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2016/6/30

経営幹部づくりで大事なのは“固い結束”じゃなく、“新陳代謝”という説

キープレイヤーズ高野が語る経営幹部論

株式会社キープレイヤーズ CEO/代表取締役 高野 秀敏(たかの ひでとし)

経営幹部づくりで大事なのは“固い結束”じゃなく、“新陳代謝”という説

今回は経営幹部をテーマに取材をしてきました。必要な能力は“スキル”なのか?“人間性”なのか?経営チームの作り方についてどう考え、どう捉えるべきか。INOUZ Times編集部で集計している社長100人アンケートでも“人材採用でどこ見てる?”では“スキル”と“人間性”で回答が二分していましたし、“最近悩んだこと”では、幹部とのかかわり方をあげた社長もいました。経営幹部議論は簡単な問題ではありません。そんな問題について今回は、20社以上の社外役員・アドバイザーに就任し、過去3000人を超える社長と組織や人材の問題について話し合ってきた“キープレイヤーズ”高野社長にお聞きしました。

社長に意見を言える人、御社にいますか?

INOUZ Times編集部(以下、編集部) 

高野さん、おはようございます。本日は経営幹部についていろいろとざっくばらんにお話頂ければと思っています。よろしくお願いします。

高野秀敏氏(以下、高野) 

おはようございます。よろしくお願いします。

編集部 

最近、大企業でも幹部問題でゴタゴタしていますが、ベンチャー企業ではよくある話だと思います。そこで高野さんにご質問なのですが、経営幹部に必要なものは何だと思いますか?

高野

何ですかね、いろいろあると思うんですが、究極、社長についてきてくれるかどうか、という点ではないか、と思っています。お客さんを連れていってしまう人なのか、すぐ辞めちゃう人なのか、すぐには判断できないかもしれませんが、根本的に信頼できる人なのかどうか見極めること、これが大前提にあると思いますね。

スキル面としては、社長が得意なことが営業だとすれば、経営幹部はそれを補完するという意味で管理系や技術系の人がいいかな、と。イメージとしては社長と幹部が凹凸になるような感じで、役割がちゃんと分かれているのが理想的です。

編集部 

なるほど。ちなみに、スキルの凹凸がぴったりだとしても、ビジョンなどの社長が掲げる経営の「あり方」「やり方」に対するマインド的な共感も必要ですよね。ここらへんは、価値観の域でもあると思います。

高野

スキル型とマインド型、どっちも大事なんだと思います。ただし、中途入社組はスキル型になるものです。新卒で幹部にあがってきている人と比べると、会社愛は少ないでしょうから。その分、中途の方は他の会社も見てきているので、社長に意見するケースがあり、とてもいいと思います。

一方、新卒はマインド型で、ビジョン共感・会社愛は強い。ですが、新卒だらけの会社にしてしまうと、完全に“社長が一番”というイエスマンだらけの会社になってしまう。実際、社長はすぐに裸の王様になりがちなので危ない。ともすれば、宗教的な会社になりかねない。私はいろんな会社を見てきましたが、特に男性の場合、社長に直言できる人はほとんどいない。逆に女性は役職に関わらず社長に意見を言う人が多いと感じますね。

たとえば、スタイルエッジという会社があります。有名ではないですけど、きめ細かなサービスを特徴としたWebマーケティングで成長している会社です。ここは社員の7割が女性で、しかも30歳以上の人が多い。マネージャーも女性のほうが多いといいます。そこの社長は社員の意見を聞く姿勢がある。だから女性が安心して入ってきて、女性ならではの感性を活かして大いに活躍しているのだと思います。社長にしっかりと意見を言ってくれる人がいることが大切なのかな、と。基本、社長は他人の意見を聞かない人が多いですからね(笑)。

結局、会社へのロイヤリティが高い人は大事ですが、社長に「こうしなければいけないよ」という耳の痛いことを言ってくれる人を絶対に入れないといけない。どっちもいないといけないのかな、と思います。

優秀な人材がいると、社長は嫉妬する。社長も人間だから

編集部

では、ちょっと質問の角度を変えて、成長の壁を突破できたチームには、どんなところがありますか?

高野

たとえば、最近上場したアトラエさんかな。経営メンバーは入れ替わっているかと思うんですけど、新卒から上がってきた方が苦しい時期を支えて、上場の立役者になっています。取締役の岡さんはよくお名前を聞きますが、自分が創業したわけではないけど、“自分の会社”という強い意識を持って働いてきたマインドを感じますね。

編集部

逆に、幹部育成で上手くいかないだろうな、と思うパターンはありますか?

高野

起業時に友達を誘っているケースですね。大学の友人・前の職場の同僚とか。成長に伴い、社長の力だけが突出して伸びていき、社長とその人物との意見が合わなくなることはありがちです。そうなると、その人物が設立時に持ち株をかなりの比率をもっていた場合、のちのち、株の買戻しをどうするかで社長は悩むことになります。最初の頃はどんな社長でも自信がないので、仕方ないかもしれませんが…。ベンチャーあるあるのひとつですね。

その点、フリークアウトの佐藤さんは優秀だと思います。いろんな人に会って幹部登用などで事前学習して、その学習成果を経営に反映している。もっとも、あれくらい優秀な方でも、今考えると「あれどうだったのかな?」ということがあるとおっしゃっていますけどね。

編集部

なるほど。ほかに失敗しがちなパターンはありますか?

高野

あとは、優秀すぎる幹部がいるところですかね。社長が妬んじゃうですよね(笑)。スキルもあって、人間性も兼ね備えていると、その幹部にメンバーの人望が集まってしまうんです。その状況が社長は面白くない。トップも人間であり、感情をもっているということでしょうね。幹部やナンバー2が活躍してくると、きっと社長は寂しい気持ちになるんでしょうね。そして徐々に幹部に対して嫉妬心が芽生える。一方、幹部の方はこれまで頑張ってきたのに少しずつ社長に疎まれてきているなと感じる状況が多くなってくる。結果、両者の関係性が壊れてしまうのです。本当に難しいですね。

いい幹部チームの作り方、正直答えはない。だが、健全な新陳代謝は必要

編集部

幹部の活躍には、社長との相性は重要ですよね?

高野

はい。相性というか、社長との補完関係でしょうね。ビジョンを発信しスピーチもうまいという社長らしい社長の場合、幹部はサポート役として細かい管理系の人物がいいでしょう。

編集部

リンクアンドモチベーションの小笹会長・坂下社長のような関係ですか?

高野

そうですね。ベンチャー界隈でいくと、ウィルゲートさんもそうですかね。小島社長は、多くを語らずあまり表に出ないタイプに見えますが、その社長を吉岡さんがうまく支えている。小学校から一緒なんて、本来は上手くいかないパターンなのですが、ウィルゲートさんでは理想的な補完関係を築いていますね。

編集部

組織・幹部チームの上手い作り方はあるんでしょうか?

高野

正直、“これ”という答えはないんじゃないでしょうか。ただ、組織は外から新しい血が入ってこなければ、必ず停滞するものです。その場合の“外”とは、社内外を問わず、です。したがって、たとえば、「トップは変わらず、経営幹部は新陳代謝していく」という考えはあっていいのではないでしょうか。

優秀なナンバー2を登用したところで、いずれ方向性の違いが顕著になったり、トップのポジションを奪う存在になる可能性もある。逆に、一時は優秀だったはずの幹部も、将来的に会社が成長し、役割が大きくなった際に力不足を感じてしまうこともある。あるタイミングでは結束するが、長期的に見たときには流動的という形を前提に取り組まないと、幹部チームづくりは失敗するかもしれません。その点、サイバーエージェントさんのCA8・CA18という取締役交代制度は、その新陳代謝の考えを仕組みに落とし込んでおり、画期的ですね。この制度は。2年で役員が入れ替わってしまうわけですから、とても大きな緊張感を幹部に強いるものです。でも、それすら「面白いことだ」と、イベント化してしまっているのはすごい。

そう考えると、幹部チームの新陳代謝が上手くいくことは、組織が長期的に成長していくために必要な要素の一つかもしれないですね。

プロフィール

1976生まれ。株式会社インテリジェンス入社。人材紹介事業の立ち上げに携わる。転職サポート実績では、通算最多転職サポート実績ナンバー1を記録。マネージャー、人事部を経て、独立。2005年1月、“株式会社キープレイヤーズ”を設立。

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