 巻口さん

KLab株式会社 代表取締役社長 真田 哲弥(さなだ てつや)

リーウェイズ株式会社 代表取締役社長 巻口 成憲(まきぐち しげのり)

INOUZTimes編集部
プラットフォームの成功法則を考えた[前編]

PHOTO:INOUZ Times

今回の対談相手はリーウェイズ代表取締役社長の巻口さん。AIによる将来の資産価値(FV)算出で「表面利回りと気合と根性」という旧来の不動産ビジネスの変革に邁進する不動産テックベンチャーの経営者です。

リーウェイズの「Gate.」のサービス解説動画

不動産取引プラットフォームのビジネスモデル

巻口

当社は2014年2月に創業した、AIとビックデータによる不動産取引プラットフォーム、「Gate.(ゲイト)」を運営する不動産テックベンチャーです。

5,000万件を超える物件データを独自収集し、そのビッグデータを活用して不動産投資の分析シミュレーションを行う人工知能を独自開発。高精度の収益分析のもとで投資用不動産を取引できるさまざまなツールを提供しています。

最大の特徴は、現時点の取引相場価格を提供するだけの従来の不動産サービスとは異なり、物件の将来の資産価値(FV)を人工知能によってシミュレートできること。物件情報の検索やAIによる簡易シミュレーションは無料で利用できます。

ユーザーは不動産投資家、物件を仲介する不動産会社、不動産に融資をする金融機関を想定しています。

真田

投資家と不動産会社をマッチングする不動産取引プラットフォームということですが、御社のビジネスモデルは「売り方」と「買い方」、どちらから収益を得ているんですか。

巻口

物件を提案する不動産会社と融資をする金融機関からです。収益源は、Gate.が提供する分析ツールの利用料、それと成約時の手数料。ちなみに手数料は、成約時の仲介手数料の20%です。

真田

なるほど。とても将来性があるビジネスだと思います。

プラットフォーマーの前に「ファーストパーティー」としての成功を目指せ!

Gate.のビジネスモデル

巻口

当社は投資用不動産取引のプラットフォームビジネスを展開しているわけですが、プラットフォームビジネスで成功するコツがあれば教えてください。

真田

過去成功したプラットフォームには共通項があります。それは、サードパーティーではなくプラットフォーマー自身がファーストパーティーとしてプラットフォームを牽引していることです。

当社が属しているゲーム業界を例に解説しましょう。

DeNAさんは「モバゲー」、GREEさんは「GREE」というゲームのプラットフォームで成功しました。しかし、両社はもともとプラットフォームを提供しようとしていたワケではなく、自社のゲームを開発していました。

自社開発ゲームが大ヒットしたことによりユーザーが増え、サードパーティーに開放し、結果的にプラットフォーム化されたのだと思います。

当時、「モバゲー」「GREE」に続く3匹目のどじょうを狙うゲームプラットフォームがたくさんでき、当社にも「ゲームを出しませんか」と言うお誘いをいただきました。しかしお断りしました。

「モバゲー」の場合はDeNAさんの自社タイトル『怪盗ロワイヤル』がひとつの指標となり、目標や手本となりました。しかし、そのようなヒット作がなくてユーザーがいないプラットフォームには魅力はありませんでした。

企画書にどれだけ書いても、営業マンがどれだけ雄弁でも、実績・実例がなければ、説得力がない。この実績・実例をプラットフォーマー自らつくるのが、ファーストパーティー戦略の基本。

任天堂におけるマリオ、マイクロソフトにおけるExcelもしかり。まずファーストパーティーのヒット作がプラットフォーム全体の集客力をつくる。その集客力に惹かれてサードパーティーが集まってくる。

そのサードパーティーによって賑わいと多様性、網羅性が生まれ、ますます集客力が増す…という好循環が形成されることによって、プラットフォーム全体が成長していく。これが理想形ですね。

実は大きい“ファーストパーティー”収益

PHOTO:INOUZ Times

真田

もうひとつ、プラットフォームビジネスで成功するためのポイントがあります。それはプラットフォームとしての収益とファーストパーティーの収益のバランスを上手く取ることです。

プラットフォーマーは、ファーストパーティー収益によって利益が最大化されるんじゃないかな。自社プラットフォームで自社商品って、控除されるものがないから、実はすごい利益率が高い。

プラットフォームビジネスは寡占できるまでの間、普及を優先するからは利益率が低いことが多い。その時期にファーストパーティー収益を出せれば、プラットフォームは素早く立ち上がる。結局はバランスと組み合わせの問題かな。

Amazonの場合だと、あまり数が出ないロングテール商品はサードパーティーが販売することによって品揃え、網羅性を担保。よく売れる売れ筋商品は自社で販売。自社商品が一番上に表示される。この部分がファーストパーティー収益でAmazonの場合は、ここが一番大きい。

そして、もっと売れる定番商品はPB(Private Brand)をつくり、メーカーとしての収益まで持っていく。まあ、ここまでできるのは、Amazonが圧倒的強者で、立場が強いからだけど。

美味しいところはしっかり自前で抑える。これは結構、重要なポイントだよね。戦略として持っているだけで、会社全体の売上や利益率が大きく変わると思いますよ。

巻口

当社の場合、不動産会社から“競合相手”と警戒されることを避けるため、自身はプレーヤーにならずに、参加企業から成功事例を出すことでGate.を盛り上げようとしています。

真田

もちろん、スタートアップだし、立場が強いワケではないし、おっしゃる意味はわかります。スタートアップで弱いからこそ、警戒されない時期だという見方もできます。

なにも自社直営じゃなくてもいいわけで、子会社だったり、名前を変えたりして。そうして「Gate.を使えば儲かります」という見せ方を是非、考えてみてください。

巻口

なるほど。勉強になります。
(後編に続く)

連載記事

プラットフォームの成功法則を考えた[後編]

真田 哲弥(さなだ てつや)

KLab株式会社 代表取締役社長

関西学院大学在学中に様々な企画やビジネスを手がけ、19歳で起業。その後さまざまな成功と挫折を経て、インターネットの可能性に着目。1997年株式会社アクセス(現:ACCESS)へ入社し、33歳で初の会社員生活をしながら、インターネット技術を学ぶ。1998年株式会社サイバードを設立し、取締役副社長兼CTOに就任。2000年にKLab(クラブ)株式会社の前身となる株式会社ケイ・ラボラトリーを設立、代表取締役社長CEOに就任。2011年東証マザーズ上場後、2012年東証一部に市場変更。数々のヒットゲームタイトルを生み出す。現在はモバイルオンラインゲームの企画、開発、運営を主力事業とし、世界各国へ提供。ゲーム事業にとどまらず、新規事業開拓にも積極的に取り組んでいる。

巻口 成憲(まきぐち しげのり)

リーウェイズ株式会社 代表取締役社長

1971年、新潟県生まれ。1994年に国内不動産デベロッパーに入社。2000年に世界4大会計事務所グループのコンサルティングファームに転職。2005年にリノベーション投資不動産会社の立ち上げに参画。2014年に不動産テックベンチャーのリーウェイズ株式会社を設立。人工知能とビックデータによる不動産取引プラットフォーム「Gate.(ゲイト)」を運営。

会社概要

設立
2014年2月3日
https://leeways.co.jp/
お問い合わせ先
https://leeways.co.jp/contact/
TEL: 03-6712-6745
FAX: 03-6712-6749
メッセージ
「Gate.」は投資用不動産の収益価値を高精度でシミュレートできる国内唯一のサービス。 投資用不動産業界における私の20年近い実務経験と5年間の経営コンサルタントとしての分析力をデータサイエンティスト・データアナリスト・エンジニアが形にし、“リアルとテクノロジーの融合”を実現しています。資産価値に基づいて不動産取引できるオープンプラットフォームとして、不動産投資環境の変革に寄与していきます。(巻口さん)

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