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東南アジア進出・投資の 「成功モデル」が見えた

成功と失敗を分ける一線とは

リブライトパートナーズ株式会社 代表パートナー 蛯原 健(えびはら たけし)

インキュベイトファンド 代表パートナー 本間 真彦(ほんま まさひこ)

INOUZTimes編集部
東南アジア進出・投資の 「成功モデル」が見えた

2017年12月、東南アジアでのビジネスをしている、もしくは検討している日本の上場企業経営者や海外責任者、約60名が参加した完全クローズドイベントIshin Startup Summit 2017がシンガポールで開催されました。

伸び続けている市場でも勝者と敗者は存在します。成長著しい「東南アジアビジネス」でもそれは同じ。20年にわたって投資家として活動、東南アジアの現地企業や進出した日本企業などに投資しているリブライトパートナーズ代表の蛯原さんとインキュベイトファンド代表の本間さん、ふたりのベンチャーキャピタリストに東南アジアへの進出や投資の成功確率を高めるポイントを聞きました。成功モデルは見えつつある、そうですよ。

[概要]
IshinStartupSummit Singapore 2017
2017年12月6日(水)
主催:Ishin SG Pte.Ltd.

[セッション]
「東南アジアにおける日本企業のビジネスの可能性を探る(投資家から聞く)」

[スピーカー]
リブライトパートナーズ株式会社 代表パートナー 蛯原 健
インキュベイトファンド 代表パートナー 本間 真彦

[モデレーター]
イシン株式会社 常務取締役 松浦 道生

「IshinStartupSummit Singapore 2017」(2017年12月)で行われたセッションより抜粋・構成しました。

投資先としての東南アジアのパワー

―東南アジアを中心とした、これまでの投資実績を教えてください。

蛯原

2008年にリブライトパートナーズを設立し、代表パートナーに就任しました。東南アジアでの投資は、2011年に東南アジアで2~3位規模のeコマース企業に投資したのを皮切りに現在まで40件弱の投資を行っています。デジタル分野はもとよりIoTや既存産業のデジタル革新系の投資を積極的に行っており、業種分野としては幅広く取り組んでいます。現在はシンガポールに家族と在住し、インドを中心にアジア全般で投資をしています。

東南アジアとインドのアーリーステージ投資を行う4つのファンドを運営していますが、出資者のほとんどが日本企業および個人からの出資者です。出資を通じて日本から新興アジア地域へのゲートウェイ(入口)の一役を担っていることが、われわれのファンドの特徴です。

また、出資者である日本企業がアジアビジネスを成功させるために、出資者と現地の市場・企業キーマンを繋げるためのあらゆる活動に注力しており、そのための専門家もチームに配している点が強みです。

キャリアのスタートはジャフコ。以来20年以上、スタートアップ投資や事業会社の経営・起業も経験しています。

本間

私も蛯原さん同様、ジャフコ出身。スタートアップ投資は20年近くしています。現在は、創業期の投資・育成に特化したベンチャーキャピタル、インキュベイトファンドの運営をしています。東京、シンガポール、およびインドのバンガロールを拠点に、インターネット関連から最近ではロケットまで幅広く投資しています。

運用規模は合計280億円ほど。関連ファンドを含めると200社以上のスタートアップに投資してきました。東南アジアでの投資活動は2013年より開始し、2016年からインドでの投資も始めました。東南アジアではマーケットプレイスやeコマース関連、日本ではほぼすべての業種のアーリーステージでの投資に関与しています。なかには一緒にアイデア段階から考えて会社をつくることもあります。

東南アジアでも、日本で得たビジネス上の知見や経験をシェアしながら展開しています。投資先と出資者をつなげることも、もちろんありますが、考え方としては、ベストな起業家に投資すること。そうすれば、出資者もついてくるし、マッチングもうまくいく、という考えです。

ふたつの方法

―なぜ、投資先として東南アジアを選んだのですか。

本間

純粋に投資先という観点では、東南アジアやインドだけでなく、アフリカもいいと思っています。しかし、文化的、人類学的、歴史的に近いところがやはりやりやすい。国、会社単位で相対的優位性はどこか見極めると、東南アジアに出て行くのは自然です。

その際、進出先のマーケットをとりにいくのか、技術やイノベーションをとるのかという問題はあります。東南アジアの場合は、技術ではなく市場だと思いますね。

―東南アジアで市場を取る具体的な方法ありますか?

本間

大きくふたつの方法があると思います。ひとつは日本で培ったビジネスを自分たちでゼロから東南アジアで展開する方法。私のやっているVCは金融サービスなので東南アジアはマーケットとして事業を組み立てやすい。日本でやってきたビジネスをゼロからヨコ展開できる感覚はあります。

もうひとつの方法は、最初から「チームを買う」方法です。たとえば、私の知り合いでDavig Ngという経営者がいますが、彼の手法がこれ。4ヵ国語を話す彼は「チームを買う」方法で1年で130名の社員を雇い、台湾、香港、シンガポールに拠点をつくりました。

東南アジアビジネスのレシピを持って、過去、彼が他の業界でやったように、同じやり方でビジネスを展開しています。私にはできないスタイルですが、市場を取るという観点ではとても有効です。

リブライトパートナーズ代表の蛯原さん(左)とインキュベイトファンド代表の本間さん(右)
Photo:INOUZ Times

ツールを導入するだけでうまくいく場合も

―どうすれば日本企業は東南アジアで勝てますか?

蛯原

今現在、東南アジアで勝っている日本企業は製造業。比較優位性が非常に高いからです。

一方で、日本に限らず、製造業や飲食以外のサービス産業の海外移転は難しい。特にインターネット系は苦戦していますね。数少ない例としては、日本の企業では電通が勝っています。ただし、その理由は、もともと買収した英国の広告代理店、イージスのチームがバンバン買収戦略を進めているからです。

東京のヘッドクォーターではなくて機動性の高い子会社をテコにする方法は、ひとつの参考事例として学ぶ点はあると思います。

本間

以前は若い人を現地に送り込んで「オマエ、何とかしてこい」という形でゼロから立ち上げをさせ、3年くらい経って、頑張ったけどうまくいかず、「まあ、しょうがないか」と本社でも諦めるケースが多かった。

しかし、今は日本企業が成功するモデルは見えつつあります。10億円程度の案件を買ってオペレーションを改善していくというカタチです。大きく成長させている事例としては、ローカルに本社の役員クラスが住み、比較的小規模のインターネット広告の会社を買収したケースがあります。

10億円規模の会社だと、日本では当たり前のことがどこかで抜けていることも多い。営業効率を上げるためにツールを導入して、ツールをきちんと徹底するだけでうまくいくケースがあります。意外にも日本のBtoBサービスのオペレーション優位性は東南アジアでも活きます。

しかし、BtoCで日本人がローカル市場向けのスタートアップをやっても、成功するのは難しいと思います。

関西に比べて東京は出遅れている

―日本のみでビジネスをし続けるリスクは感じますか?

蛯原

ただちに日本全体が沈むことはないでしょう。しかし、地方と都市の違いは大きい。「日本は」とか「中国は」など、国単位で考えるのではなく、都市単位で見ていくことが極めて重要だと思います。

都市については私は東京よりも関西に期待しています。実はインドや東南アジアに関心を持ち、事業活動をされているのは関西企業が多いからです。関西地区はこれから伸びると思います。

本間

日本にはいろいろなアセットがそろっています。日本か海外かの二者択一的な考え方ではなく、日本を土台にしながら、他国も見るべきです。

タイムマシーンではないですが、日本や韓国のことを知っていると、今の東南アジアで不足している部分や、ビジネスチャンスが見えてくると思います。

韓国ユーザーはアプリなどに熱狂的な土壌や市場があり、日本ではエンタテインメント系のユーザーが多く、エンタメ関連のイノベーションが起こりやすい。しかし、東南アジア市場ではエンタメ系のユーザーが育っていないので、まだ難しい。ユーザーが育っていないと企業が革新的なモノを出しても何も響きません。

「リラックス経営」

―海外ビジネスに対する投資家ならではのアドバイスを聞かせてください。

蛯原

IT産業はアジア、特にインドなどは日本より進んでいる分野も多いです。日本では規制があって難しいのですが、例えば遠隔医療ではモバイルアプリで薬の処方箋まで出せたりします。

リープ・フロッグ現象(注:遅れて発展した国が先に発展していた国よりも新しい技術の恩恵を受けること。リープ・フロッグはカエル飛びの意味)と言われますが、インフラを持たない新興国のほうが新産業・新インフラが発展しやすいからです。そういう学べるところは学んでいったほうがいいと思います。

本間

日本とまったく同じビジネスをそのまま海外で展開するのではなく、良いパートナーを見つけて現地のスタッフに任せるとか、もう少し緩めのスタンスをとってやればうまくいくケースが多々あります。

ビジネスモデルは物理法則と同じで、海外であっても自分の国で機能するものしか成立しません。国によって事情は異なりますが、そのビジネスモデルをベースに、その国の実情に合わせてチューニングして事業を立ち上げることはできます。

その場合、しっかり現地のパートナーと議論して一緒にやっていくことが大切だと思います。「彼に任せる」というパートナーを見つけ出し、「彼とならどうやるか」。そんな緩いスタンスでやるのもおもしろいのではないでしょうか。緩めの意思決定をする「リラックス経営」を行うこともよいと思います。

【Information】

東南アジアの有望なスタートアップ・成長ベンチャーに関する情報サイト

「The South East Asia Startups 100」: ISHIN SG PTE. LTD.が運営するメディア関係者やベンチャーキャピタル、政府関係者などの協力により東南アジアで注目されている将来性あるベンチャー企業100社を紹介するサイト
http://seas100.com/

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